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古武術詐欺師に騙された悪役令嬢は今日も無意味な修行に励む  作者: 真宵 駆
▽おまけ4△

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539/556

▼539▲ プライオリ・スクールの最後の場面におけるホームズの有名な台詞

 急展開に次ぐ急展開に付いて行けずあっけに取られる使用人と警備員、不安そうな表情で見守るブランドン君、興味深げに凝視し続けるアンソニー、ホームズのいつもの暴走に戸惑いを隠せないワトソンことアラン君、そんなギャラリーの注目を一身に浴びて、全く臆する事なく妙に自信満々なエイジン先生に対し、


「いいでしょう。リング家の当主として、あなたにこの事件の捜査を正式に依頼します」


 挑戦的な笑みを浮かべつつ、そう言い渡すヴィヴィアン。


「謹んでお受けします。では早速、この事件を解決する為の提案があるのですが」


「何かしら?」


「外部から超一流の捜査員を助っ人として呼ぶ事を許可してください。銀行家のレンダ家お抱えの私立探偵で、ピーター・フォールという男です。彼なら一週間で事件を解決出来ます!」


 大見得を切った割に、初手から他力本願という情けない名探偵。


「助っ人を呼ぶのは構わないわ。その必要経費もリング家で全額負担しましょう。でも、そのピーターさんとやらは頼りになるの?」


「先日一緒に仕事をする機会がありましたが、まあ、超一流の名探偵です。元刑事という経歴もあって、こういった犯罪に精通しています。警察にもコネが効くので、捜査におけるメリットは計りしれません!」


 エイジン先生がドヤ顔で言い切ったその直後、


「じゃあダメね。警察をこのリング家の内部の事件に介入させる訳には行かないわ」


 手の平を返して許可を取り消すヴィヴィアン。


「おや、そうでしたか。では、警察のコネは一切使わせず、ピーター一人に頑張ってもらう方向で」


「それでもダメよ。たとえ『元』でも、刑事をこのリング家で捜査させる訳には行かないの」


「『元』でもダメ? 思ったより厳しいな、こりゃ」


 完膚無きまでにアテが外れ、つい間抜けな口調になるエイジン先生。


「昔からそういうしきたりなのです。『リング家の自治は絶対不可侵であり、いかなる外部の権力による干渉も許さない』、と」


 この世界について無知なエイジン先生の為にフォローを入れてあげる親切なグレゴリー執事。


「そいつは残念です。あのオッサンなら、こんな事件はあっと言う間に解決出来るんだけどなあ……」


 顎に手を当てて途方に暮れる他力本願コスプレホームズ。


「やっぱり依頼は取り消しましょうか、名探偵さん?」


 からかう様な口調で尋ねるヴィヴィアン。


「いや、一旦引き受けたからには最後までやらせてもらいましょう! このシャーロック・ホームズのコスプレ衣装にかけて!」


 しょうもない物に己のプライドを懸けるエイジン先生。


「じゃあ、決まりね。この事件の審理は一週間後に裁判所で行うものとします。そこで私を納得させる事が出来たら、息子の処刑は取り消しましょう。ただし、私を納得させられなかった場合」


 ヴィヴィアンは石段の下に佇む息子のブランドン君を指差し、


「審理が終了次第、私に銃口を向けた反逆者ブランドン・リングを、裁判所の横の広場で絞首刑に処します。いいわね?」


 親子の情のカケラもない言葉を冷たく言い放った。


「よくないけど、いいです。それに関してですが」


「何かしら?」


「もし、その一週間後の審理において貴女を納得させる事が出来た場合、カウンセリングの報酬として取り決めてあった合計五千万円のボーナスを、全額即金で前払いして頂きたいのですが、いかがでしょう?」


 ブランドン君が生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされているというのに、碌でもない事を尋ねるエイジン先生。


「いいわ。どの道、息子が死んだらボーナスは獲得出来ないものね」


 サイコパスな冗談と共にこれを承認するヴィヴィアン。


「ありがとうございます。大金が懸っている方が、俄然やる気が出ますので!」


 とことん金に意地汚いエセホームズ。もっとも、原作のホームズにもそんな一面はあるのだが。

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