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13.再会、天敵祝敵刺激的運命的出会いの刻

 結局アーディアとやらとモジャモジャをボコボコにした後話をしてみた。

 モジャモジャの方はマライアちゃんと同じで血の恩恵が大きいみたいです。つまり、血統。

 ここに遅れて来た理由はただひとつ、そこら辺にいるマフィアとかに喧嘩を売っては荒稼ぎってのをして居たらしいです。

 きれますよ?


 「アーディアちゃん割と当たりを掴んだけど、セレナちゃんを元々狙ってたんでしょ?リカちゃんに取られてどんな気持ち?」

 「別に皇帝の血をひくナックルが見つかったから良いもん」


 ナックルと言うのか彼。まぁモジャモジャと呼び続けますけどね。

 アーディアのその言葉にドクターが反応しました。


 「皇帝の血筋ならば確かに炎を操るのが上手くても驚きはしませんな。寧ろ血をとらせてほしいー」


 「嫌だよ!めんどくせー」


 皇帝というのは遥か昔に力で民を押さえつけていた暴君で、その子孫もその力を持つがゆえに生き殺しの生活を強いられていたそうです。絶やすには勿体無いでしょうしね。


 そもそもモジャモジャは皇帝の血筋のせいで軟禁状態にあったために世界を知らずに一つの部屋の中だけの世界で生きてきた。

 そこへアーディアが契約できそうな中で近い反応を示している彼に反応して、契約する。彼は精霊の力を得ることが出来、それによって一気に血の能力を解放。


 軟禁されてた施設を破壊し尽くして逃亡、活動資金を得るためということでマフィアを潰していたと


 「ではその半分を寄越せば過去の事を水に流して差し上げましょう。ね、主様。」


 「え、わかったわかりましたー。半分差し上げますからその物騒な槍をしまってちょー」


 ルーとしても落とし所はここら辺だと思ったんでしょうね。

 ならば私はそれをお手伝いしてあげるだけです。

 「そんなわけでこの子も常識ないんでー色々教えてあげてくんねー?」


 「まぁ、さっきの試合を見る限りセンスがないわけではなさそうだしのぅ」


 「次の闘技会までは良いわよ、主様も目的があるみたいだしね」


 「感謝しよう。」


 元々ルーとアーディアの因縁も古い昔にアーディア率いる虐めっ子集団と中二病を患って無表情系毒舌娘を演じきっていたルーの相性が悪すぎてどうしようもなかっただけという結果の産物だったらしい。


 その後小屋が消滅したのを良い機会として山を降りることにした私達御一行はモジャモジャとアーディアを時たま弄りながら氷山フェンリルを下山し、街へと向かいました。



※※※


 街といってもこの街は人口密度は地上上位と言われる程人が集まっている街であるためのんびりと出来ないのが残念ではありますが。


 今日はマライアちゃんにとって念願の街デビュー二日目です。


 初日はとてもはしゃいでいて可愛らしかったです。疲れましたけど


 この街は位置的にはロシアの一角と言えばわかるでしょうか?

 そうそう、街を歩いていて初めて気がつきました。こんな看板がたっていたんですよ


 【第三回闘技会、TAG戦始めました】


 TAG戦とは同時に2vs2で闘うシステムのことであり、LIFEはそれぞれ別管理ではあれど、ゲージは同じゲージを使用しなくてはならない。片方が1ゲージのロック技で固めて、片方が溜め続ける、という戦法もありな中々クレイジーなバトル形式です。


 なお、この街には天空都市ワーシンへの転移ポータルがあるため、ワーシンへ移動して都市間移動便を使ってローマンへと移動するのが一番でしょう。たまには私もワープせずに通常の移動手段で移動してみようかと思います


 「じゃあマライアちゃん一緒に出ます?まだ一人では出れないでしょ?」

 「そ、そうだね…、私はまだ一人で大勢の人前に出るのはこわいかなー。」


 流石にマライアちゃんを個人戦に放り投げるなんて外道な真似はせず、TAG戦に一緒に出ることにします。お留守番なんて嫌ですよね。一緒に闘いましょう?


