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19.モジャモジャvs原作外伝主人公、精霊の本気

※モジャモジャ視点となります

 「次の試合はあのジングの弟子とやらみたいだよ?」




 夢を見ていた。

 血筋とやらのせいで軟禁生活を強いられていて何も知らずに人形のように生きていた。今思えばという話で当時は何も疑問には思わなかったが。


 ある日アーディアが俺の前へと現れてあの屋敷から抜け出すに至った。

 その日から俺の時が動き出したと言えるだろう。


 外の世界は新鮮だった。それでもわからないことだらけで四苦八苦しながらも生きてきた。


 最初の内は喋るための知識も無くて、途中で寄った町で拾った雑誌とやらにかいてあった言葉をそのまんま真似て使っていたんだよな。アーディアはずっとケラケラ笑ってた。


 挙げ句出会った牛乳痴女…セレナと闘って負けて、アーディアと一緒に闘ってもまた負けて。

 結局あの女には勝てなかったがアーディアから詳しく話を聞いて常識とかいうのを教えてくれた。


 んであいつに連れられて天空都市へと移動して、精霊喰いとかいうのに遭遇したあと自由行動みたいな流れになった時アーディアと相談したのだが、やはり俺には常識とやらも含めて知識が足りないと判断して天空都市ローマンの図書館で勉強をしたのだ。


 それととりあえず、マライアには謝った。小屋を壊してすまなかったと。笑って許してもらえたが、それでは恐らく足りんだろう。

 あの軟禁されていた屋敷(実家)をいずれ滅ぼしにいくつもりだからその時に出てくるであろう財産をくれてやるとしよう。こういうのを確か虎の絹の皮算用というのであったか…。


  

 「ナックル!聞いてる?!」

 「む、すまない、少し思いに耽っていた。」

 「ちょっとしっかりしてよね。ルーデリカの契約者よりも残るのが目標なんだから!」

 「流石に厳しいと思うぞ。俺のブロックにはジングがいるからな。俺は社会経験のつもりで出ているんだ。アーディアももう少し素直になると良い。」

 「な、なにがよ?」

 「ルーデリカとは仲良くなりたいと本当の本当は思っていたんじゃないのか」

 「本当の本当だから本当ではないのっ!!」

 「反対の反対でも、嘘の嘘でもないのだから結局は本当なのだろ?」

 「~~~っっっ!!!もうこの話はおしまい!」


 怒ってしまった様だ。

 ……恐らくだが俺はアーディアに惚れているのだろう。俺を外に連れ出してくれて自由をくれた女神とも言える存在。惚れないわけがない。


 アーディアは可愛いし意外とと素直なところがあってそういうところも可愛い。


 アーディアと共に闘うこのトーナメントでどこまで行けるかはわからないが、アーディアに格好良い所を見せたいと思っている俺は間違ってはいないはずだ。



 「ジングの弟子みたいだけど自信ある?」

 「無いな。契約執行して一気にいくぞ」

 「…バラしちゃうのか。」

 「そうしなくては勝てないだろうしな。それに俺とアーディアの契約執行をバレているからどうこうされるというものではないだろう。」

 「そーなんだけどさー。」


 時間が近づいてきたな。行くとするか。



 《さぁ、Bブロック第一試合は謎の炎の使い手ナックル選手vs今大会にて久しぶりに表舞台に姿を現したぁ!伝説の格闘家ジング選手の弟子にして今大会でも注目度はかなり高い正統派の格闘家レイドラ選手だぁー!》

