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古武術詐欺師に騙された悪役令嬢は今日も無意味な修行に励む  作者: 真宵 駆
▽おまけ4△

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547/556

▼547▲ 自室で壁ドンしたら大きな穴が開いてしまいあわててポスターで隠す中途半端な反抗期

「顕微鏡を扱うなら病理医が最適ですが、弾丸の表面を観察するだけでしたら、外科医で十分でしょう」


 エイジン先生の案に賛同する元医者のアンソニー。


「ともかく病院へ行ってヘディに頼んでみる。『いかがわしい副業に励む暇があるなら捜査に協力しろ』ってな!」 


 頼み方が戦前の警察に近いエイジン先生。


「病院に行かれる前に、お聞きしたい事があるのですが」


「何だ?」


「最初にドアを撃った犯人について、私が内部犯か外部犯かをお尋ねした際、エイジンさんは、『十分なデータもないのに推理をするのは危険だ』と仰って、断定を避けられましたね?」


「ああ、いわゆる『ノーベリ』ってやつだ」


「はは、今度は『黄色い顔』ですか。ホームズが自分を戒める有名な台詞ですね」


 そんな分かる人にしか分からないシャーロッキアンなやりとりを挟んでから、


「ですが、その一方で、エイジンさんはヴィヴィアン様に対して、『夕べドアを撃ったのは、ブランドン様ではない』と断言されていました」


「ああ、断言したよ」


「まだ十分なデータがない時点で、最初に撃った者がブランドン様ではない、と確信された理由は何でしょうか?」


 興味深々な目で問い掛けるアンソニー。


「ブランドン君の性格だよ。あの子はムシャクシャしたからといって、ヒステリックに物へ当たり散らすタイプじゃない。


「そんな事をする位なら、もっと合法的なストレス解消法を選ぶね。ジムへ行って武術に打ち込んだり、毒々しいメーキャップをしてエレキギターを弾きまくったり、バイク通学の帰りに束の間の自由を謳歌したりな。


「母親の行き過ぎた干渉に我慢の限界が来たとしても、壁ドン一つしないだろうよ。ましてや自分の家の玄関を撃つなんて論外だ。


「本質的に、自分だけでなく他者の立場まで考慮した上で行動出来る賢さを持っているんだ。そういう賢い子ってのはグレる事が出来ない。『グレたところで、いい事なんか何一つない』ってのが見えちゃってるからな」


 滔々と弁じ立てる、なりきりホームズことエイジン先生。


「なるほど、興味深い推理です」


 望んだ回答が得られたらしく、満足げに微笑むアンソニー。


「俺からも一つ質問させてくれ。最初にドアを撃った奴の目的は何だと思う?」


「個人的な見解でよろしければ」


「ああ、当てずっぽうでも何でもいい。ここだけの話だ」


「おそらくは、そう――」


 そこで少し勿体を付ける様に言葉を切って、相手の反応を注意深く観察しつつ、


「――『警告』、でしょうね」


 大雑把過ぎてリアクションに困る答えを返して来るアンソニー。

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