18.vs鎖女、流星対決痴女対決!?
《第三回闘技会本選二日目だぁー!野郎共、乗ってるかぁー?!》
《乗ってるかー?!》
《早速だが第一試合の確認だぁ!》
《昨日は近距離で闘ってたけど去年までは遠距離主体の闘いかただったセレナ選手ー。昨日零士選手を倒した実力は去年負けた悔しさから来る専用対策かどうかです専用だとしたらこの試合はキツいものとなりそうですし。それと遠近自由自在なのか大剣による近距離型へと移行したのか、それによって今後の対策が練られていくだろーからこの試合は要注目ですねー。》
《確かにセレナ選手の闘いかたの変わりようには焦りましたからねー!》
《対するは鎖を使いオールレンジな闘い方が特徴的なヘンリー選手。昨日の試合ではボクシングスタイルで強烈なラッシュ力を持つボブ選手を鎖で宙に浮いて封殺してましたが、セレナ選手は浮いてるので別の戦法が見れると思われますねー。どういった戦法が見れるのかワクワクです》
《ヘンリー選手は去年準優勝している選手ですからね。トーナメント表を見たとき二回戦から去年の決勝戦がのリターンマッチが行われるのかと思いましたが》
《まぁ現実はセレナ選手が先にリベンジを果たしちゃったというね。というか運営去年の優勝者と準優勝者を同じブロックに置くなよ》
《リノたん黒い黒い!…まぁ優勝したところで予選のシード権しか貰えないから本選はシードなんて存在せずに、公平のために開会式と称してくじを観客の前で引いてるんですから。その為に初っぱなから優勝者と準優勝者が闘うこともあるんだ。》
《あー、なるほどー。》
放送席の二人がいった通り私の相手は去年の準優勝者です。
負けた私が言うのもあれなんですが、ザゴン準決勝で負けてしまいました。決勝戦で会おう的なあれはなんだったのでしょうか。
それはともかくとして気持ち的には負ける気無いのですが、相性がどうあがいても悪いのですよね。
まず、グングニルとの契約執行の場合。鎖がアーマー殺しなので近寄る前に死にます。ワープで近寄ろうにも結局鎖のアーマー殺しで私がやられる前に倒しきれるかどうかが鍵となるわけですが……。ATKがグングニル契約執行状態の私と互角かそれ以上と推測されているので恐らく私がやられます。
ではルーとの契約執行の場合ですが、タイミングが冗談抜きで取り辛そうな鎖相手に当て身やら相殺やらぶつけるってのはちょっと…。そもそもルーもアーマー付与の技持ってるために結局はアーマー殺しの餌食となって終わります。それ今の状態よりももっとペラペラな紙装甲で挑んではあっという間にとけてしまうでしょう。
そして通常状態ですと、遠距離合戦になってしまうので紙装甲な私には分が悪いです。しかもこちらと違って鎖による移動などトリッキーな動きもしてくるため予想し辛く『永遠に凍り続ける世界』も当てにくそうです
まぁ、手っ取り早いのは一撃技を当てることですが『永遠に凍り続ける世界』は当てにくいですし、一番良いのは一撃グングニルをうまく当てるか、復活可能な状態で稲妻を撃つとかでしょうか?
コロッセオへとはいれば目の前に居るのは私以上な痴女さんの姿でした。
ホースリールって言うんでしたっけ、草木に水をやるあのホースをぐるぐると巻くための器具。あれみたいに鎖を自分の首にぐるぐる巻いている猫っぽい眼をした、若草色のビキニスタイルとでも言う服装な女の人が立っていました。胸が薄いのでとてもお似合いです。
運動靴に革の手袋、短い金色の髪の毛がとっても映えてボーイッシュです。胸も薄いですし。
「………。」
なんかこっちを睨んでいる様な気がしますが恐らく気のせいですね!
「悪いけど、今日の運勢は最高なんで一気にいかせてもらう!」
「…運が良いなら稲妻はなしでしょうか」
《ROUND1 FIGHT!》
『BGM(セレナ側):魔法使いに花束を』
『BGM(ヘンリー側):ちぇーん・が・だいすき』
安定の要塞化で様子を見ましょうか。
クリスタルランサーを放ち、
「貴女なら別に切っても良いだろう。なので切らせてもらう、『捨てた鎖は破壊の限りを尽くす』」
―パリン。
「え?」
〈主様!!〉
ルーの叫びが聴こえ、いや、その前の瞬間から?身体の力が抜けるというか喪失感みたいのを感じて、
〈主、緊急事態ゆえ今回はでしゃばって特別に手短だけど説明する。〉
グングニルからの念話が聞こえます。え、緊急事態?