 《いわゆる喧嘩の延長というべきスタイルのナックル選手と正統派の武人とうスタイルのレイドラ選手の闘い。今年はレベル高いねー。》

 《ナックル選手は予選で去年本選出場のアスカ選手を倒しておりますし、一部では注目されていた選手です!》

 《ナックル選手は結構隠し札持ってそうだけどこの試合で少しはわかるかもねー。レイドラ選手が相手では今のところだと分が悪いよ》

 《因みにどれぐらいですか?》

 《3:7かなぁ。》

 《ナックル選手の方が分が悪そうな予想ですね!因みに何故でしょうか!》

 《ナックル選手は動きにこれだといったような信念がないんだよね。とりあえずこう動いてみるかみたいな。師匠とか居なかったんだろうね。》


 解説の言う通り師匠なんていない、ただ身体を気ままに動かしているだけだ。


 コロッセオに入ればオレンジ色の胴着を着た男が既に来ていた。


 「全力でいかさてもらう!」

 「さて、出きるだけ楽しませてもらおうか」

《ROUND1 FIGHT!》

 技を振るう。『火玉』という設置技だ。

 こいつ(レイドラ)の動きは基本ジングの劣化だと思えば良い。それでも俺の動きではこいつには勝てないだろう。

 だから出し時が大事なんだよな。


 「アーディア契約執行!」

 〈任せなさい!〉

 「なに!?」


 レイドラが近くに寄ってきた瞬間を狙って契約執行を発動する。俺とアーディアの場合は身体が燃え上がるようにして変身するためセレナと違って巻き込めればダメージが発生する。


 俺にはわからないが髪が紅く染まってマフラーを装備させられた姿になるらしい。


 「さっさと決めるぞ」

 〈このラウンド取れなきゃ負けだもんね、いくよ!〉


 巻き添えダメージを喰らったレイドラに拳を握りしめ一気に攻める!


 「燃えろぉ!〈まず小麦粉!〉燃えろぉ!〈次に卵!〉燃えろぉ!〈最後にパン粉ぉ!〉止めだぁ!フライ揚がれえぇぇ!!」


 アーディアが間の手をいれることによって完成する俺の超必殺『マジでフライ揚げ』が炸裂した。因みに炎の温度は180℃となってる為こんがり美味しそうだろう?

 あちぃ。


《K.O!WINNERナックル!》


 直ぐ様アーディアと作戦会議を行う。

 〈さっきはなんとか倒せたけどどーするの?〉

 「俺のはただの大ダメージだから一撃がとんでは来ないだろ。」

 〈だと良いけど〉

 「LS使うからな?」

 〈………そんな気はしてましたー。〉


《ROUND2 FIGHT!》

 予想の通りビデオで見た一撃は飛んでくることはなかった。

 ならば一気に決めさせてもらおうか!

 LS『具象化するは炎の精霊』発動。


 アーディアが俺の後ろに人形態で現れる。若干薄いが気のせいではないだろう。

 〈燃える化身たる我は誓おう〉


 アーディアの詠唱魔法。

 精霊であっても強力な魔法を放つにはかなりの魔力が必要となる。セレナみたいに存在がバグってる(ゲージ本数が多い)ならともかく普通は足りない。そこを補う為にアーディアが言霊とかいうのを込めた呪文を唱える。それで初めて強力な魔法を放つことができるのだ。


 レイドラは突然俺の後ろに現れた女の姿に目を剥いて審判をちらりと見るが、審判は首を降って否定する。

 当たり前だろうが。


 〈全てを等しく照らす陽に誓う〉


 詠唱に気づき止めようと飛び道具の気弾を放ち、走り込んでくる。


 「火鵲ぃー!」

 〈この星の核たる物に誓う〉


 火の渦が飛び道具を蹴散らし、レイドラをも巻き込んでゆく。

 …あいつ、NG駆使して防ぎやがった。


 〈我は全てを飲み込まんとする炎の化身〉

 「虎砲!」

 「火祭!」


 飛び道具同士がぶつかり合って相殺し合う。少しずつ近寄ってくるが仕方がない。アーディアに一撃でも通されたらこちらの敗けだが逆に言えばそれさえさせなければ良いのだから。


 「この感じ、あの女の方を止めなくては不味いか!?」


 「さぁな?俺を倒した方が手っ取り早いかもしれんぞ?」


 〈我の前に立ち塞がりし存在を〉


 アーディアへと繰り出される攻撃全てを俺が受け止める。LIFEだけなら1800近くある俺が防ぐのに撤すれば早々落ちることもあるまい。


 俺を抜くことが出来なくて痺れを切らせたのか後ろへと飛び退くと拳からオレンジ色の衝撃波が撃ち出されるのが見えた。


 「天牙爆裂拳!!」

 「無駄だ。」

 〈愚かと嘆くべきか〉


 右手を前につきだし衝撃波がくる瞬間に横へと払うようにする。衝撃波は俺の手の動きに従い横へとそれる。

 これぞ秘技『皇帝特権(未熟)』だ。飛び道具を払うことができる技だが、使いこなせれば相手に返すこともできるであろう中々優秀な技だ。


 「これも防ぐか!?」


 驚いているが去年もその驚きが仇となって負けたのでは無かったか?

