▼446▲ 山賊に身ぐるみ剥がされた後に食器洗浄機へ放り込まれ番台さんに怒られる旅人
着ぐるみパジャマを脱いで全裸になったグレタとイングリッドに、山賊に襲われた旅人よろしく身ぐるみ剥がされて全裸にされたエイジン先生は、食器洗浄機の中のお皿よろしく風呂場で全身に温水シャワーをまんべんなく浴びせられた後、
「さあ、観念して大人しく洗われなさい、エイジン!」
「お笑いコント的にはデッキブラシでゴシゴシやりたい所ですが、メイドの情けでスポンジを使用して差し上げます」
グレタには髪を、イングリッドには上半身を荒っぽく洗われ始めた。
「楽しそうだな、あんたら」
楽しげにゆさゆさと揺れる四つの胸に囲まれながら、風呂椅子に腰掛けて大して楽しくもなさそうにつぶやくエイジン先生。その姿はどことなく無理やり洗われるのに耐えている犬猫にも似ている。
一通り背中を洗った後、さらに調子に乗ってスポンジの代わりに自分の胸を使って前を洗おうと体を密着させて来る痴女メイドを、エイジンは逆にその無防備な股間へ左膝を、グイ、と押し当てて撃退した。
「はうっ!」
思わず変な悲鳴を上げて、ぴょこん、と飛び上がり、
「何するんですか、この変態!」
股間を押さえつつ真っ赤になって抗議するイングリッド。
「それはこっちの台詞だ」
冷静に言い返すエイジン。
と、グレタが髪を洗う手を止めて、
「イングリッドにした事は私にもするの!」
突然エイジン先生の右腿の上に真正面からまたがった。
「俺は乗馬マシンじゃない」
そう言って荒馬がカウボーイを振り落とす様に、右腿を勢いよく、グン、と押し上げるエイジン先生。
「ひゃんっ!」
同じく変な悲鳴を上げて腰を浮かし、そのまま後ろにペタンと尻もちをつくグレタ。
悠々と残りの部分を自分で洗うエイジン先生の横で、
「スケベ!」
「変態!」
「痴漢!」
「ムッツリ野郎!」
恥ずかしげも無く全裸で仁王立ちをして罵声を浴びせ続けるポンコツ主従。
「ああ、やり過ぎたよ。悪かったな。ほら、背中流してやるからむこう向いて座れ」
しかし自分の体を洗い終えたエイジン先生のその一言で、大人しく背中を向けて座るポンコツ主従。
そんなバカップルな乱痴気騒ぎの後、ようやくいつもの様に三人並んで風呂に浸かると、
「徹夜明けのテンションかな。皆、変な具合にハイになってる。銭湯なら番台さんに怒られるぞ」
エイジン先生はそう言ってため息をついた。
「こうしていると、ようやく日常が戻って来た気がしますね」
乱痴気騒ぎをさもいい話風にまとめるイングリッド。
「それはそうと、エイジン。ずっとマリリンとの中継を見てたんだけど。今回も私達を騙してたのね!」
エイジン先生に抗議するグレタ。
「ああ、その方が上手く行くからな」
しれっと答えるエイジン先生。
「どういう意味よ! 私なんかじゃエイジンの力になれないから、騙されて当然だっていうの!?」
「それもある」
「エイジン!」
「でも騙さずに事情を話せば、必然的にジェーンお嬢ちゃんを騙す側に回る事になったんだぜ?」
「そ、それはそうだけど」
「助ける為とはいえ、あの子を騙したままで付き合って行きたくはなかっただろ?」
「確かに……そうなんだけど……」
グレタはしばらく考えた後で、キッとエイジンの顔を見て、
「でもやっぱり、何か気に食わないわ!」
その右頬を指でつまんで、ぐにーっと引っ張った。
「へらず口を叩くのはこの口ですか? この口ですか?」
イングリッドも便乗して左頬を、ぐにーっと引っ張った。
「はひをふりゅ」
多分、「何をする」と言いたかったであろう面白い顔のエイジン先生。