 で、個人戦はマライアちゃんを除く四人、私、ジング爺、モジャモジャ、ドクターが参加予定です。


 なんやかんやでそろそろ受付は開始してますし、一度天空都市ローマンへと行ってみるのも良いかもしれません。 


 「あ、セレナさん!あの人達は何をやってるの?なんかギュンギュン音が五月蝿いんですが…」


 「あれは路上ライブです。発達途上なミュージシャン達が資金稼ぎとスポンサー探しのためにああやって演奏しているんですよ。腕も上がりますしね。」


 ギターやらドラムやらを設置して歌っている五人ほどの集団。

 彼らも私達とはジャンルが違えど闘っているのだ。

 天空都市でやろうものなら余程上手いか凄いスポンサーがついてない限り場所争いでボコボコにされて地上にポイーされてしまいます。


 「そう言えばセレナ嬢ちゃんはバックグラウンドミュージック契約は結んでおらんのか?」


 「まだですねー。そもそも去年のときも3人しかいませんでしたし」


 「私はセレナ嬢に呼ばれるまでの間に契約を結んだぞ。専用BGMがあるのは中々憧れがあるしな」


 「やるじゃないですかドクター。因みに名前は?」


 「クレイジーボンバーだ。」


 ドクターに凄く似合ったバンドです。

 

 「そのバックグラウンドミュージック契約というのはなんだ?」


 「そう言えばあなた軟禁されてたのでしたね。」


 バックグラウンドミュージック契約、通称BGM契約とは闘技会をメインとして、試合をするときに自分用の曲を専属の音楽団やミュージシャン、バンドに音楽を流してもらうことをいいます。


 基本的に私達武道家側とミュージシャン側では金品のやり取りはありません。


 私達の試合の度に曲をひける、歌を歌えるのです。その度にコロッセオの観客は勿論、地上へも映写機によって映像が流れるため洒落にならない宣伝効果があります。

 それに天空都市にならばCDも流通しているのでそれらの売り上げにも繋がりますから。


 「中堅どころではあるが、中々上手かったから契約した。」


 「まぁNEOさんなら予選突破は出来そうですしね」


 マライアちゃんには悪いけど今年は全員無事に本選に行けるとは限らない。なにせ、三回目である。一回目をみて参加するために二年修行したら参加するのはこの大会になるし、三回もやっているなら参加してもよいだろうと考える輩もいるでしょうし。


 「主様もBGMあれば更に凛々しく見えますよー。」


 まぁドクターに居るのに私達にいないと言うのもなんか寂しいですね。

 ローマンにいったら探して見ましょうか?


 「ワシは特には要らんがのぅ。無に至る事が目標故にな」


 「丁度受付も開始しているみたいですしローマンに行こうと思うのですがどう思います。」


 「ならお主は後から来るのか?」


 「え、なんでです?」


 〈主様は人間か怪しいんですよ?それとモジャモジャも血筋的な意味で転移ポータルを使わない方が良さそうかなー。〉


 え、転移ポータル使うのってもしかして血の登録とか必要なんですか?


 「確かに二人はワーシンかローマンで合流した方が良さそうだ」


 「残念ですけど、お空で待ってるね?」


 ということで、私とモジャモジャと精霊×2はこの街でぶらぶらしてからワーシンへと向かうことに。


 マライアちゃんのポータル登録に時間が掛かるらしいので、そういうのを気にしない私達だけぶらぶら出来るのです。


 お腹が空いたので適当な食堂に入りました。どうやら大学の学食みたいな施設なんですねこの食堂は。並んで順番来たらメニューを言って、食事を受けとる。


 「結構混んでますね」


 「持ってきてやるよ。」


 モジャモジャがさりげなく自分をアピールしてきます。まぁ席取りしてろと言う意味でしょうけど。


 折角なので頼んで席を取り待っています。


 数分後二つのお盆をもってモジャモジャが帰ってきました。

 その手に乗るお盆の商品をみて私の顔色はきっと一気に変わったと思いますよ。なにせ、


 「ちょっと待ってください!何でよりにもよってその(・・)カレーなんですか」


 「駄目なのか?」


 「なんかやばすぎてヤバイんですよそれ」


 「良くわからんが食べれる味だが?」


 「立ったまま食べないでください!?これで私はどれだけ苦労した事か」


 「じゃ、じゃあ私が食べてもよいですか主様」


 「ええ!そんなキラキラした瞳で見なくても全部あげますとも!

