表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
古武術詐欺師に騙された悪役令嬢は今日も無意味な修行に励む  作者: 真宵 駆
▽本編△ 古武術詐欺師に騙された悪役令嬢は今日も無意味な修行に励む

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/556

▼38▲ ハリセンと一斗缶

 その後延々と、表向きは「名家の使用人として恥ずべき行いは慎みなさい」という説教、本音は「おんどりゃワシの男に何ちょっかいだしとんじゃゴルァ」という恫喝をイングリッドに行った後、アンヌはまるで誰かに盗られやしないかと危惧しているかの様に、独占欲丸出しで愛しのアランの腕をぎゅっと抱え込むようにして、屋敷へと戻って行った。


「なんて事をしてくれたんです、エイジン先生。これで私とアンヌとの友情にヒビが入ったらどうしてくれるんですか」


 居間に二人きりになってから、パジャマに着替えさせられたイングリッドが、無表情でエイジンに抗議する。

 

「これであんたが『俺を事実無根のセクハラで訴える』ってカードはなくなったって訳だ。逆に痴女行為の一部始終を、俺以外の二人の証人が見ているんだからな。これを聞いたら、流石にグレタ嬢も処分せざるを得ないだろうよ」


 澄ました顔で答えるエイジン先生。


「脅迫ですか」


「いや、取引きだ」


「『黙っていてやる代わりに、お前のカラダを自由にさせろ』、という事ですか」


 イングリッドは大げさにため息をついて、これみよがしにパジャマの上衣のボタンを外し始める。


「やめろ。なんでセクハラ冤罪を本物のセクハラにしなきゃならないんだ。『もう痴女まがいの事をするな』、と言ってるんだよ」


「失礼な。誰が痴女です」


「あんただよ。わざと着替えを見せ付けたり、裸で俺の寝ている所に忍び込んだり。ってか、ボタンを掛けろ」


「仮に私が痴女だとして、何かエイジン先生に不都合がありますか? 本当はそのとり澄ました顔の裏で、『漲る欲望の詰まったニック・ボウをあの女の体内に突っ込んでやりたい、ハァハァ』、などと妄想をたくましくされているのではないですか?」


「『ハリセンか空の一斗缶で、その失礼かつ下品な妄想が詰まった頭に派手にツッコんでやりたい』、と思う事はあるな。やらないけど。ってか、いい加減パジャマの前を閉じろ」


「お断りします。どうしても、私のパジャマの前を閉じさせたいというのであれば、エイジン先生自らの手でボタンを掛けてください」 


 そう言って、ずい、とパジャマの前の開いた隙間から胸の谷間とよく割れた腹筋が丸見えになっている上半身を、エイジンに突き出すイングリッド。


 エイジンは、はぁ、とため息をつき、


「一つ言っておくが、内弟子よろしく俺の側をウロチョロした所で、古武術の奥義なんて永遠に習得出来ないからな」


 イングリッドを無視して寝室に入って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