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古武術詐欺師に騙された悪役令嬢は今日も無意味な修行に励む  作者: 真宵 駆
▽おまけ2△ 今日も悪役令嬢は古武術詐欺師に騙されまいとして全力で立ち向かう

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302/556

▼302▲ ズバリ! 好きな軍用機で分かる性格診断

 うつぶせに倒れた所を、エイジン先生にアンクルホールドをがっちりと極められ、完全に詰んだ状態のアーノルドが、


「私は……マリリン様の……命令を最後まで……守らねばならない!」


 それでも苦痛に耐えつつ、ご主人様であるマリリンの為に最後まで戦う、という悲壮な決意を表明する。 


「マリリン様なら心配ねえよ。いっぱしのゲーマーなら、勝敗が確定した時点で投了するのは、ごく当然の行為だ。プロのチェスプレイヤーは、キングを取られる何手も前に負けを認めるぜ?」


 そんなアーノルドの左足首を容赦なく痛めつけながら、「早く負けを認めて、このゲームから降りろ」、という説得を続けるエイジン先生。ある意味、説得というより拷問と言った方が早いかもしれないが。


「痛みに……負けて……自分が……助かりたいが為……任務を放棄するなど……もっての他!」


「いや、だから。あんたがこのまま足首をやられたら、どうしたって、『エイジンを捕まえて来い』って任務は遂行出来なくなるだろ? つまり、ここでギブアップしてリタイアしても、ギブアップせずに俺を追いかけられなくなっても、結果は同じなんだよ。それが分からない程、マリリン様はバカじゃない。ここまで頑張ったあんたの事は、『よくやった』と褒めてくれるさ」


「私の……信念の……問題……だ!」


「あんたがどんなに精神主義を唱えようと、当のマリリン様は徹底的な合理主義者だと思うぞ。その証拠に俺が最初にマリリン様に会った時、『一番好きな軍用機はB-29』って言ってたぜ」


「何の……話だ……」


「B-29が好きな奴に精神主義者はいない、て話だ。設計思想から運用方法に至るまで、B-29って爆撃機は合理主義の塊と言っていいからな。そこに精神主義の入る隙はこれっぽっちもない」


「……それでも……私は……マリリン様の命令に……従うのみ」


「なあ、今俺達がやっているのは戦争じゃなくて、ただのゲームだ。ただのゲームで足首を破壊するまでやる必要はない。ましてやマリリン様は合理主義者だから、仮に実際の戦争でだって、『降服は許さない。最後まで戦え』、なんて無茶な命令は出さねえよ。スターリングラードじゃあるまいし」


「……マリリン様の命令に……従うのみ」


「壊れたレコードかあんたは」


 説得の余地なしと見たエイジンは、心底うんざりした表情になり、


「マリリン様の命令に従う事が、あんたにとって人生の全てなんだな。じゃあ、仕方ない」


 右手でつかんでいたアーノルドの左足のつま先を、グキ、とひねり、その足首を破壊した。


 苦悶の表情を浮かべつつも、超人的な精神力で激痛をこらえて声を押し殺すアーノルド。


 エイジン先生はアーノルドの左足を解放して、そっと地面に置き、


「まったく、恋愛ってのは人を狂わせる」


 この融通の利かない一途なマッチョ男に対し、敬意と憐みの入り混じった口調でつぶやいた。

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