1.ぷろろーぐは驚愕の音と共に
目が覚めたら知らない景色だった。どうやらうずくまって眠っていたようだ。だから天井ではないのか。
記憶はある。
転生することになったらしい。神様に聞いた。
死因はゲーセンで、格ゲーの対人戦でハメをされてぶちギレた奴が暴れてリアルファイトに発展し、殴り飛ばされた奴がこっちへと飛んできた勢いで倒れた時にぶつけた頭の打ち所が悪かったせいらしい。
神様曰く格闘好きなのに体を鍛えても筋肉つかない体質で運動音痴だったためもあり、格ゲーにハマってしまった挙句こんなことになって死んでしまった俺をかわいそうに思い、とあるゲームの世界へと転生できるようにしてくれたとのことだ。
なんのゲームかは教えてもらえていない、自分で探すのも楽しみかたの一つらしい。
あとただ転生させるのもつまらないから憑依に近い形で送ってくれるとのこと、格ゲー世界の住民はモブキャラであっても体の作りが違うらしい。
ともあれこれで念願の体作りが出来る!夢はやっぱり筋肉ムキムキマッチョマン!いや、できる武道家っぽい細マッチョもいいな。
等と考えてる間に意識が落ちていったんだよな。
鏡には顔を引き釣らせ、20歳程に見える凄い美女がいた。どんなに謙遜しても美人としか言えない、そんな美女が鏡の前で立っている。
その容姿をあげるなら、
地面に着くほど長く艶のある真っ白く透き通った髪。
浅黒いが一切の染みもなく柔らかい肌。
深紅の瞳は燃えるように紅い光沢を放っていてまるでルビーのようだ。
耳はエルフの様に尖っていて。
メロンが二つ入っているほどの大きさを誇る豊満な胸。
170を越える女性にしては高い身長。
すべてのパーツが揃ったことによって完璧な美女として完成されているのではないかと思う。
さらには、胸元に巻かれたフルカップブラジャーとでも言うのか白いさらしのような布と黒いパンティしか穿いておらず、あとは全身を覆うようなボロボロなマントと赤いハイヒール、金色のごついチョーカーである。
美女が痴女やってるのだ、この服装では。
それもまた萌えるものがあるかもしれないが、今回ばかりは共感できない。
この美女、俺なんだぜ。
まさか、作り替えるとは言っていたが、男から女へとされてしまうなんて思いも依らなかった。
しかしこんな美人なキャラならば知らないはずはないし、モブなのか?いや、もしかしたら新キャラとして登場予定だったキャラの体なのかもしれない。
ここで腐っていてもどうしよもないと気を取り直す。なんか自分でも立ち直りが早いとは思うけど、吹っ切れるしかないのだろう。さよなら俺の男生活。こんにちは美女形体での女生活。
どうやら家の中に居たようなので、外に出ることにする。この体、なんと浮いているのだ地面から10センチほどではあるがふわふわ浮いている。さすがゲームの世界、素晴らしい。ファンタジーだ。
中世風な街並みを楽しんでいたのだが、重要なことがいくつか判った。まず、言葉は自動翻訳されている感じ。口元を見ても日本語をしゃべってるんだけど、すごく違和感。だっていろんな髪の色の人が日本語しゃべってるんだから。
次に浮遊してても誰もなにも言わなかった。まぁそれは当然だってあとからわかるんだけど。
最後に、転生したゲームの名前が判った。
『Battle Colosseo』シリーズだ。ここが天空都市ローマンにだと聞いた時点でピンっと来た。そりゃ都市が浮いてんだもん人が浮いたってなにも言われないよ。
『Battle Colosseo』通称バトコロ、またはBC。
シリーズは30種類を越えるほど出ており、キャラ数も総勢400人越えをしている長寿作品である。システムが売りの作品で、やり込めばやり込むほど深みが出てくるというゲーム。ステージは基本コロッセオ一種類しかなく、ステージによる強みや弱味がないの賛否両論であったが。
俺も好きだったんだよね、このゲーム。忍者の仁さんやカラテ王の金。刀使いの柳生など魅力あるキャラクターばっかだったし、音楽もよかったし。
問題点として、このゲーム年代幅がかなり差があって、ゲーム内時系列の一番古いのがローマン歴21年の『Battle Colosseo 外伝2~始まりのColosseo~』だったはず。一番新しい時系列のものがフッティー歴6年の『Battle Colosseo ~未来編~』である。
『Battle Colosseo 外伝2~始まりのColosseo~』は初めてこの『Battle Colosseo』内で行われる大会、『闘技会』の記念すべき第一回目の闘いを描いた話であり、このあとの作品にも語り継がれている【伝説の格闘王零士】がラスボスとして登場する作品でもある。
『Battle Colosseo ~未来編~』は何故かは覚えてないけど歴が変わってから初めての闘技会の話であり、人気キャラのルー=フォーデルの続投や生意気子供キャラだったぺロルが立派な青年キャラになっていた事などが話題となった作品だ。
まぁこの街を散策していればいずれわかるでしょう。と散策を続けることにする。
