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雨天無能家の日々  作者: 雨天無能
3/10

春和


天候:雨

環境:自宅一階ロビー

状況:夕食後


一週間も雨が続いています


旦那様はこの一週間、仕事もせずに惚けておられます。


いや、公私共に『雨天無能』なんてありがたくもない肩書きを一族、ご友人、上司、近隣の皆様から公に言われて誰一人責めもせず笑って私に『大変だね。でもあまり責めちゃ駄目だよ。』とか言われてしまうほど本当になんと評価していいのか迷ってしまいます。


あ、自己紹介が遅れました


私、雨天無能家でメイドをしております『春和」と申します


この雨天無能家は私を含め4姉妹がメイドとして雇われております


あと、妹の夏美の友人が食客扱いで住んでおります。

なぜ妹の友人が食客なのかは色々あってメイドとしてはいささか、いえ、かなり問題がありまして、なんというか、そうですね、いろいろあったんですよ、あったんでこうなりましたとしか。


まあ、彼女『海空』さんはかなり有能なんでうち、あ、いえ、当家よりもっと上を目指しても、迎賓館のメイド長すら問題ないと思うのですが、まあ、いろいろ思うところがあるのでしょう。


そういう意味では家の旦那様と双璧をはれるかと


とか考えてたら旦那様がため息ついてます、本当は私の方がため息つきたいですよ。


「あっ、秋穂ちゃんは厩にいたのか」


今頃気付かれたんですか、さっき厩に行くって秋穂が声かけたら手を振って返事されてたじゃないですか


「ええ、雨が降っていても榛名号やDOG'S達の世話は必要ですからね。」


本当この方は雨が降ってると昼行灯処か無能になっちゃいますね


「菜園や果樹園、花壇のお世話をお願いしているわけでは無いのですよ。」


「せめて御自分の溜めている書類を少しでも片付けては頂けませんか。」


「天候次第で仕事ぶりが天地程も違うと言うのは色々と探られてしまいます。」


「と言うかよくこれで公務を滞りなく催促されずに今まで来れたものです。」


「だって一週間も雨が続けば憂鬱にもなるでしょう。」


「それに書類を片付けてもその書類を取りに来れないんだし。」


「そもそもそんな急ぎ仕事をこんな辺境に回しもしないし。」


「旦那様、それは仕事を後回しにしていいと暗に言われているのですか?。」


うーん、家宝の剣を抜き身で持っているんですがあまり効果がないですね、これはやはり愛弓を持ってくるべきでしたか。


「いやいやそんなことはいってませんよ。」


「いうわけないじゃないですか。」


「おしごとはたのしいですよ、たのしいな。」


「なに、棒読み始めてるのですか。」



「ご飯まだ~、家の娘達のご飯は終わったから今度は秋穂の番だよね。」


「秋穂、もうすぐだから着替えてらっしゃい、その間に旦那様とお姉ちゃんのイチャラブも終わるだろうし。」


「「してません!」」


夏美が私と旦那様のやりとりをイチャラブなんて喩妬するものだから思わず反応してしまいました。


旦那様と一緒に。


毒気が抜けたので家宝の剣は剣架に戻しておきましょうかね。


末妹の冬華が腕を振るう料理は美味しいです。


その筋の方々は冬華を料理長に迎えたいってお話を持ってこられるのですが、冬華自身が全て断ってしまっています。


お姉ちゃん達と一緒が居いとか可愛いこと言ってくれるのでお姉ちゃん冥利に尽きます


因みに冬華の料理の師匠は海空さんです


本当この方有能過ぎて残念差が半端ないです


そう言えば、海空さんを料理長に迎えたいってお話は全く聞きませんね、何でなんでしょう。


食後は片付けついでにワインの残りも片付けちゃいましょう。


旦那様、殆ど飲めないのにワインの収蔵量は半端ないんですよね、ここでも飲めない物を収蔵するって有能なのか無能なのか判断出来ません。


でも、冬華の焼いたクッキーは美味しいです。


さて、秋穂と冬華は就寝するために自室に行きましたから、後は執務室の書類を片付けますか。


「夏美、執務室の書類を片付けますから手伝ってもらえますか。」


「では夜食は軽く私が作りましょう、お茶は何にしますか。」


「海空さんにお任せします。」


「では私は書類を先に分別しましょう、期日毎で良いですね」


「今から提出間際の徹夜か。」


「この一週間で普通に終わる量だったはずですが。」


ついつい厳しく言ってしまいます。


「雨が悪いんだ、一週間も降る雨が。」


「なにかおっしゃいましたか。」


「いえ、なにもいってはおりません、はい、なにも。」


「よろしい。」


やれやれです。


あっ、秋穂と冬華の二人に海空さんの夜食を食べたかったって責められるんだろうな


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