〈主と敵。どちらもランダムで3種類を残して他は全て試合終了まで技表から消えてる。〉
「………………………………………ふぇ?」
〈ただ闇精霊が割り込んだお陰で主は4つめとしてさらに技を貰っている。もうそろそろ、グングニルもパスを繋げな――〉
グングニルからの念話が途絶えた。とは言えグングニルがくれた情報はかなり有り難いです。放ったクリスタルランサーが消えたのも技自体が使えない状態であるならば仕方がないですね、そういう原理でしたか。
ともかく一度技表を確認しましょう。どうやら相手もすぐに動き出す様子でもありませんし。
『技表』オープン
―――――――――――――――――――
名前:セレナ
LIFE:875 / ATK111 / DEF85 / ゲージ15
・必殺技
『埋めよノーム』
・超必殺技
『天呪氷殺拳in流星キック』
・技能
『浮遊』
『防御なぞ我が覇道には存在せず』
―――――――――――――――――――
ルーが『防御なぞ我が覇道には存在せず』をねじ込んでくれなければ私詰んでましたよね、これ。
しかしねじ込んでくれたと云うこの技は本来ルーとの契約執行の時のみ使える技能の筈なんですが。……まぁ良いでしょう。
相手も私と同じで3つに技が減っているならばノームで時間を稼ぎつつってああ!?
…………ゲージ回収率が上がったところでゲージ無しで使えるのがノームしかないって効率悪すぎませんか?
「悪いんだけどさ、私って以外と運がいいんだ。」
声が聞こえたので声がした方向を見てみれば赤いオーラを纏っているヘンリー。LIFEが減っていってますし、恐らくあれ攻撃力あげるとかでしょうね、ゲージ増えてもいないので。
「浮いてるってことは『浮遊』が残ったんだろう?じゃああと2つで私と戦わなくてはならないわけだ…、」
こちらへと駆けてきます。思ったより早いですこちらとの接触まで後6~7秒といったところでしょう。
「チャンピオン戦に使ってた剣も最初は持っていなかったし、最後は消えてたからねぇ!!あれも技の一種だろう、そしてそれがなきゃ恐らくあんたはぶふぅ!?」
格好よく喋りながら走ってノームに引っ掛かり地面へと落ちたヘンリーさん。恥ずかしいですよね。
「と、とにかくあんたは近距離戦にはあの剣がなくてはならない!だから肉弾戦が苦手なんだろ、そうなんだろう!!」
ノームから素早く抜け出しながらドヤ顔で語りを続けられてしまいました。
いつもなら弾幕を撃ってダメージを重ねたり、ゲージ溜めをしている場面なんですが出来ないというのは不便ですね…。
「しかも、今のタイミングで火の玉おいたり氷の槍を飛ばしたりしないということはそれも消えてると言うこと!今の貴女など怖くわきゃん!?」
ノームのすぐ近くにノームがないと思ったのか疑いもせずに進もうとしてノームに落ちるヘンリー。ネタでやってるのかと疑いたくなりますよね…。
まぁ言ってることは正解ではありますが、認めるのは悔しいので私の苦手な肉弾戦とやらを(一方的に)行うとしましょう。
「ならば応じて差し上げましょう!今、私は流星となる!天呪氷殺拳in流星キィィーーックぅぅぅー!!!」
「落とし穴の横に落とし穴とかなんだそr、グブォ!」
穴に落ちてるヘンリーに突き刺さる私の飛び蹴り。これ、当たりさえすればマスターシェンロンでさえも一撃で倒せる程の威力を持っているんですよね。
今回は浮遊以外に飛行できる技がないために高さが低くなりあのときほど威力が出てないとは言え、勝手にLIFEを減らしてくれたお陰で倒せたようです。
《K.O!WINNERセレナ!》
さて、試合終了までってことですがノームをうまく使って立ち回り『天呪氷殺拳in流星キック』を当てることが私の勝利条件です。
相手はあの赤いオーラを纏う技以外に2つなにか技を持っているようですからまだまだ油断は出来ませんね。
《ROUND2 FIGHT!》
開始と同時にこちらへと駆けてくるヘンリー。
学習したのかジグザグです。が、
「うにゃあ?!」
別にノームは足を踏みこまれる瞬間を狙って着地地点に設置することだってできるんですよね。
「この、猫だましぃ!」
バチンッ!