散策していてわかったんだけど、この世界はどうやら技表が存在しているらしい。異世界転生ものとかで良くあるステータスとか言う呪文。自分の名前とかスキルとかHPとかが表示されてるあれ、あれの説明で良く見る自分自身の内側を覗くしながらステータスと呟くと出てくるらしい。ソースはナンパしてきたじーさん。
コマンドみたいなのは無く軽い情報と、扱える技とかが書いてあるらしい。『天龍拳』とか『フジヤマラッカ・ザン』とか覚えてるかもしれないし!いざ
「技表オープン!」
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名前:
LIFE:820 / ATK100 / DEF81 / ゲージ本数9
・必殺技
『クリスタルランサー』
『燃えよサラマンダー』
『冷やせウンディーネ』
『翔ばせシルフ』
『埋めよノーム』
『雷よ、払え』
・超必殺技
『冥界の門よ開け』
『永遠に凍り続ける世界』
・技能
『ワープ』
『浮遊』
『ゲージ変質:魔力』
『逃げの姿勢』
『模倣の才覚』
『原典の知識』
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なんか別ゲーじゃね?ってか、え、見た目通り紙装甲だとか、『ゲージ変質:魔力』とか、超必殺の名前とか色々突っ込むとこあるんだけど。
どうやら浮かんだそれの文字をタップすれば詳細が出てくるらしいので、タップすることに。
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名前:
LIFE:820 / ATK100 / DEF81
『クリスタルランサー』
・氷で出来た槍を放つ。
数は一つのみ(熟練度が上がれば数も増える)
『燃えよサラマンダー』
・火で出来た球体を設置する。
触った相手にダメージ
『冷やせウンディーネ』
・吐いた息を冷たくしダメージを与える。
『翔ばせシルフ』
・自分に一定時間風の翼を与えて飛行能力を得る。
『埋めよノーム』
・地面に落とし穴を設置。
『雷よ、払え』
・空から雷を落として当たった者にダメージ。
対象は自分と相手、自分が75%相手が25%
・超必殺技
『冥界の門よ開け』
・冥界の門を無理矢理開き、死者の魂を解放する。(使用ゲージ5)
『永遠に凍り続ける世界』
・全画面氷結技。相手は死ぬ。ただし技発動後一定時間内に相手から攻撃を受けた場合のみ発動(使用ゲージ8)
・技能
『ワープ』
・ワープ移動が出切る。
『浮遊』
・常に浮いているため地上判定の技を受けない
『ゲージ変質:魔力』
・ゲージが闘気から魔力へと変質。使用技が魔力の場合はそのまま、闘気の場合は倍になる。
『逃げの姿勢』
・LIFEが残り1/4になったら自動発動。
移動速度が上昇
『模倣の才覚』
・たまに他人の技を覚える。
技の習得時に大幅のプラス補正付与
この体にふさわしい言葉使いと思考になっていく
『原典の知識』
・他キャラの技などを覚えている。
なにかに役立つかも。
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あ、はい。
なんつーか、良くわからん性能だな。
目を背けていたけどこれ、また体を鍛えられないってことじゃないか?だって、『ゲージ変質:魔力』とかそうでしょ。どう見たってムキムキマッチョマンにはなれないよ。
体が超絶美人な時点で諦めるべきだった?そーなんですけどね、確かに。
と、一人でぐるぐる思考を回していたらコロッセオの入り口に到着したようだ。なんか書いてあるな。
【第一回闘技会出場者募集中】
はい、時系列初期なことが判明しましたー。チャンさんとか、若き頃のアメリアやボーさんが見れると思えば胸熱なんだけどね!
でも、未来編やNewシリーズは100年近く後だからその世代は見れないのか残念。
予選会まで2ヶ月あるし、このスペックがどこまで上がるかわからないけど駄目元で参加してみよう。
んで、参加受付に並んでいて気がついちゃった。名前、ありません。
どーするべきかふーむとか悩んでる間に自分の番が。ちょっと待ってまだ名前がー、何て言えるはずもなく渡されるペン………………。
言語違うかも知れないし、適当に書いてしまおう!
「番号141番、セレナ。2か月後にこの割り札を持ってまたここにきたまえよ、次!」
はい、適当に書いたらセレナになってました。こわいわー。
さて、参加できるみたいだし、本選に行けるように修行でもしようかな。
確か『Battle Colosseo Pocket』で修行場所として野生動物たちか猛獣と化している場所が確か地上にあったはず。そこにでもいってみよう、空飛べるみたいだし、行けるでしょう。
ちなみにこの世界では地上はもはや原住民と呼ばれる人類が主にすむ区域となっている。他の人類は天空都市をはじめとする空へと棲みかを広げたのであった。そこら辺の話は同じ会社の『Skyシリーズ』をやってくれ。世界観とか半端ないから操作性さえもっととましならもっと人気出たろうにな。
まぁ、修行場所を求めて、いざ、地上へ!