▼159▲ 風呂バカップルの生態
その後、全裸で正面から抱きつく事をあきらめたイングリッドは、
「対面座位が駄目なら、背面座位ではどうでしょう」
「体の向きが問題じゃないんだが」
さらなる提案も却下され、結局エイジンの隣で肩と肩をくっつけて入浴する事で妥協した。
「まったく。中学生ですか、エイジン先生は」
イングリッドが不満げに言う。
「中学生が男女で一緒に入浴してたら大問題だと思うが」
冷静に返すエイジン。
「今時の中学生カップルは平気で一緒に入浴しますし、潜望鏡プレイすら軽くこなします」
「どんな中学生カップルだよ」
「羨ましいですか? エイジン先生がそのまま腰を浮かせてくだされば私が横から口で」
「やかましい」
「まあ、これはこれで中々良いです」
そう言ってイングリッドは、エイジンの肩に自分の頭をもたせかけた。
「ああ、こうして広い湯船に浸かると確かに気分いいよな。小さなバスタブだと疲れが取れない」
「そういう意味ではないのですが」
「さて、俺は体を洗いに行くから頭をどけろ」
「それでしたら、お背中をお流します」
「いいよ、ここで広い湯船を独占してな」
「いえ、お流しします」
エイジンの抗議を無視し、イングリッドも一緒に湯船を出ると、シャワーのある所までくっついて来て、ボディーソープを付けたスポンジで、有無を言わさずエイジンの背中をこすり始める。
「やめろ」
「浴室で暴れると危険ですよ、エイジン先生」
そのままなしくずしにエイジンを椅子に座らせ、その背中をスポンジで丁寧に洗い、
「はい腕を上げてください」
右腕を取ってそこにまたがろうとしたので、エイジンはあわてて腕を振り払った。
「何をする」
「別に変な事はしませんよ。ただのタワシ洗いです」
「一体どこからそんな知識を仕入れて来るんだよ、あんたは」
「分かりました。普通にスポンジを使いますから、腕を上げてください」
スポンジで腕を洗った後、そのまま前も洗おうとしたので、
「もういい、後は自分でやる」
「ここからが一番のお楽しみなのですが」
「そんなお楽しみはいらない」
「いえエイジン先生ではなく、私のお楽しみです」
「何で俺があんたを楽しませなきゃならないんだよ」
どっちにせよ、傍から見るとただのバカップルである。