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古武術詐欺師に騙された悪役令嬢は今日も無意味な修行に励む  作者: 真宵 駆
▽おまけ4△

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553/556

▼553▲ 婚活と言う名のデスゲーム終了のお知らせを告げるべく古井戸に放り込まれる花束

「さ、早い者勝ちだ! 迷ってる暇はないぞ! 花嫁か死か! 全ての女の子をワクワクドキドキさせる、この一世一代の大勝負、我こそはと思う乙女は今すぐ挙手!」


 カモを引っ掛けようとする香具師の様に威勢良く煽り立てるエイジン先生。


「いやいやいやいや! 絶対やらねーし!」

「婚活なんて命を賭けてまでやる事じゃねーだろ!」

「吊るされる位なら一生独身でいる方が遥かにマシだ!」


 ブンブンと思いっきり首を横に振り、婚活と言うにはあまりにもデスゲーム過ぎるこの提案を激しく拒絶するヤンキー三人娘こと、ベティ、タルラ、ジーン。


「何も行動せず一生独身のまま年老いて孤独死するより、若者らしく恋愛に特攻して華々しく散る方が幸せだと思わんかね?」


「選択肢が極端すぎるわ!」

「つーか特攻って、利用して殺す気満々じゃねーか!」

「アタシらは自爆テロで使い捨てられる子供か!」


「でも、これが本当に最後のチャンスなんだぜ? ここを逃したら、もうあんたらがリング家の花嫁になれる見込みは永遠のゼロなんだが、いいのかそれで? 『お前らは、腐ったキウイ、パパイヤ、マンゴーだね♪』、と嘲笑った連中を見返してやりたいとは思わないのか?」


「そこまで言われた事なんかねーよ!」

「むしろ嘲笑ってんのはお前だろ!」

「こないだは腐ったミカンだったじゃねーか! 何気に果物の種類を増やしてんじゃねー!」


「女だったらフルーツスキャンダルの一つも咲かせてみろ、って話さ!」


「意味分かんねーよ!」

「意味分かんねーよ!」

「意味分かんねーよ!」


「まあぶっちゃけ、あんたらみたいな半端モンのなんちゃってヤンキーでも、ここぞって時に大事な人の為に命を張れる一片の義侠心を持ってたら、ブランドン君の嫁にしてやってもいいかな、と大幅に譲歩してやってるんだが」


「誰が半端モンのなんちゃってヤンキーだ!」

「上から目線で偉そうにディスってんじゃねー!」

「そこは、『嫁にしてやってもいい』じゃなくて、『嫁にぜひともなって下さい』だろ!」


 ギャンギャン吠えるヤンキー三人娘を前に、欧米人よろしくオーバーリアクション気味に肩をすくめ、


「仕方ない、諦めよう。やっぱり、あんたらについているのはロマンスの神様じゃなくてお笑いの神様だ。リング家の花嫁はすっぱり諦めて、立派なリアクション芸人を目指して今後も精進してくれ」


 やれやれと苦笑しながら煽るエイジン先生。


「目指さねーよ!」

「目指さねーよ!」

「目指さねーよ!」


 吠えまくるヤンキー三人娘。


「じゃ、今回は御縁が無かったと言う事で。最後に花束を供えて終わりにしよう」


 そう言って、終始無言で不安そうに見守っていたアラン君から花束を受け取り、古井戸の側まで来ると、


「どうもお騒がせしてすみませんでした。こいつらも反省してるようなんで、もう金縛りは勘弁してやってください。これはほんの気持ちです」


 他人事の様に軽く謝ってから、ぽい、古井戸の中に放り込むエイジン先生。


 昨夜の嵐で古井戸にも結構な量の雨水が溜まっていたらしく、ややあって、ドッボーン、と大きな水音がした。


「何だ、今の?」

「花束にしちゃ、水の音が大きくね?」

「でっかい石でも投げ込んだみてえな音がしたぞ?」


 不審がるヤンキー三人娘。


「大きな花束だからそれだけ重いんだよ。さ、車に戻るぜ」


 何事も無かったように古井戸の前に置いておいた線香皿を回収すると、ヤンキー三人娘を車の方に追い立てるエイジン先生。


 その後ろから、まるで犯罪の片棒を担がされた悪事慣れしていない一般市民の様にビクビクオドオドしながら付いて行くアラン君。

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