私は別のところで食べることとします。」


 「ならば3時間後にさっきの噴水のところで、それまでデートしようかアーディア」


 ふええええ、とか言う声を背中に聞きつつルーがカレーを口の中へと流し込み私の影の中へと戻るのを確認して外へと行きます。


 外へ出て思いますが、この街は面白いです。

 転移ポータルがあるせいか大きさの割に人の数が多いのです。そのためどこもかしこも混んでいるのですがたまに人の少ない店や施設がありまして、試しにひとつ入ってみたいと思います。


 表通りに在るにも関わらず、両隣の店が満席なのにも関わらず、店の中に活気を感じられない店を見つけました。


 〈主様も好きだよね、そういうの。〉


 寂れた店へと入ります。中へと入った瞬間耳へと触れる包み込むような優しげな音の中にある孤高な感じの力強さ…。

 例えるなら

 空から落ちているときに怖いと思ったら、周りを翼を持った天使達が飛んできてくれたため安心感を得ます。けれど遥か上空から物凄い勢いで悪魔が天使を狩るために落下してきます。最初は地面が近づくのを嫌がっていましたが、今度は早く地面よ近づけ、早く!と思うようになっていた。

 という感じでしょうか


 黒く、大きく、立派なピアノを赤いドレスに金髪を結わえた顔に大きな切り傷を刻んだ少女が優雅に弾いていました。


 テンプレ過ぎませんか?さっきまで契約云々の話をして居たと思ったらこんなピアノが上手だけどなにか厄介ごとを抱えてそうな少女が出てくるなんて


 「ようこそいらっしゃい。久し振りのお客さんだ、何をお求めかね?」


 「混沌としていない食べ物を…。出来れば暖かいものですと幸いです。」


 「かしこまりました。独占状態だからね、直ぐに作るよ…少々お待ちくださいませ」


 そういうとお爺さんは厨房へと下がっていきました。ピアノの前のお嬢様はこちらを一瞥もせずにピアノにべっとりです。


 久し振りのお客さん相手の割には粗相は見当たりません。出てきたホワイトシチューも中々美味しいです。

 食べ終わってもいないのにはしたないですが、値段を聞いたところ意外と安くてビックリしました。


 なぜ寂れてるのでしょうかね?

 と、そんな疑問はすぐに解消されました。


 ドカドカと物音をたてて10人ほどの男達が店内へと入ってきます。


 全員堅気じゃなさそうな厳つい姿形をしています。なんというか品性を感じられないのですよね。悪の組織に入ってる疑惑がある零士や風貌だけなら厳ついヴォルフ、チンピラなモジャモジャ等、彼等にはある程度の品性は見受けられました。

