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古武術詐欺師に騙された悪役令嬢は今日も無意味な修行に励む  作者: 真宵 駆
▽おまけ2△ 今日も悪役令嬢は古武術詐欺師に騙されまいとして全力で立ち向かう

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▼289▲ 遊ぶオモチャと遊ばれるオモチャ

 グレタが隼の上半分を濃緑色に、エイジン先生がMiG-15の全体を銀色に、ちまちまと筆で塗り終えた所で、


「よし、今日はここまでにしとこう。続きはまた明日だ」


 エイジンがその日のプラモ製作作業の終了を宣言し、二人は作業スペースの片付けに取り掛かった。


「まだ、アンヌとのトレーニングの時間まで結構あるわ」


 片付けながら、グレタが少し物足りなさそうな口調で言う。


「換気タイムだ。シンナー臭い稽古場でトレーニングしたくないだろ」


「それはそうだけど」


「窓は全部開放してるし、換気扇も回してたから、空気はそれほどこもってないけどな。プラモ製作で一番大事なのは換気だと言ってもいい」


 一通り片付け終わると、グレタはエイジンの着ている作務衣の上衣の裾をぎゅっとつまみ、


「アンヌが来るまで、まだ帰っちゃダメよ」


 プラモ製作作業で出たゴミの入った袋を持って稽古場の外に出ようとするエイジンを引き留めた。


「とりあえずシンナー臭いから、ここを出るだけだ」


 裾をつまむグレタの手を取って稽古場の外に連れ出し、エイジンは立ち話を始める。


「明日から、アンヌはアラン君と旅行だろ。通常トレーニングはしばらくお休みか?」


「体がなまっちゃうから、その間、エイジンがアンヌの代わりにトレーニングに付き合って」


「柔軟運動で体を押す位ならやってもいいが」


「出来れば何か技を教えて欲しいんだけど」

「やだ」


「即答ね」


「理由は今までに何度も言った」


「分かってるわ、と言いたい所だけど、単に面倒くさがってるだけじゃないでしょうね、エイジン?」


「それもある」


「エイジン!」


「怒るな。ちゃんとプラモ製作の指導はしてやるから」


「自分の趣味の事になると熱心なのね!」


「それが男の子ってもんさ」


「女の子にも気を遣ってよ!」


「今、こうして気を遣ってる」


「そ、それは、まあ、そうだけど」


 不意を突かれて少し赤くなるグレタ。


「いっそ、通常トレーニングの時間も全部プラモ製作にあてるか」


「気を遣う気ないじゃない!」


 怒りで赤くなるグレタ。


「冗談だ。アンヌの代理とまではいかないが、出来る範囲で付き合ってやる」


「わ、分かればいいのよ」


「ただ、ひょっとすると、またジュディ様から突然の呼び出しがあるかもしれない」


「ジュディから? また魔法捜査局の仕事で?」


「例のマリリン嬢だ。どうも、このまま大人しくしてるとも思えん」


「そうね。エイジンの事を随分気に入ってたみたいだし」


 少し言葉にトゲを含ませるグレタ。


「猫がネズミをオモチャとして気に入る様にな」


「面白そうね。私もエイジンをオモチャにして遊んでみたいわ」


「あんた、俺の身を案ずる気ゼロだろ」


「あら、そんな事ないわよ?」


 エイジン先生の言葉の一つ一つに、喜んだり、怒ったり、哀しくなったり、楽しくなったり。


 むしろグレタの方がエイジンのオモチャにされている。

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