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シンボルエンカウントは良い文明だが・・・

 「いや、馬鹿か私は!」


そして現在、私は山の中腹で叫んだ。

行く時にホームセンターで買った懐中電灯と護身用に買った金属バットを握りしめ山を登って来たが暗いし疲れるしで正気に戻った。


 「うう・・・夜の山ってこんなに暗いんだ・・・」


今頼りになる光源は左手に握っている懐中電灯のみだ。

なぜ途中で灯りと武器を買う考えはあったのに山に行くのをやめるという考えに至らなかったのだろう・・・

てか、夜の山で金属バットを持って登る女の子は普通に怖いし通報ものでしょこれ・・・誰もいません様に。夜の山は静かで思ってたよりも音が無い、私の落ち葉を踏み締める音だけが山に響いていた。


 「勇者よ・・・勇者よ・・・」


 「はいはい!分かった!行くよ!行けばいいんでしょ!」


しかし今更帰るのも勿体無い、ここまで来たならこのうるさい奴の正体を確かめてぶっ飛ばして帰らないと。

声のする方にひたすら歩き続けると草木に覆われている岩壁に行き着く。


 「ここ?・・・壁以外何もないけど・・・」


頭の中に響いてくる声は間違いなくここからしているが・・・

懐中電灯で辺りを照らすが岩壁と植物しか無い、もしかしてこの岩壁の中?だとすればどうしようもない。


 「うーん、どっかに入り口があるとか?その中に私を呼んでいる何かがあるとか?」


しかし懐中電灯を持ったままでは調べにくいな、もう片方の手はバットで埋まっている。バットで岩壁を軽く叩きながら調べて行くが何も起こらない。


 「どこだー?声は確かにこの中から聞こえてるんだけどなぁ」


その時持っていた懐中電灯が浮いて辺りを照らしてくれる。


 「お、ありがとう。照らしてくれたすか・・・ん?」


あれ?懐中電灯って勝手に浮くっけ?そんなハイテクな機能は無かったはず。違和感を感じて後ろを向くとそこには。


 「は?」


蔓の化物がいた。太い蔓が蠢いで形を作りその中心には一つの赤い花とウツボカズラの様な捕虫袋。それらは無数の蔓によって支えられて生き物の様に振る舞っていた。懐中電灯を取ったのは一本の蔓が伸びて絡め取ったのだ。


 「ッ!?な、なに!?」


こんな生物は見たことが無い、恐怖心で思わず金属バットを握りしてるが遅かった。複数の蔓がいつの間にか私の足まで伸びいて絡めたり私を引っ張った。


 「きゃあ!」


私はそのまま空中に放り投げられ落ちる先を見た、そこはあの捕虫袋だった。中には消化液があり私の落下を待っていた、え、私あの中に入って死ぬの?


 「させるかぁあ!!!」


空中で体勢を整えた後金属バットを握りしめて捕虫袋の淵に向かって振り下ろして落下の方向を変えて地面に落ちる。


 「ぐっ!」


着地の衝撃で体を痛めるがすぐに立ち上がる、捕虫袋を殴られた蔓の化け物は痛そうに全身の蔓を悶えさせるがすぐに蔓を私に向かって薙ぎ払い私を岩壁に叩きつけた。


 「ぐあ!・・・なんなのあの化け物!?」


叩きつけられた背中が激しく痛む、叫ぶ私を前に蔓の化け物はジリジリと寄ってきて私の逃げ場は無くなっていく。


伸ばされた蔓をバットで叩き落とすが効いている様子はない、鈍器のバットではダメだ。倒すなら刃物か鋭いものがないと!


近づいてくる蔓の化け物から逃げようとするが横は蔓が伸ばされて行ったら絡め取られるだけだ、後ろは岩壁だし・・・どうする?一歩後退りしようとしたら岩壁に背中が触れる、岩壁の上に登れないかと手をかけたその時岩壁が光輝いた。


 「はあ!?」


眩い閃光。私の触れた部分から徐々に光は広がり岩壁全体へと広がった。そして轟音と共に私の触れていた周辺の岩壁が崩れてその中から暗闇が現れた。


 「へ?ちょっ、ま!」


背中を預けていた私は岩壁が無くなった事でそのまま暗闇に堕ちて行った。


暗闇の中には階段があり私はそこを転がり落ちた、幸い踊り場があってそこで止まったようだ。


 「いっ・・・たぁ・・・もうなんなの!?蔓の化け物だったりさっきの光だったり!」


辺りを見渡すが暗くてよく見えない、転げ落ちてきたところから差す光が唯一の光源だ。灰色の階段を転げ落ちけきたようでまだ下がある様だ。


蔓の化け物はここには入って来れないのか落ちてきたところをウロウロとしている。


 「・・・戻れないよね。声は岩壁の中から聞こえてたしこの先にいるの?」


スマホは無事だった様でライトをつけるとバットを持って下へ向かう為階段を降りる。


無機質な灰色の階段がずっと続いた後ようやく最下層に着いたのか扉のある部屋に出た。


 「扉?・・・この先に何があるの?」


扉に近づいてゆっくりと開ける、中をスマホのライトで照らすが壁に立てかけてあるランプのお陰でその中はほのかに明るい、そこには台座がありそれには。


 「え?・・・剣?」


一振りの剣があった。見間違いではない、あのシルエットは間違いなくゲームでよく見てきた剣だ。なんでそんな物が雛高の裏山の地下に?


 「勇者よ、勇者よ・・・我の元へ集え」


 「勇者・・・え?私が?」


さっきの声は確かにあの剣から聞こえた。勇者?何を言っているんだ?私ただの女子高校生なんだけど?


 「えっと・・・(つるぎ)さん?呼んだのはあなたですか?」


 「そうだ、よくぞ我の元へ来てくれた」


 「そっか・・・今そっちに行くね」


扉を完全に開け中に入り剣に近づく、そして。


 「よくも深夜にこんな事してくれたね!これでもくらえ!」


ふん!と思いっきりバットで剣を殴りつける。宣言通り一発殴ってやった!

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