表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
古武術詐欺師に騙された悪役令嬢は今日も無意味な修行に励む  作者: 真宵 駆
▽本編△ 古武術詐欺師に騙された悪役令嬢は今日も無意味な修行に励む
10/554

▼10▲ 復讐の意味

「では、今日はここまでだ。修行は明日の早朝から始める」


 キャットファイトの再現という、ややマニアックなジャンルの動画撮影を終えたエイジン先生が、そう言い渡すと、


「は? 時間がないのよ。今すぐ始めてちょうだい」


 グレタがイライラした口調で抗議した。


「とにかく、今日はもう終わりだ。後は休むなり、アンヌと通常のトレーニングをするなり、好きにすればいい」


「明日、具体的にはどんな修行をするつもり?」


「明日になれば分かる」


 いかにも古武術マスターっぽく、弟子の言う事に耳を貸さず、あくまでもマイペースに事を運ぶエイジン。


 その上、不満げな顔をしているグレタに向かい、偉そうな調子で、


「修行を始める前に、一ついい教訓を教えてやる。『復讐はバカの自己満足に過ぎない』」


 と煽る始末。


 グレタは一瞬激しい怒気を露わにしたが、何とか落ち着きを取り戻し、「ふん」、と相手をバカにする様に軽く笑い、


「復讐の為なら、バカで結構よ」


 と言い返した。


 その後、アンヌと通常のトレーニングを始めたグレタを残し、エイジンとアランは稽古場を後にする。


「冷や冷やし通しでした。あまり過度に挑発するのは控えた方がいいと思います」


 屋敷内に用意された客室へ案内する途中、アランが心配そうに言うと、エイジンは平然とした口調で、


「逆だよ。こういう場合、下手に出た方が却って怪しまれる。どこまでも偉そうな態度で、いかにもその道の大家っぽく見せかけといた方がいい」


「そういうものですか」


「言葉の合間に、それっぽい教訓を挟むのも有効だ。さっきの、『復讐はバカの自己満足に過ぎない』、とかな」


「それはそれで、いい教訓だと思いますが」


「俺が一から考えた訳じゃない。有名な映画に出て来るセリフを、ちょいと改造しただけだ」


「何の映画です?」


「詐欺師の映画」


「いい教訓が台無しですね」


 はぁ、とため息をつくアラン。


「でも、いい映画なんだぜ。俺は特に、列車内で行われるイカサマポーカーのシーンが大好きでね、そこだけ百回以上は繰り返し見たかな」


「随分と、研究熱心な事で」


 頼もしいやら呆れるやらで、複雑な心境のアランだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