真・勇者の一歩目
とある昔、世界を変えた英雄がいた。その英雄は、自分の息子に英雄の力だけを継がせ、この世を去った。第二世である、英雄の息子は、各国を瞬時に飲み込んでいき、力によって世界を我が物とした。
そして、英雄の息子は、世界中に黒魔術を布教し、悪魔や死にとらわれし者達をこの世に呼び寄せた。
そして、絶対の力[悪魔法]や[呪術]を身に着けた英雄の息子は、魔王になり、支持、欲望、富、全てを手に入れた。村人は、魔王の奴隷となり、無差別に殺されたり、魔王の研究材料にされたり、死にとらわれし者の食料になった。人間は絶望の中で生活していた。
そんな時、一人の勇者が現れて、一人で国を魔王から解放していった。そして勇者が魔王に対する力を手にし、勇者に解放された連合国軍と、魔王の作りし、魔王軍とで戦いが行われた。戦いは3年に及び、魔王軍は食糧難により衰退していく、それと同時に、連合国軍も長期遠征により疲労していた。この時勇者は戦いを決するため、残った一国の兵士たちと必死の突撃をし、魔王の扉を開けることができた。
これは、そんな勇者が魔王の扉を開けたことにより、色々な真実の旅をする過去の話である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
やっとだ!やっと、俺は役目を果たせるんだ。この扉を開けると、魔王が待っている。今日のこの瞬間のために、俺はLV、99になるまで色々な敵を倒してきたんだ。なぜなら、この扉は、LV,99にならないと魔王の間の扉は開けないからだ。
「よし。」
扉を開けた先には、まさに魔王と呼んでも間違いない、角が二本に禍々しい牙、そして赤い目。
魔王「フッ。やっと来たか勇者よ。何年、、いや、何百年と待っていたことか。勇者よ。ここに来たということは、私に勝てるのだろうな!!」
勇者「わかりきったことをっ!!」俺は剣を抜き、魔王に向かって走った!!
魔王「見え切れてるわ!」魔王は、俺が走り出した瞬間に、俺の剣をはじき、鋭い爪で俺のことを切り裂いた。
勇者「何故!?くっ。LV,99のはずなのにっ!」一撃だ。もう意識が飛びかけてるっ!何故だ。
魔王「LV,99?なるほど。お前はまだ未熟だったということだなw出直せ、勇者よ。お前は私を倒すに値せぬ。」
勇者「なに!?99なのに、、まだ、未熟だ、、と!?」
魔王「私もお前がいないと役目を果たせずに世界が続く。それだけは困るのだよ。」
そういうと、魔王はワープと呪文を俺に唱え始めた。
勇者「ま!待て!」そういうと、周りが光に包まれてしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「んっ。」次に目が覚めたのは、魔王討伐キャラバンだった。
王子「大丈夫か!?勇者!!」
将軍「おっ!!目を覚ましましたか!?」
王子「勇者!!」
勇者「お、俺は?」目の前には、魔王討伐のために国を挙げたリフレック国の王子[リオル]とその国の将軍[ライラル将軍]。リフレック国は俺が悪夢から救った国である。詳しくは今度としよう。
勇者「魔王は!?」
リオル王子「魔王に会ったのか!?」
勇者「会った!が、、未熟だといわれた。そして今、ここにいる。」
将軍「勇者殿が、未熟だと。」
リオル王子「何故だ!?勇者に敵う者などいないはずでは!?」
勇者「俺もそう思って魔王に挑んだ。」
将軍「・・・・」
勇者「何か隠しているのか?将軍。」
リオル王子「ライラル!!隠してることがあるのか!?」
将軍「・・・・」
リオル王子「ライラル!!何を隠している!?早く言え!!」
将軍「王子。勇者。隠していたわけではないのですが、実は、勇者のレベルには勇者専用のレベルがあるのです。」
リオル王子「勇者専用のレベル?」
勇者「それは通常のレベルとかじゃないのか?」
将軍「はい。通常の場合はLVですが、勇者の場合はLVを限界まであげたあと、ある儀式を終えるとYL(勇者レベル)になるのです。」
リオル王子「YL?LVとは何が違う?」
将軍「そこまでは、自分も分かりません。」
リオル王子「なに!?くっ!ということは、魔王は倒せんのか。またわが国は、世界は魔王に支配され続けるのかっ!」
勇者「そのYLになるには、何処で儀式をするんだ?」
将軍「このキャラバンよりも、東のジャングルの奥地にあまり人々に知られていない村があり、そこでは勇者を試す儀式があるとか。」
勇者「よし。行ってくる。」
リオル王子「その傷で行くのか?まだ、傷痕がひどいというのに」
勇者「行かなければ、魔王がまた何かする前にっ!」まだ、傷跡が痛む。が行かなければ!
俺は立ち上がり、剣を持ちキャラバンを出ようとした。
リオル王子「待て!勇者よ。我も行こう。」
将軍「王子!なりません!キャラバンの兵も、勇者殿突撃のための先の戦で疲労してます。ここで王子がいなくなってしまっては!!」
リオル王子「勇者をこのような状態で行かせられぬ。しかし、行かねば魔王がまた動き出す。ならば、私も
勇者と同行し、魔王を倒す手ががりを見つける!それが、一国の王子というものではないのか!?将軍!」
将軍「しかし・・」
勇者「王子。兵のことも考えて、一度国に帰ってくれ。俺は大丈夫だ。」
リオル王子「しかし、勇者!この傷で旅など危険すぎる!魔王の眷属や、兵士も多いのだぞ!!」
勇者「大丈夫だ。それより、国に帰って次の魔王討伐の準備をしておいてくれ。」
リオル王子「しかし!!」
将軍「王子!国へ戻りましょう。勇者殿のためにも、国のためにもここは国へ帰り、次の遠征に備えましょう。」
リオル王子「勇者。本当に大丈夫なのか?」真剣な目をして問いかけてくる王子に、俺はためらいもせず「安心しろ。大丈夫だ。」と返事をすると、王子は少しうつむき。
「分かった。将軍、皆に明日の早朝国へ帰還すると伝えてくれ。」と行った。
将軍「分かりました。早急に。」といって、将軍は出て行った。
リオル王子「勇者。一つ頼みごとがある。」
勇者「ん?」
リオル王子「東の奥地に着いたら、手紙で連絡をくれ。」
勇者「お、おう。だが、なぜだ?」
リオル王子「それは手紙に書く。とにかく、今日は明日に向けて寝ろ。」
勇者「分かっている。」と王子に向かって背を向けて寝るふりをすると、王子は静かに出て行った。
そして、キャラバンの皆が寝静まったのを確認して、俺はキャラバンをあとにした。目指すは奥地の村。俺はこの時まだ、未熟だったと今は思っている。