表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
古武術詐欺師に騙された悪役令嬢は今日も無意味な修行に励む  作者: 真宵 駆
▽本編△ 古武術詐欺師に騙された悪役令嬢は今日も無意味な修行に励む
104/554

▼104▲ 有給休暇の無駄遣い

「今日の夕食はチーズフォンデュです。熱い内にどうぞ」


 ボンデージ衣装からいつものエプロンドレス姿に着替えたイングリッドが、エイジンに言う。


 二人は、テーブルの上に置かれた卓上コンロで、取っ手付きのホーロー鍋に溶かしたチーズフォンデュに、小さく切ったバゲットや茹でた野菜やソーセージなどを浸しながら食べ、


「最後は、鍋の内側をきれいにバゲットで拭き取るといいんだよな」


 エイジン先生が聞くと、


「そうして頂くと後片付けが楽です。何でしたら、直接鍋を舐めてきれいにしてくださっても構いません」


 イングリッドが真顔で答える。


「いい大人なのに、今、『ちょっとやってみたい』、と思った自分が情けない。アイスの蓋の裏じゃないんだから」


「舐める時は、床に這いつくばって犬の様に」


「まだ引っ張るか、そのネタ」


 いつもの様にくだらない事を言い合いつつ夕食を終え、ジョギングに出てからシャワーを浴びると、もう就寝時間である。


「今晩からまた全裸で復帰します」


「しなくていい」

 

 照明をナイトランプに切り替えるや、抗議を無視して今まで着ていた服を全て脱ぎ、エイジンのベッドにごく自然にもぐり込んで、そのすぐ隣に横付けになるイングリッド。


「エイジン先生も、全裸になってみてはいかがですか。洗ったシーツを直接肌で感じるのは、中々気持ちがいいものですよ」

 

「取り込んだ洗濯物の上で寝る猫か。どうしてもやりたいのなら、自分の布団でやってくれ」


「さて、今夜大いに語り合うテーマですが」


「無視か」


「『エイジン先生が元の世界に帰った後の、私の予定について』、です」


「ああ、確か一ヶ月間無休で俺の世話をしてくれた分、まとめて休みがもらえるんだったな」


「はい。結局、旅行に行くことに決めました」


「計画通りなら、俺が帰るのは五日後だから、もうすぐだ。ま、働き詰めだった分、のんびり休んでくれ」


「そう言って頂けると、ありがたい限りです」


「帰ったらあんたと二度と会う事もないだろうが、元気でな」


「いえ、エイジン先生の所に泊めて頂こうかと思っていたのですが」


「何?」


「バカンスは、エイジン先生の世界で過ごす事に決めました」


 異世界からメイドがストーキングしにやって来る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