 俺がいうのもなんだが未熟だな。


 ふむ。時間稼ぎに煽りも込めて一つおしゃべりでもするとしようか。相手が乗るかはともかくな


 〈勇気あると誉めて愛しく思うべきか〉



 「今の隙を何故俺が攻めなかったか教えてやろう。貴様があまりにも未熟者だからだ」

 「なにを?!」

 「貴様に一つ問わせてもらうぞ、去年敗退した一番の原因はなんだ?」

 「それは…」

 〈迷うが故に我の全てを以て立ち塞がりし者を滅ぼさんとする〉

 「貴様は詰めが甘いのだ、故にこの様な手に掛かる!!」

 「!?!?」


 『熱風掌』。敵を壁際まで吹き飛ばすだけのノーゲージ技で、NG不可という強みを持つ。ただし溜めに時間が掛かる上ダメージは0という欠点があるが、話に付き合ってくれたお陰で無事発動できた。


 壁際まで吹き飛ばされたレイドラは直ぐ様起き上がる。NGもしていた様だし何か来るかもしれないと構えてはいたようだ。

 〈故に誓いし汝等のその力の片鱗を我に貸されよ〉


 「だが、念には念を入れてだな。」


 火の玉を撃ち出して相手の接近を邪魔する。防ぎながらも近づいてくるがもう遅い。


 「ッ天牙爆裂猛虎弾!!」

 「無駄だといっている。」


 『皇帝特権(未熟)』によって防ぐ。


 〈さすれば平等に全てを燃やし尽くして浄化の機会を与えん〉

 「決まりだな。」


 詠唱が終わる。それは(レイドラ)の敗北を意味している。

 〈炎の裁き(アーディアビーム)

 天より放たれし圧倒的熱量に視界が塗り潰され音も消え、そして……

   

《K.O!WINNERナックル!》

 「悪いが立ち止まるわけにはいかん。貴様の無念、俺が背負って勝ち進むことによって晴らそう。」



 《レイドラ選手を破ってナックル選手が三回戦進出だぁー!しかし、凄い物を見れたー!なんなんだ最後の技は!!》

 《最後のは大魔法と呼ばれるものだね。》

 《大魔法ですか?それは詳細を聞いても大丈夫なものでしょうか!?!?》

 《まぁこれくらいは平気でしょ。まず、魔法と聞けばこの大会を見ている人たちはセレナ選手と夕凪選手を思い浮かべるかと思いますー。》

 《セレナ選手は魔法を弾幕のように撃ち出して闘うのをメインとする魔法の使い手。夕凪選手は魔法を刀に纏わして闘うをメインとする魔法の使い手》

 《その通りです。そして二人とも魔力も所持ゲージも多いため大魔法級の魔法を放っても詠唱は必要ありません。そもそも大魔法級なのであって大魔法ではありませんしね。》

 《そもそも詠唱とはなんですか?》

 《詠唱は足りない分の魔力を言霊によって読み上げることにより補う行為です。今では中々お目にかかれませんが》

 《成程!ではあの詠唱していた女の人は一体?》

 《………許可がでないと喋れないのである程度ぼかしますが、セレナ選手の剣やヘンリー選手の鎖、夕凪選手の刀の様にナックル選手の技扱いです、》

 《そういう事ですかー成程!》

 《レイドラ選手には師匠であるジング選手との闘いを期待していたのですが、思わぬ番狂わせが起こりましたね》

 《これがあるからこの大会は面白いんだと私は思います!》


 「危なかったけど勝てたね。おめでとう!」

 「ああ、アーディアのお陰だ。ありがとう感謝している。」

 「ま、まぁ私は保護者みたいなものだしね!私が全力で協力するのは当然よ!」


 当然か…。いつかアーディアにも心からのお礼を言わなくてはならないな。

 俺とアーディアは次の試合を観るべく選手控え室へと戻る事にする。試合模様がスクリーンに映し出されるから便利なものだ。



―ナックル三回戦進出!―

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