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8.vs純なる闇、EXバトル。命の危険となれば奥の手使わざるを得ない

 ―零士。伝説の格闘王の名をもっているだけの事はあり、強い。私は彼と闘った後、一体何を想っているのでしょうか?―




 今日の対戦相手は今までで一番強いであろう人物零士です。

 あ、ヴォルフとザゴンも無事ベスト8へと進出しました。


 今日の日程は

 第一試合―セレナ()vs零士

 第二試合―ボーグレムvsアルト

 第三試合―ヘンリーvsチャン

 第四試合―ヴォルフvsザゴン

 となっています。


 第一試合の私はもう出番が始まるのでヴォルフやミカン、ドクター達に見送られて今コロッセオの選手入場口への通路を一人寂しく歩いています。


 ドクターとは試合の後話の折り合いがついて一応の協力関係を築けました。

 来年へと向けて今から伝手をつくって置きます。そうすれば対策されても私がそれを超える強さを持てばいいのですから。


 通路を歩いて…浮遊してるので滑って?いけば、誰もいないからか後ろに気配が現れます。


 黒いゴスロリ衣装な少女ルーデリカ。彼女との不思議な出会いは昨日、ザゴンの試合が始まる頃の話です。



※※※


 「貴女に魔法の力を感じる。あと契約がネジ曲がってて面白い」


 後ろから話しかけられた。ザゴンの試合を見ようと観客席へと向かっていたのですが、後ろを振り替えって見てみれば銀髪無表情系美少女、まさに「人形のような」という形容詞は彼女のためにあるのではないかと思うほど整った風貌の少女が目の前にいました。


 「本来貴女は火の使い手。でも闇の才覚ある。しかも高貴で純なる私と契約に値する。」


 火の使い手って言うのはサラマンダーの使用頻度的な意味合いかな。でも『永遠に凍り続ける世界』のことも考えれば氷の使い手でも良い気はします。それと、闇の才覚ってなんでしょう?というか契約?


 「『冥界の門よ開け』の超必殺持ってた筈。その時点で貴女は闇の才覚に加えて死にまつわる何かを経験している筈」


 「まつわる何か?」


 「何かはわからない。けれど貴女は門を開かなかった。故に貴女は死の闇ではなく、純なる闇の素質が開花した。そして、それによって近くにいたわた…我が貴女を見つけた。火の精霊よりも先に。アーディアざまぁ。」


 良くわからなくなってきました。

 「純なる闇の素質って言うのはなんのことでしょうか?」


 あ、声に出ちゃいました。


 「闇の精霊にも三種類ある。まず唯の闇の精霊。次に境界線を破りし闇の精霊と最後に我、高貴なる純な闇の精霊。

 貴女は身近な人の死に直面したことがある筈。そしてそれが到底信じられるものではなかった。そして才覚があったが故に門を開く権利があった。しかし貴女は開かなかった。故に我と契約する権利がある。」


 答えてくれるものですね。この娘は精霊だったのなら契約ということばにも納得です。って、ん?


 …………………………………………………………………………………あ、答えわかった。これ、私自身です。


 私は転生者。何故転生したのか、可哀想に思った神様が転生させてくれたから。何故?…死んでます、私、一度。

 つまり、身近な人の死って前世の私って意味ではないでしょう私の場合は。


 多分門ってのはその身近な人を蘇らせることができる技だったんだろうと推測。試合じゃなくても『技表』の技は使用できる。だから門を開いてしまう人が多かったのだと思う。私ももし身近な人が死んでしまって蘇らせる方法があるのなら使ってしまうと思いますし。

 でも私は転生者。私自身がこちらに来たばかりだから門を開くような知り合いもいなかった。だから純粋な技としてしか見なかったし、『永遠に凍り続ける世界』の存在が使おうと思う気すら与えてくれなかった。


 今思えば元ゲーマーでもある私が使えないからといって、一度も使わないまま技を腐らせるなんてことをするであろうか…?


 やめておこう。ナニか考えてはいけない領域な気がします。


 「門を開かなかった私はあなたと契約することができるということですね?」


 「わた…我を倒してみるが良い。ただしこれは試合ではない。負けたら貴女は死ぬ。」


 え、死ぬ!?

 聞き返す間も無く変わる風景。闇一色なのに相手と自分はわかる、そんな空間。


 なお、ルールは一本勝負、LIFE100%、私は負けたら死ぬ。だそうです。なんて理不尽な。


《げっとれでぃー、あたっく。》


 しかもラウンドコールは自前ですか!?

 棒読みくさい声が響く。


 しかし、LIFEもゲージ表示も無い本当の意味での野良試合。ゲージも0からスタートなんて酷い。

 私の直感が叫んでいます。一瞬で決めないと私の人生は終わるって。

 あの人形のような少女はそれくらいのプレッシャーを放っているということ。


 ワープで近寄る。これは誰にも知られていない奥の手だけど身内になる様なものですし、知られても良いと思いましょう。というか直感を信じるのであれば出し惜しみをする余裕はありません。


 そのまま抱きつき口づけをする。驚く顔も可愛いですというより表情が動いたの初めて見ました。『凍えろ(・・・)ウンディーネ』発動。相手の口内から凍る息吹を流し込む。そしてそのウンディーネ、実は新技でEX版なのです。え、名前違うからわかってた?実はこれ正真正銘ガチな奥の手なんですよ。EX版の性能は威力増大なだけなんですが体内にいれた場合のみ、別技扱いとなってしかも『永遠に凍り続ける世界』と同じ効果を得るのです。

 ゲージ使わない癖に10割でも固定ダメージでも無い純正即死というものですし。


 故に耐えきれることもなくルーデリカを沈める。



 ……………………………………………………………………あ、ラウンドコールセルフなんでしたっけ。


 《K.O!WINNERセレナ!》

 良い発音だと思いません?