「―――っつ!」
手と手を思いっきり合わせるだけの技の筈なのに目の前が真っ暗になってしまいました。
「あんたとは話が合いそう。この闘いが終わったらだけど、」
しまっ、後ろに回られて、
「流星おとし!!」
背中へときつい一撃が落ちた感覚のあとに衝撃が来ます。
ってあれ、身体が吹き飛ばないというより誰かに腕を捕まれてその笑顔はなんですかちょやめ、
「流星おとし!流星おとし!!」
「掴んで、必殺技連打…は、卑怯です…。」
「あのノームとやらはうざいからね。」
《K.O!WINNERヘンリー!》
あー、なんというか本当にきっついですね。
向こうの選択された技は恐らく超必殺技の『猫だまし』と必殺技の『流星おとし』、そしてあの赤いオーラで決まりですね
『天呪氷殺拳in流星キック』を放つゲージは先程ボコられたお陰で溜まっています。後はどうにかしてノームに嵌めるだけなんですが…
《ROUND3 FIGHT!》
赤いオーラを纏って一気に飛び上がるヘンリー。
え、なにそれズルくないですか!?
着地地点の予測をも裏切る位置に着地して距離を縮めてきます。
「この、ちょろちょろしないでくれませんか?!」
「嫌だね!この好機を逃すもんかい!!」
ノームを見事に避け続けてあっという間に私の目の前へと到達して
「こうなれば破れ被れです!今、私は流星となる!!」
「んな適当に打って当たると思ってるのか!?当たるわけないッ!?」
回避行動をしようと後ろに跳んで見事にノームへとはまるヘンリー。
「え、タンマこれノーカン!!」
「天呪氷殺拳in流星キィィーーッック!!!」
「こなくそーーーー!!!」
零士の様に1ドット残して耐えるといったこともなく、
お腹へと私の蹴りを喰らったヘンリーはゆっくりと倒れていった。
《K.O!WINNERセレナ!》
「ヒヤヒヤさせられましたが良い勝負でした。また闘いましょう!」
《凄まじい闘いでした!!まさか鎖使いであるヘンリー選手が鎖を手放し、魔法使いであるセレナ選手が魔法も前試合で見せた剣も捨てて殴り合いとは!!》
《片方は蹴りだったけどね。でも、ヘンリー選手も思いきったことをしたね。恐らくだけど数種類に使える技を固定するとかそんな感じの技なんだろうけど、自分にも効力があるせいで泥沼と化しちゃってたね》
《そうなんですか?私からすれば一撃技やら昨日の剣やら本日の試合で使っていた飛び蹴りやら、強力な技が多かったので技を制限する今回の戦法は悪くなかったと思いますが》
《普通に戦ってても恐らくヘンリー選手の方が有利だったと思うよー?鎖技はセレナ選手の技にも劣らぬほどスペック高いし。でも肉弾戦になれば勝てると思っていたヘンリー選手の思惑とは違ってセレナ選手が肉弾戦にも十分対応できたのがヘンリー選手の今回の敗因かなー。》
《なるほど!ありがとうございました。さて、次の試合へと参りましょう。》
なんとか勝てましたがルーが『防御なぞ我が覇道には存在せず』を割り込ませてくれなければゲージが溜められずに敗退していました。感謝を伝えましょう。
「ルー。先程はありがとうございました。お陰で勝てました。」
〈主様の負ける姿はできる限りみたくありませんから。本当は『ルー様の戯れ』を入れたかったんですけどね〉
〈闇精霊。上手くやったと誉めてあげる。よしよし〉
〈ワタクシも撫で撫でと撫で切りして差し上げましょうかぁ?〉
〈いらないですー〉
私は零士を倒した後と同じく契約した霊達とじゃれあいながら観客席へと向かいます。
このあとBブロックではナックルvsレイドラ、ジング爺vsヴォルフ、ドクターvsマスターシェンロンと身内や知人同士の争いとなっているので今日はさすがに観戦しようと思っています。
ザゴンは去年準決勝までいったくせに一回戦敗退とかやらかしてます。そういえば去年のレイドラも同じ有り様でしたね。
流石同じ流派だと似たり寄ったりになるものなのでしょうか、中々興味深いです。
―セレナ三回戦進出!―
「ちなみに今回主の運勢だと稲妻は100%主に当たってました。」
「一撃グングニルは?」
「デレ期でした。尚ツン期でしたら助言すら差し上げないです。」