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古武術詐欺師に騙された悪役令嬢は今日も無意味な修行に励む  作者: 真宵 駆
▽おまけ2△ 今日も悪役令嬢は古武術詐欺師に騙されまいとして全力で立ち向かう

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294/556

▼294▲ 美女に命令される事に無上の喜びを感じるタイプの男

 鬱蒼とした木々の中、あるのかないのか分らない様な山道を踏み分け、野生動物の様に迷わず目的地に進んで行くアーノルド。


 そしてその三メートル程後ろから、


「山歩きはいいねえ、少年の頃に心が戻る」


 拾った小石で、道の脇に立ち並ぶ木々に時々引っかき傷を付けながら、のんびりとついて行くエイジン先生。


 基本、アーノルドは何を話しかけても返事しないのだが、


「あんたも大変だな、ご主人様の途方もない気まぐれに付き合わされて」


「問題ない」


 雇い主であるマリリンを揶揄すると、ようやく食い付いて来た。


「なあ、マリリン嬢のやろうとしてる事って、どう考えても犯罪だぜ。ここは一つ、あんたからも馬鹿な真似はやめる様に忠告してやってくれないか。具体的に言うと、報酬はそのままで、『魅了の魔眼』を使って奴隷化する罰ゲームだけカットすればいいから」


 心配していると見せかけて、自分にとても都合のいい事をアーノルドにやらせようとするエイジン先生。


「一使用人である私に、その様な権限はない」


 歩きながら振り向かずに返答するアーノルド。


「使用人だからって、ご主人様の犯罪の片棒まで担ぐ義務はなかろうよ」


「たとえ犯罪であろうと、マリリン様の命令は絶対だ」


「じゃあ、あんたはマリリン様が『死ね』って言ったら死ぬんだな」


「無論だ」


「『魅了の魔眼』で既に洗脳済みだったのか。可哀そうに」


 近くの木の幹に小石で大きなバッテンの引っかき傷を付けながら、呆れ気味に言うエイジン先生。


「断っておくが、マリリン様が私に『魅了の魔眼』を使用した事実はない」


 淡々と、しかし言葉に力を込めて反論するアーノルド。


「魔法抜きで洗脳されてるのか。重症だな、こりゃ」


「口を慎め。マリリン様は、それだけお仕えする価値のあるお方なのだ」


「そっか。美女に命令されるのがそんなに好きか。あんたにとってこの仕事は、ある意味天職なんだな」


 何気に失礼極まりない事を言ってからかうエイジン先生だったが、アーノルドは特に怒った風もなく、


「ああ、天職だ」


 と真面目な口調で返して来た。


 その絶妙なタイミングに不意を突かれて噴き出し、少しむせてしまうエイジン。


 美女に命令されるのが天職。

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