《 相違点のまとめ 》
『神との対話』とキリスト教教理の相違点のまとめ
(1)宇宙の創造目的
『旧約聖書』創世記には、神の宇宙創造の経緯が書かれていますが、創造目的については、はっきりとは記されていません。
キリスト教では、神の宇宙創造の目的については、「神は、神ご自身の栄光を現わすために宇宙を創造された」としています。
『神との対話』では、絶対的存在の神は、自らを体験的に知るために、相対性の理論を利用して、相対的世界すなわち宇宙を創造し、魂(および人間)を通して自らの神性を実感的、体験的に知ろうとしたとしています。
(2) 堕落と原罪
キリスト教では、人間の始祖であるアダム(男)とエバ(女)が、エデンの園で罪を犯して堕落したと説いています。
すなわち、神から取って食べてはならないと言われた善悪を知る木の実を、ヘビの誘惑によって食べるという罪を犯し堕落したため、それ以後の子孫は、生まれながらに原罪を負っている、といっています。ヘビも堕落して悪魔となったとしています。
『神との対話』では、エデンの園の神話の本質は、神の最初の祝福を表現しているといっています。
Ⅱの(2)で述べたように、人間は魂の乗り物として、人生で神性を体験していきます。魂の宿った最初の人間は、相対的世界で、ゼロから神性の体験を始めます。善悪を知る木の実を食べたということは、相対的世界の体験を、人間が始めたという祝福すべき船出を意味しているのです。
人間に原罪はなく、悪魔は存在しません。
(3) キリストと救済
キリスト教では、生まれながらに原罪を持っている人間を救済するために、神から、イエスキリストが遣わされました。
イエスキリストは、人類すべての罪を、自らが背負って十字架上で亡くなり、3日目に復活しました。そのイエスキリストを信じることによって、人間の原罪は贖われ、神に許されるというのが、キリスト教の救済論です。
『神との対話』では、神は絶えず、魂を通して、自然を通して、多くのマスター(師)を通して、人間を導いているといっています。マスターとは、輪廻を繰り返して神性を体得し、悟りのレベルに到達した魂(の宿った人間)をいいます。
人間自身が、人生の道に迷い真理を求める時、神はいつも導いています。どの道を歩もうと、いつかはゴール(神)に到達するのですが、迷っている人間、求める人間には神は応えているというのです。
イエスキリストは、マスター(師)のうちでも、最高のマスターであるといっています。そして、イエスキリストを信じて求める者には、今も霊的に導いているといっています。
(4) 輪廻と地獄
一般的なキリスト教では、輪廻は説いていません。人間は死ねば霊界に行き、その人間の生き方の良否によって、それぞれ、天国・地獄・煉獄(天国と地獄の中間)に行くといっています。
大罪を犯し、イエスキリストによる贖罪(罪のあがない)を受けなければ、地獄に行くと教えています。
『神との対話』では、輪廻を説いています。現世で神性を体験した魂は、死んで来世に行きます。その魂が、さらなる神性の体験を希望した時、現世に戻ってきます。これを繰り返す(輪廻)といっています。
『神との対話』では、地獄は存在しているものではなく、来世において、魂の最低の成長レベルによって、自ら創り出し経験するものだといっています。
(5) 選民
旧約聖書には、人間始祖のアダムとエバ以後、その子孫が増えてユダヤ民族となり、堕落によって追放されたエデンの園に、再び帰っていく歴史が書かれています。
ユダヤ民族は、神の国を建設するべく神に選ばれた民族で、それを選民といっています。
『神との対話』では、旧約聖書は一民族の歴史的物語で、人間始祖は地球上の複数の地で誕生しているといっています。
そして、神にとって特別な民族というものは無く、すべての人間、民族が、神にとっては、神の分身という特別な存在であり、神性を体験する道を、等しく歩んでいるというのです。
(6) 宗教
旧約聖書には、イエスキリストの生誕までの、ユダヤ民族の歴史が記されています。イエスキリストの説いた教えが新約聖書となり、キリスト教の教典になっています。旧約、新約ということばは、キリスト教的ないい方なのです。
ユダヤ教は、イエスキリストを救世主とは見なさず、一人のラビ(ユダヤ教の教師)と見なしています。したがって、旧約聖書(モーセ五書)は、ユダヤ教ではトーラーと呼ばれ、その教典になっています。
イスラム教は、紀元後6世紀に、ムハンマド(マホメット)が起こした宗教で、教典はコーランといいます。マホメットは、旧約聖書ダニエル書に出てくる天使ガブリエルに出会い、神の啓示を受けたとされています。
このように、世界4大宗教のうち、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教は、同じような歴史的過程の中で誕生しています。
4大宗教の残りの1つ仏教は、紀元前5世紀、インドのガウタマ・シッダールタによって、起こされています。
宗教はさらに、インドのヒンズー教、日本の神道、中国の儒教など、世界に存在する民族の数と同じくらい、多数存在しています。
『神との対話』では、宗教はどの宗教も、神に至る道を教えているといっています。しかも、どの宗教にも優劣はなく、すべての宗教が、神に至る道を示す一つの教えだといっています。