 「見事。我を倒した。契約する。」


 いつの間にやら復活したルーデリカが立っている。

 問答無用でなんか黒いなにかが体に入り込んできました。………。あれ?終わり?   


 「契約は完了。」


 目の前の人形のような少女は一度黙る。なんか空気も重くなったような…。


 「主様ー。初の私の主様、永遠に一緒に過ごしましょうね。私の事は愛を込めてルーとお呼び下さい。目的があるなら私も全力で力を貸しますので、とはいっても主様の場合試合をする武道家という分類になると思いますので私との契約による力は練習しないと試合では使えないと思いますけど!」


 え、なんかさっきまで無表情クール系の人形らしい感じだったんですが、今はなんか蕩けるような表情なんですケド。重い空気もなぜか軽くなってまとわりつく。なんか気持ち悪いです。


 「 私の本来の姿を見せるのは私の契約者が現れてからって決めていたんですー。私との契約に失敗するかもしれない有象無象にまで私の可愛い姿を見せたくないですから。」


 こてん、と可愛らしく首をかしげながらルーデリカは続ける。


 「でも、主様は私に打ち勝った、しかも私の初物の唇まで奪って…。もう私の全てを差し上げるから主様も私に全てを預けてほしい。そして永久を共に歩みましょう」


 なんか依存してないですかこの娘。しかも永久に歩むってスッゴク重い! 


 「でも主様は明日も試合があるのですから私の力を扱う練習は闘技会とやらが終わってからに致しましょう、どうせ時間はたっぷりとありますから。私は主様の時間を邪魔したりはしません」


 この娘本当に変わり過ぎて怖い。なんかさっきから私が長生きみたいなフレーズが聞こえるのですがもしかして、


 「まさかとは思いますがルーデリカと契約したら不老不死になるとかあるの?」


 「あはは、ルーと呼んで下さらないと拗ねますよー。主様は元々不老ではないですか。不死ではないですが。私たち精霊と契約しても不老不死なんて特典は無いです」


 え、私って元々不老だったのですか!?まぁ言われれば精霊の疑いがあるわけですし納得はしますが…。


 あと、拗ねるとめんどくさそうだしルーと愛称で呼ぶことにしましょう。


 「ルーは私がなんの精霊とすでに契約を結んでいるのかわかりますか?」


 「主様はすでに自身と契約を結んでいます。それも色々ネジ曲がりすぎて私のような強力な精霊であってもわからないようなネジ曲がりかたです。その為詳細はわかりません。その上主様もわからないのであれば恐らく当分わかることはないと思う。」


 ルーのような純粋な精霊でもわからないのか。しかし、なんで当分わからないのでしょうか?


 「主様は精霊間ネットワークの存在を知らないでしょう?それならば既に答えは出ています。精霊ネットワークの繋げない精霊はこの世界には存在しない。則ち主様の契約した精霊はこの世界のモノではない。そして、主様も恐らくは…。」


 言葉を濁すルー。

 …身内みたいなものだし、この娘は人の秘密を喋り回るようには見えないし、少なくても私の秘密をベラベラしゃべる性格ではないと思います。

 ならば私も全て話すのが礼儀なのでしょう。幸いこの空間はルーの空間です。盗聴の危険性もないでしょうし今のうちに喋ってしまいましょうか。



※※※


 「主様の言う通りこの世界の住民ではなかったがために精霊契約のルールが違ったんだと思う。まず主様は技表のいう通り力をつけましょう。さすれば見つかるかもしれません、その身体の答えが。勿論私もお手伝い致しますのでー!」


 との言葉を残し、ルーは私の影へと潜った。どうやら私以外の有象無象とは喋りたくないし姿を見せたくもないらしい。

 「でもお側にはいますから呼んで下さればお声だけをお届け致します。」とのことでして。


 あ、説明はしました。ルー的には最初で最後の契約者であろう私の素性なぞどうでも良いとのことです。重い…。


 闇の空間が解除されてコロッセオの観客席へと続く通路に設置されているカッコ悪い鎧が目に映る。


 結局ザゴンの試合は見損ねてしまったが、それ以上の価値があったと思います。


※※※


 「主様では相性が悪い相手です。わかっているとは思われますが、最終ラウンドは恐らく一瞬です。そして二択です。………応援してますから。」


 最後だけ何故か小声でいうと再び影へと戻るルー。

 彼女の言う通り最終ラウンドは一瞬だと思います。そこまでの過程は大体ですが予想はできていますから、後は二択に勝てればでしょう。


 さぁ、零士との闘いへと向かいます。負けても勝っても悔いはないように全力で参りましょうか!

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