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古武術詐欺師に騙された悪役令嬢は今日も無意味な修行に励む  作者: 真宵 駆
▽おまけ4△

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545/557

▼545▲ 著作権という概念の無い二十円ガチャの中の宇宙(コスモス)

 捜査という名目で実弾を使った射的を存分に堪能したエイジン先生が、一緒に撃ちまくってスコアを競ったヤンキー三人娘と、自重して結局一発も撃たなかったアラン君、ブランドン君と共に射撃場から旅館に戻ってみると、正面玄関の前でアンソニーが数人の旅館スタッフと何やら話し込んでいた。


 そこへ無遠慮にずかずかと割って入り、


「そっちの話が終わったら、ロビーまで来てくれ。ちょっと聞きたい事がある」


 アンソニーへ声を掛けるエイジン先生。


「では、今すぐ伺いましょう。私もエイジンさんにお尋ねしたい事がありますので」


 そう言ってスタッフ達との話を切り上げ、エイジン先生他五名と一緒に旅館の中に入るアンソニー。


 他五名には食堂で待つ様に言い渡し、自身はロビーのソファーにアンソニーと向かい合って座ると、


「あれから、屋敷の周辺で空の薬莢は見つかったか?」


 前置き抜きで単刀直入に尋ねるエイジン先生。


「いえ、丹念に調べましたが、薬莢を含め、犯人の遺留品と思しき物はまだ見つかっていません」


 何の成果も得られませんでした、と穏やかな笑みと共に報告するアンソニー。


「風で吹き飛ばされる位軽い物ならともかく、金属製の薬莢ならその場に残ってても良さそうなモンなんだが」


「ドアを撃った後、薬莢を拾って回収したか、あるいは……」


「薬莢が飛び出さないリボルバーで撃ったか、だな。ひっきりなしに激しい雷が落ちて来る暴風雨の夜に、地面に落ちた薬莢を探すのはかなりの手間だ」


「犯人にしてみれば、一刻一秒も早くその場から立ち去りたい心境でしょうしね」


「リボルバーだとすれば、最初にドアを撃ったのはブランドン君ではあり得ない。ブランドン君が所持してたのは自動拳銃だからな。はい、Q.E.D.」


「それを完全に証明するには、ドアから弾を取り出してちゃんと調べる必要がありますが。ところで、その撃たれたドアなんですが、代用品との交換作業が済んだので、もうすぐここへ運ばれて来ます。どこに保管しますか?」


「一階の大広間がいい。畳を傷めない様に、下にウレタンマットみたいな緩衝材を敷いてから、撃たれた側を上にして置いといてくれ。後で弾をほじくり出し易い様にな」


「分かりました、大広間ですね。なるほど、罠を仕掛けるにはうってつけです」


「何の話だ?」


「大広間のあちこちに隠しカメラを仕掛けて、誰かが弾をすり替えにやって来たら、その現場を押さえるおつもりなのでしょう?」


 全てを見透かす様な目で真っ向から見据えて来るアンソニー。


「ああ、その手があったか! 気付かなかったぜ!」


 しれっととぼけるエイジン先生。


「隠さなくても結構です。これまでにあの三人娘に対して行って来た事から推察すれば、むしろそうしない方が不自然ですから」


「プロファイリングの達人かよ。まあ、俺は外部犯の可能性が高いから来ないと思ってるがね。もっともすり替えようとした所で、封印のステッカーを無傷で剥がすのは不可能だし、あのステッカー自体三十年以上前の出所不明のパチモンという、価値が無さ過ぎて逆に入手困難なレア物だから、一度破ったらもう貼り替えられない」


「当時は何か流行るとすぐに大量の偽物が出回りましたね。偽物である事を隠そうともしない粗悪なコピー品が堂々と売られていましたよ」


「つくづくスゲエ時代だよな。無法地帯もいい所だ」


 捜査から脱線して、八十年代頃までの大らか過ぎる日本の風潮に思いを馳せるアンソニーとエイジン先生。

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