 でもこの方達はなんというかプライドといったものを損失してしまっている、そんな感じがします。

 だってそれくらい品がないんですもの。ハゲの頭にドクロマークとか、鼻ピアスの柄がドクロとか、シャツに下品な言葉とか


 あ、お陰さまで字は読めるようになりました。


 「おうおう、邪魔するぜ!!」

 「珍しいじゃねーか、じーさんのみせにきゃくがいるなんてよぉ!」

 「よく見りゃすげえ上玉じゃねえか、しかもその格好誘ってんのか?」 「こんな寂れたところに一人で食べに来るくらいなんだからそうなんだろ」


 あー。理解してしまいました。この人達がこの店の客を追い払ってしまっているのですね。


 何があったのか知りませんがこの店の店主も可哀想です。あれくらいの腕ならそこそこ繁盛してもおかしくはないですから。


 まぁ関わりあっても利益はないでしょうから無視していようかと思います。


 「店も土地も娘も嫌だっつうならそのご立派なピアノを貰ってくしかねえな」


 「これはお母さんとの思い出の品なの!」


 「んなこたぁしらねえんだよ!だったらさっさとショバ代戴こうか」


 ショバ代いただきましたー。

 中々古典的なテンプレチンピラです 


 「そんな事言ったって、あんた達がこの店の客を追い払ったんでしょ!」


 「人聞きの悪いこと言ってんじゃねえぞこのあまぁ!」


 娘を殴り飛ばそうとしたのをお爺さんが身体を張って庇います。

 あ、お爺さんが殴られて、殴り返そうとしてチンピラに突き飛ばされて私の席へ突っ込んできました。


 テーブルごと引っくり返ったので私にまでホワイトシチューがかかってしまいました


 「マジでエロいなこの女、たまたまとはいえこんな上玉拾えてラッキーだぜ」

 「だな!」


 ウヘヘ、と笑っているチンピラたち。

 え、私居合わせただけなのにも関わらずお持ち帰り確定なんですか。


 じゃあ降り掛かる火の粉は凍らせるかもっと大きな炎で焼き尽くすべきですね。


 席からスッと立ち上がります。

 「何故か私も対象に入ってるようなので、私も牙を剥きますね。がおー☆」


 両手をからだの前に持ってきて、爪を立てるように持ち上げて威嚇してみました。どうです?



 「……………てめえ!ふざけやがって」

 「ちょっと可愛いと思ってしまったぜ」

 「この年増がふざけんな!」


 反応悪すぎません!?


 ま、まあ良いでしょう。ノームで動きを封じて纏めてサラマンダー喰らわせれば静かになるでしょうし。


 私の手にグングニルが呼んでもいないのに顕れます。

 ビビるチンピラ達、いえ、中には勇気があるものも混じっていたようです。

 私に飛びかかってきますが、そんな遅さでは私を捉えられる訳もない。


 「クリスタルランサー」


 「くぼぇあ!」


 迎撃クリスタルランサーでぶっ飛ぶチンピラ


 「チッ、ヤスがやられたか、でもあいつ強そうだよな」

 「なら先生を呼びましょう!こんなときのためにみかじめ料を払っていたんですから!」


 「よし、…せぇえんんせぇええいいいいぃぃ!」


 天井を壊して上から人が降りてくる。おかっぱ頭に胴着。なんか見たことあります。 


 「呼んだかー?」

 「先生!あのエロ女を倒してくだせえ」

 「んん?女?………ってぇ、てめえあの時の!?」


 あー、わかりました、この世界初の予選会で出会った人ですね確か、

 「コンゴウリュウさんでしたっけ?」

 「ポーズだ!金剛流は流派の名前だ」


 ふむ。どうやら興味が無さすぎて忘れていたのですかね。

 この方から驚異を感じ取れませんし、さくっと倒して見ませしょうか

 

 「ぐはぁ!?」

 「グングニルが勝手に!?」


 今日はでれでれですねー、と言うべきでしょうか、それとも何も言ってないのに出てきて勝手に敵を驕る辺りツンツンですねー、と言うべきでしょうか。


 なんか負け台詞をほざいてからチンピラ達はどこかへと撤収しました。所詮はチンピラなのでしょうかね?


 「さて、関わってしまった以上後味悪いので、あなたを私のBGM担当に勧誘します。そうすればとりあえずの安全は保証できますし、貴女にその気があればこの土地や店を維持できる位のショバ代を稼ぐことは出来ますよ」


 「……何故、初対面でそこまでしてくれる?」


 「関わってしまいましたからね。そうでなければ放っておきます。」


 「失礼ですが、BGM契約を結べるほどの実力があるのですかな?なにぶん素人目ては先程の闘いでは判断がつきませんので」


 「第一回闘技会ベスト32、第二回闘技会ベスト8では足りませんか?」


 「!?それならばまぁ大丈夫なのでしょうかね。アルカ、お前のピアノがあってこその事だ、お前が決めなさい。」


 「…………私のピアノ。どうだった?」


 先程思ったことをそのまんま言ってみました。影の中からなんか嘆く声が聞こえてきましたが気のせいですね!


 「……………貴女面白い。契約は是非お願いしたい。」


 これでドクターと同じくBGM契約を結んだため、次の本選からBGMが流れます。結構嬉しいものですよ、中々これは。


 「あと、天使と悪魔、役割が逆。悪魔を狩るために天使が落ちてくる。」




 必要なものは少ないと荷物を直ぐ様纏めてアルカとナハード(お爺さん)を連れて噴水へと向かいます。



 ピアノ?アルカが背負ってます。

 この子その気になればチンピラ達倒せた気がしますけど、考えてはいけませんよね!

BGMは自前。

BGM持ち同士が闘う場合はコロッセオを半分に区切って自分の入場口がある方にBGMが流れる。

これもシステムってやつのお陰なんだ

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