第7話 チャリーン
【いや、レアアイテムとか嘘やろ?】
【嘘じゃな……】
義姉ちゃんが、手を突き上げたままジャンプしてダンジョンの天井を殴りつけた。
チャリーン……と、音声オフにしてあるにもかかわらず聞こえたような気がした。
【チャリーン】
【チャリーン】
【いやいや、レアでも何でもなくね?】
【レンガのブロックを叩いてコイン出すゲームあったよな……】
【マインちゃん、あれを真似てポーズしてるの?】
【きっと、あれはスキルガチャコインとは別の物】
【だな、別物だろう】
【チャリーン】
【チャリーン】
【チャリーン】
【別物だったとして何なんだろうな、あれ……】
【さぁ?】
【今ので何枚だ?】
【20枚】
【あ、ジャンプするのをやめてしゃがみこんだぞ】
【集めてる集めてる】
【かわいい】
【なんか、考え込んでる】
【聖剣スターマイン様が、何かに気が付いたようだ】
【スキルガチャコインではないと気が付いたとか?】
【とっくに気が付いてるだろ。レアアイテムが天井叩いただけで落ちてくるわけない】
【天井がダンジョンボスだとか?】
【あはは、まさか!】
【マインちゃん何ダンジョンにいるんだっけ?】
【富士山麓にある、1階層しかなくてスライムしか出ない超初級ダンジョン】
【スライムしか出ないダンジョンなんてあるか?】
【だから、実際あるだろう】
【ボスが出ないダンジョンはあるのか?】
【あ!】
あ!……確かにだ。別の階層に通じる階段もなかったから、1階層だけで終わりだと誰もが思い込んでいた。
1階層しかないからボスもいないのだろうと、疑問に思うこともなかったが……。ボスがいないダンジョンはあっただろうか?
【マインちゃん、見破ってたんだよ!】
【何を?】
【ほら、初めに壁に近づいて触ってただろう?】
【確かに!】
いやいや、あれは絶対「うわー、ダンジョンって洞窟みたいになってるんだすごぉい」とか「壁って触れるのかな?おおお!」とかそんなんだと思うぞ。
【またジャンプ始めた】
【チャリーン】
【チャリーン】
【やめたぞ】
【始まった】
【チャリーン】
【チャリーン】
【やめたぞ……って、10回ずつで辞めてるな】
【10連ガチャみたいだなww】
【何か大切な意味があるんじゃないか?ほら、上上下下左右左右みたいな】
【復活の呪文かよwww】
【違う、必殺技や!】
【裏技コマンドだな。最後にABがいる】
【なんの話?】
【やべ、平成生まれが混じってるぞ!】
【いや、普通においらも平成生まれだけど】
……。コマンドでもなんでもなくて、休憩取ってるだけだと思う。
義姉ちゃん体力ないもんなぁ。っていうか、いつまで続ける気だろう。
……あの出てきたコインは何だろうなぁ。
もし、本当に壁がボスだったとしたら、ボスとはいえ初級ダンジョンボス。レベル999のスターマインならパンチ1発でやっつけられるだろうが……。
やっつけるたびにコインをドロップするなんてありえないだろう。いや待てよ?
スキルガチャコインに似た偽物がドロップしている可能性はないか?
うん、きっとそうに違いない。
ぬか喜びさせる罠。
【チャリーン】
【チャリーン】
【いつまで続けるんだ?】
【295枚】
【数えてるんかい!】
【いや、数に理由があるかもしれないだろ?】
ないない。
【今ので300枚だ】
【マインちゃんスキルガチャコイン見て笑ってるぞ】
【やっぱ本物なのか?】
かわいいな。義姉ちゃん。どうせ「いっぱいある嬉しいなぁ」とか思ってるんだよな……。だけど、偽者のスキルガチャコインを何枚集めたって無駄なんだよ?
……もしかしたら「いっぱい集めて勇樹を喜んでもらおう」なんて思ってくれてるのかな?だとしたら……。
やばい。嬉しすぎる。
いくら偽物コインだったとしても……俺のために集めてくれたコイン……大事にとっておこう。
【マインちゃんこっち見た】
【スキルガチャコインを見せてるぞ?】
【特定班!】
【ほい!すでに準備中】
【次のコインを見せてるぞ、赤い石がついてる】
【今度は黄色い石がついてる】
【特定はよう】
【お待たせ。スキルガチャコインと画像だけなら同じものだ。ただよく作られた偽物の可能性もゼロじゃない】
【んー、こればっかりは使ってみるまで分からないということか】
【石がついてるのは、スキル取得確定コインらしい】
【マジか!】
【過去に赤い石のついたスキルガチャコインで火魔法スキルを手にしたやつがいる】
【おお!魔法ってスキルを手に入れて使うのか!】
【あとはアイテムな】
【赤い石が火魔法は分かった。黄色と緑と透明なのがあっただろ?何の魔法だ?】
【まあ、常識的に考えれば、光と風と無属性ってことじゃね?】
【常識wwww】
【雷と植物と水ってこともあるだろ】
【それな!】
【もちつけ、あとは鑑定スキル持ちの仕事じゃろ】
鑑定スキル持ちの仕事って……。鑑定スキルを持っているのは、俺と日本にはもう一人しかいないはずだ。
俺と同じレベル999のSSランク。
閃光のイクシオ。金髪エルフの姿をしたいけ好かないやつだ。
AサイドBサイドと二重人格という設定いしてるが、単に操縦者が入れ替わっているんだろう。二人で操縦しているためダンジョンでの活動時間が初期から長く、レベル上げにも熱心だった。
どちらが先にレベル999になるかと騒がれたりしていたこともあって、関わりたくないと避けてる。
【じゃ、鑑定しに行ってくる】
は?
【頼んだ!】
頼んだじゃない。
【任せとけ】
いやいや、任せとけって……。
今まで動画にコメントをつけてはいなかったが、初めてスマホを操作してコメントを入れる。
【おまえ、イクシオか?】
【よくわかったな。とにかく鑑定しに行ってくる。富士山麓のダンジョンなら明日の昼には潜れる】
なんだって?




