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古武術詐欺師に騙された悪役令嬢は今日も無意味な修行に励む  作者: 真宵 駆
▽おまけ4△

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457/556

▼457▲ 身動き出来ない姑を家に残して外出しまくる鬼嫁

「未亡人になった時、ヴィヴィアンさんはまだ二十代半ばでした。再婚して後継者となる娘を産む事も十分出来たはずですが、この最愛の旦那さん以外の人と結婚する気はさらさら無かった様で」


 上半身裸で異様に気合の入った構えを取る「最愛の旦那さん」の写真を指し示しながら、ちょっといい感じな夫婦愛の物語を続けるテイタム。


「一人息子のブランドン君に、『私の代わりに早く結婚して娘をつくれや、オラ。お前がパパになるんだよ!』、と責任を全部押し付けた訳だな」


 勝手に未亡人の台詞をヤンキー口調で捏造し、その物語を台無しにするエイジン先生。


「はい。ですが、ブランドンさんはまだ十七歳です。当然、『自分にまだ結婚は早過ぎます』、と反論します」


「ま、普通はそうなるよな。けど、そういう事情があるのなら、物心つく前にさっさと婚約させとけばよかっただろうに、なぜそうしなかった? よっぽど嫌われてるのか、リング家。『あそこん家の女当主は元レディースの総長でおっかない』とか噂が立って」


「ふふ、レディースから離れてください。嫌われてる、と言うより、リング家は特殊なんです。もっと言えば、リング家の女性が使う魔法が特殊でして」


「姑が魔法を使うたびに、嫁がもれなく呪われるとか」


「それは嫁というよりただの生贄ですね。違います。実はリング家の魔法使いは、たった一つの魔法しか使えません」


「たった一つだけ?」


「はい、それは『魔法を無効化する魔法』です」


「おー、異能バトルものだと割と最強扱いになるお馴染みのアレか。幻想をブチ殺したり、山の深い所で牌を支配したり、プログラムのコードをタライに変えたりする」


「実際に最強と言ってもいいかもしれません。常時、リング家の魔法使いを中心とする半径約一キロの球の内部はまったく他の魔法が使えない空間になる上、やろうと思えばその球の半径を約十キロまで広げる事も出来るのですから」


 そう言いながら、両手で大きく空中に円弧を描き、


「普段リング家の魔法使いが人里離れた森の奥でひっそり暮らしているのも、この無効化魔法のせいです」


 最後に胸の前で両の人差し指を交差させてバッテンを作り、可愛らしく締めくくるテイタム。

 

「なるほどね。下手にブラブラ出歩いたら、その周辺の魔法使いに迷惑がかかるもんな。『ああっ、せっかく一ケ月掛けて魔法陣に充填した魔力がパーに!』ってな具合に」


「そうです。魔法が大きく社会に関わっているこの世界がめちゃくちゃになってしまいます。なので、リング家は『治外法権を認められた広大なテリトリーを与えられる代わりに、その外へはみだりに出ない』、という約定を守っているのです」


「言わば軟禁されてるのも同然か。確かにそんな所に娘を嫁にやりたくはないな。だが、要は無効化魔法がいつも発動してる姑だけ制限すればいいんだろ? 魔法が使えない息子と嫁はどこへ行こうと問題ないから、自由に外出出来るんじゃないか?」


「お姑さんが行動を制限されている前で、息子さん夫婦がイチャつきながら、『お義母様、私達また旅行に行って来まーす♪』、とは中々言い出せないでしょう」


「そりゃ確かに姑としては面白くないわ」


 どの世界でも嫁姑問題は深刻らしい。

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