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古武術詐欺師に騙された悪役令嬢は今日も無意味な修行に励む  作者: 真宵 駆
▽おまけ3△ 古武術詐欺師は悪役令嬢を巻き込んで今日もよからぬ事を企む

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432/556

▼432▲ 謙虚堅実をモットーに人を騙す悪役令嬢

 サスペンスドラマの崖の上で「犯人はあなたです」と名指しする刑事の如くテイタムを告発したエイジン先生に対し、特にうろたえたりシラを切ったりする事もなく、


「私だけの功績じゃありません。エイジンさんとピーターさんのご協力があってこその成功です」


 謙虚なコメントと共に、あっさり自白するテイタム。


「何の話だ? パパも混ぜてくれないか?」


 急な話についていけず、とりあえず、「今、学校で何が流行ってるの?」的なノリで娘に尋ねるライアンパパ。


「一言で言うと、『あんたの娘さんがジェーンお嬢ちゃんを家出させた』、って話だ」


 テイタムが答える前に、横から口を挟むエイジン先生。


「それは本当かい、テイタム?」

「本当です」


 流石のライアンパパも、これには少し驚いた様子。


「ああ、誤解しないで欲しいが、『あんたの娘がジェーンお嬢ちゃんをそそのかしたんだ!』、って非難してる訳じゃないぞ。そもそも最初に家出するって言い出したのは、ジェーンお嬢ちゃんの方だろ?」


 ライアンを宥めつつ、テイタムに確認するエイジン先生。


「はい、ジェーンがジェーンのお父さんの厳しい仕打ちに耐えられなくなったのが発端です。親友の私にだけ、『私、近い内に家出する』、とこっそり教えてくれました」


「だが、ジェーンお嬢ちゃんは家出に関して具体的なプランをほとんど持っていなかった」


「はい、『とにかく逃げるの!』としか考えてませんでした。お金持ちの可愛い十二歳の女の子が無鉄砲に家出するなんて危険過ぎます。かと言って、頭に血が上ってカッとなっているジェーンにはどんな忠告も無駄です。だから心配になった私は、『面白そう。私も一緒に連れてって。連れてってくれなきゃ、全部バラすわ』と脅して、ジェーンに無理やり付いて行く事にしたんです」


「『相手の力に逆らわず、逆にこれを利用する』、か。武術の達人になれるよ、お嬢ちゃんは」


「ありがとうございます。エイジンさんに指導して頂ければ心強いのですが、グレタさんとイングリッドさんに悪いので諦めます。それはさておき、ジェーンが危ない事をしない様に、家出のプランは全部私がお膳立てしました」


「監視役の付き人をまく為に、駅から近い高級スポーツジムのトイレの小窓から逃げたり、その際トレーニングウェアを地味な普段着に着替えたりしたのも、お嬢ちゃんの入れ知恵だな?」


「はい、万全を期すべく、事前に二人で何度か実地テストもしてます」


「そりゃまた随分入念なこった。最初の逃走先を遊園地に決めたのもお嬢ちゃんだな?」


「はい、遊園地なら子供だけで一日中遊び歩いていてもおかしくないですし、何かトラブルに巻き込まれそうになっても、すぐに助けを求められるスタッフや警備員がたくさんいるので安全です」


「完璧だ。ははは、聞いたかい、お父さん? あんたのお嬢ちゃんは実に大した策士じゃないか。ジェーンお嬢ちゃんと一緒に家出すると見せかけて、その実、ジェーンお嬢ちゃんが危なくない様にずっと側で見守ってたって寸法だ。しかもジェーンお嬢ちゃんには、その意図を見破られない様にね!」


 さも面白そうにライアンパパに向かって解説するエイジン先生。


「うむ、流石は私の娘だ!」


 親バカモードになって、テイタムの頭をわしわしとなでるライアンパパ。


「ジェーンの為とはいえ決して褒められた行為じゃありません。エイジンさん、続きをどうぞ」


 そう言って、ライアンパパの手を冷静に払いのけるテイタム。ちょっと寂しそうなライアンパパ。


「そう、決して褒められた行為じゃない。君達がやったのは悪い事だ」


 少し真面目な表情になって諭す様にそう言った直後、


「でも、悪い事って楽しいよな! ストレス解消には悪い事をやるのが一番だぜ!」


 一転しておどけた口調で茶化す、色ボケライアン以上に子供の教育上よろしくないエイジン先生。

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