表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
古武術詐欺師に騙された悪役令嬢は今日も無意味な修行に励む  作者: 真宵 駆
▽おまけ3△ 古武術詐欺師は悪役令嬢を巻き込んで今日もよからぬ事を企む

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

355/556

▼355▲ 女子小学生の下着を選んであげる面倒見のいい不審者

 油断も隙もないピーターが一本道を外れることなく無事正門から出て行くまで、一部始終を玄関先からしっかり監視した後、エイジンとイングリッドも小屋へ戻る事にした。


「あれで良かったのですか、エイジン先生?」


 小屋へ向かう途中でイングリッドが尋ねる。


「ああ、名演技だ。あんたはよくやってくれたよ」


 素直にイングリッドを褒めるエイジン先生。


「ピーター様は、こちらの話を全く信じていないご様子でしたが」


 そう言いつつ、並んで歩くエイジンに寄り添い、自分の頭を傾けて「なでろなでろ」とアピールするイングリッド。


「信じようと信じまいと、確たる証拠がなけりゃ小屋には踏み込めないから、まずは大丈夫だ。ま、今後奴の動きには要注意だが」


 差し出されたイングリッドの頭を優しくなでてやるエイジン先生。

 

「では、またこちらへ何か仕掛けて来ると?」


「絶対来る。とりあえず戻ったら作戦会議だ」


 なでるのをやめ、手を引っ込めようとするエイジン先生。


「もうちょっとなでてください」


「もう小屋に着いたぞ」


「では、小屋の周りを何周かしましょう」


 極端に歩く速度を落とし、散歩から帰りたがらない子犬の様に駄々をこねだすイングリッド。 


 そんなイングリッドの首根っこをつかんで、無理やり小屋に戻るエイジン先生。


 アランにドアの鍵を開けてもらい、中に入ると、


「何とかピーターのオッサンは追い返した。あの子達はまだ寝室に隠れてるな?」


 と尋ねた。


「はい。今も二人で仲良くラジオを聞いてますよ」


 犯罪の片棒を担がされた気疲れで神経が参り気味のアランが答える。


 エイジンはジェーンとテイタムが隠れているイングリッドの寝室に行き、ドアをノックして、


「俺だ。ピーターは帰ったから、もう出て来ていいぞ」


 と中に声をかける。


 すぐに二人の家出娘、ジェーンとテイタムがドアを開けて姿を現し、


「ありがとう、助かったわ。一時はどうなる事かと思ったけど」

「本当にありがとうございました」


 前者はほっとした様子で、後者は落ち着いた様子で、それぞれ礼を述べた。


「一息ついた所で、お嬢さん達のお話を聞かせて欲しいんだが、もう夜も遅いな」


「私、この時間はいつも起きてるから大丈夫よ。テイタムだけ寝かせてあげて」


 ジェーンがそう言うと、


「私も大丈夫。ジェーンと一緒に起きてるわ」


 テイタムもこれに付き合う構えを見せる。


「いや、やっぱり詳しく話を聞くのは明日の朝にしよう。今日の所は夕食をとってゆっくり寝るといい。と、その前に風呂か。服が汚れたままじゃ気分も悪いしな」


 エイジンは廊下で待機していたイングリッドの方を振り返り、


「この子達をバスルームまで案内して、風呂と脱衣所の使い方を一通り説明してやってくれないか。何なら一緒に入って洗ってやってもいい」


 と頼んだ。


「それには及ばないわ。使い方だけ教えてもらえれば、テイタムと私だけで入れるわよ」


 イングリッドが答える前に、子供扱いを拒否するジェーン。


「では、使い方だけ説明させて頂きます。ジェーンお嬢様、テイタムお嬢様。どうぞこちらへ」


 それを受けて、二人の女子小学生をバスルームに誘導しようとするイングリッド。

 

「着替えの寝巻は俺が倉庫から取って来るから、後であんたが脱衣所に置いてやってくれ」


 エイジンが後ろから声を掛けると、立ち止まって振り返り、


「女子小学生が穿く下着を手ずから選びたい、と仰るのですね、エイジン先生」


 冷やかな視線を向けながら答えるイングリッド。


「あ、悪かった。デリカシーがなかったな。じゃあ、すまないがあんたが倉庫に行って取って来てくれ」


「私を倉庫に遠ざけている隙に、うっかりを装って女子小学生相手に『お風呂でバッタリ』を発動するつもりですか?」


「しねーよ! じゃあ、アンヌにでも頼むか」


「いえ、やはりエイジン先生にお願いします。ゆっくり時間を掛けて吟味して、女子小学生の為にどの様な下着を選ぶのか、とくと見届けさせて頂きましょう」


「やめろ。さっきから、二人のお嬢様方がこっちを怪訝な目で見てるだろ」


「別に、下着も寝巻も着られれば何でもいいわよ。よっぽど変なのでなければ」


 怪訝な目で二人のやりとりを見ながらも、着る物に関しては特にこだわらない様子のジェーン。


「俺が適当に普通の安っぽい奴を選んで取って来ていいか、ジェーンお嬢様?」


「気にしないわ、ね、テイタム?」

「はい。お任せします」


 こうしてあっさり二人のお嬢様の許可が下りる。


「エイジン先生、許可が出たからと言って、ここぞとばかりにスケスケのセクシーランジェリーを女子小学生に着せようとするのは人として」

「肌の露出が少ない、生地が厚手の、あったかい寝巻を選んでやるから楽しみにしてろ」


 こうしてエイジン先生は管理責任者のアランを連れて倉庫へ、イングリッドはジェーンとテイタムを連れてバスルームへと、それぞれ移動した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