▼272▲ 頭のおかしい痴女二人
「話自体はすぐ済みますから」
と言って、夕食の誘いを断ろうとするジュディを、
「すぐ済まないかもしれないぜ。こっちから確認しておきたい事もあるし」
エイジン先生は追い立てる様にして、キッチンに移動させた。
テーブルを挟んで片側にジュディ、もう片側にエイジンとグレタの一対二で向かい合って着席し、給仕を務めるイングリッドが、
「今晩は牛肉の大和煮をメインに和風の煮物と、白米のご飯と味噌汁になっております。ジュディ様、お箸で大丈夫ですか?」
とジュディに尋ねる。
「使えるので大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
受け取った箸を器用に使い、煮物の豆粒を取ってみせるジュディ。
こうしてその日の夕食が始まり、皆でイングリッドの料理の腕前を褒めた後、
「では、話を戻しましょう。私は今、あの城でとある魔法使いの女性を取り調べているのですが、エイジンさんに一、二時間程、彼女の話相手になって欲しいのです」
ジュディが本題に入る。
「話すだけ?」
少し不安そうにグレタが尋ねたが、何を心配しているのかは明白である。
「話すだけです。それ以上の行為に及ぶ必要はありませんし、私が監視カメラで見張っていますから、不埒な行為に及んだら、即介入して引きはがします」
「発情期の犬猫かよ。大体、俺は会って間もない女と不埒な行為に及ぶ気はねえぞ」
失敬な想定に一応抗議しておくエイジン。
「では、何ヶ月位付き合ったら不埒な行為に及んでくださるのですか?」
横から口を挟むイングリッドをスルーして、エイジンはジュディに、
「もしかして、その魔法使いは頭のおかしい痴女か何かか? 男が入っている風呂に乱入して来たり、寝床に潜り込んで来たり」
と尋ね、頭のおかしい痴女二人からテーブルの下で軽くその足を踏みつけられた。




