プロローグ
修羅場と化した戦場は、もう静けさを取り戻し、ひやりとした風を吹かせていた。城が突然襲撃されなんとか防衛には成功したものの、そのせいで多くの命を失った。
そこに三人の男達がいた。それぞれ、忍者、武士、侍であった。
三人とも今日の戦いで疲れていたが、侍だけは死んだ仲間をおもい、涙を流し続けた。
忍者も武士も、別に悲しくないわけではない。ただ、涙を流すことのできない理由があったのだ。
侍は泣き過ぎて腫れた目で忍者と武士を睨んで言った。
「何故涙を流さない?こいつらは皆、仲間だったんだぞ!それなのに何故⁉︎」
「優竹、俺たちには泣けない理由があるんだよ」
武士の男は静かに言った。どうやら侍の名前は、優竹と言うらしかった。今度は忍者が口を開いた。
「あそこに転がっている死体、あの死体は木島 拓磨という、五十を過ぎた老武士だ。周囲からの人望も厚く、頼り甲斐のある優しいじじいだった。しかし、今はこうして安らかに眠っている。俺たちよりも二倍以上も生きているのに、死ぬときは一瞬だった」
「結局のところ、高く高く、積み上げたものほど案外あっけなく崩れるのかもしれないな」
武士の男は胸の奥から込み上げてくる悲しみをこらえながら、なるべく冷たく言うようにした。
「お前達は死んだ仲間のために涙ひとつ流せないような冷たい男なのかよ。佐風、剣護!」
「そうだよ、流せないんだよ。でもけして俺たちが冷たいからではない。俺たちは、」
佐風は否定した。
俺たちは…。
「涙を流すには悲しみを感じすぎた」




