2-1 《人生って何なの?》
しょう子:ニールさんの最初の質問は人生についてだったよ。
A:そうだね。第1の質問は、「わたしの人生はいつになったら、上向くのでしょうか」だった。人生に行き詰まっていたから、それが最初に出たんだろうね。
しょう子:それで、『神との対話』では何といってるの?
A:現実的な話の前に、「そもそも論」からいっていいかい。ちょっと難しいよ。
しょう子:分かりやすくお願いします。
A:『神との対話』では、「人生は、魂が宿った人間の生活活動を通して、神性を体験していくプロセスだ」といっているんだ。
現実の生活に起こるさまざまな出来事をツール(道具)として、人間が考え行動することによって、神性を体験していくんだ。それが人生だといっている。
しょう子:いきなり神さまなんだ。
A:そう。ニールはクリスチャンだから、神を前提にして話してるんだ。
しょう子:神性って?
A:文字通り、神の性質。
新約聖書に、「神の見えない性質、すなわち、神の永遠の力と神性とは、天地創造このかた、被造物において知られていて、明らかに認められる」(ローマ人への手紙1章20節)というくだりがあるんだ。
自然、地球、宇宙には、まさに天文学的な数の物体がある。自然を見ても分かるように、生物から無生物にいたるまで、たくさんの物体があるよね。
それらは全て、神の宇宙創造によって表現された神性だというんだ。
しょう子:難しいなあ。神さまや魂は分からないわ。
A:神や魂については、おいおい話すことにするね。今は、神の宇宙創造があったとして、話してもいいかな?
しょう子:はい、お願いします。
A:人間は、魂-精神-身体の3層からなっている。もちろんそれらは、分離することはできない。分離する時が死で、合体する時が誕生といってもいいね。
しょう子:魂はなんのためにあるの?
A:そこがポイントだね。
神は自分の分身として魂を創ったんだ。
神と魂は、表裏一体ともいえる密接な関係にある。神にとっての魂は、例えていうと、人間の全身にある五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)のようなものだといえるんだ。
しょう子:どうして神さまは魂を創る必要があったの?
A:神は、自分自身を実感的に知りたいと思ったんだ。それが宇宙創造の動機だ。それで自分を細かく分けて、分身としての魂を創った。
自分の性質(神性)を表わして宇宙を創り、その宇宙の中で、魂に神性を体験させようとしたんだ。そうすれば魂の母体の神は、自分を客観的に知ることができるというわけだ。
しょう子:自分を知りたい……?
A:画家を例えにすると、理解しやすいかな。画家はなぜ絵を描くんだろうね?
しょう子:自分の感じたことを、絵に表したいからじゃないの?
A:そのとおり。自分の脳裏に浮かんだ思いやイメージを、絵としてキャンバスに表現したいからなんだよね。
頭の中の形のないイメージを、形ある絵にして、それを客観視することで、イメージを実感的に知ることができ、画家は喜びを感じるんだよ。
しょう子:形のないものを、形あるものにしたんだ。
A:そうそう、いい線いってる。形のない神性を、形ある宇宙として展開して、それを見て神は喜びを感じる。
しょう子:神さまは画家なのね。
A:まあ絵画に例えれば、そうだといえるかな。
違う例えをすると、自分の姿は自分では分からないけど、鏡に写して見れば分かる、とでも言えるかな。
〈つづく〉