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序章 剣と青春は相容れない

ピピピ、ピピピ、ピピピ、スマホのアラーム音が部屋に響く音で私は目を覚ました。


 「・・・なんか変な夢見ちゃった」


手に取った買ったばかりのスマホにやりアラームを止める。


上半身だけを起こして伸びをした後布団の暖かさに負けない様にさっとベットから出る。


入学式初日に二度寝して遅刻なんてあってはいけないことだ。


 「ふぁ・・・ぁぁ・・・」


それでも体はまだ眠い様で気の抜けた声が出てしまう、早く朝日を浴びて体の電源を入れようと窓のカーテンを開けると。


 「グオオオオオオオオオッ!!!」


窓からドラゴンが飛び去るのが見えた。


 「・・・ドラゴン・・・白龍だ、珍しい。あんなに急いでるなんて遅刻でもしそうなのかな?」


だとしたらあのドラゴンの様にならない様に日を浴びて体を起こさないと。


窓から見えるのは都市の住宅街の風景、一軒家よりも視点が高いのはここがマンションの五階だからだろう。


一人暮らしをする時に両親が心配だからセキュリティ万全な高級マンションにしたのだが部屋の広さは一人暮らしの広さでは無い。


私の家具全部置いても部屋が余るほどだ、愛されているのは分かるが流石に一人では持て余すので物置になるのが目に見えている。


住宅街のその先はビルが立ち並ぶ都市の心臓部、私がこれから通う学校もあの中にあるのだ。


 「よし、早めについて友達作らないと!」


朝日を浴び終えて体の電源がしっかりと入った。


元気な足取りで寝室のドアを開けてリビングに出るとキッチンに立ち棚から食パンを取り出す。バターを塗りトースターへご案内、冷蔵庫からヨーグルトとシリアルを取り出してたっぷりと器に移す。


 「たっーーぷりっと、朝はガッツリ昼もガッツリ夜はもっとガッツリ食べるのが蓮護家に伝わる健康法ってね」


器に盛られたヨーグルトに上からシリアルをこれでもかとかける、シリアルが山盛りになって来たぐらいで止めて配膳に載せる。


まだトースターはお仕事中だから今のうちに顔を洗ってこようとした時パジャマのポケットに入れていたスマホが震え出す、画面を見るとママからの電話だった。


 「もしもし?」


電話に出るとスマホのスピーカーから明るい声ママの声が聞こえて来た。


 「良かった、ちゃんと起きられてるわね」


 「そりゃあ入学式に遅刻する訳には行かないから。何?心配だったの?」


 「もちろん、親は子供の事をいつも心配しているものよ」


 「別に大丈夫だよ、心配しすぎ」


 「ゆーちゃん、変なところでやらかすから心配しすぎなくらいが丁度いいの」


 「うぐ・・・」


心当たりしかないので何も言えない。しかし心配しすぎでは?もう高校生だよ?


 「それで学校大丈夫そう?駅までちゃんと行ける?」


 「いーけーまーすー!もう、過保護だよね。部屋もこんなに広いし」


 「だってゆーちゃんが変な子に付き纏われたりしたら嫌だもん、それにゆーちゃんには転勤で迷惑かけてたし、いいところに住んで欲しかったから」


私は小学校から中学校まで様々な場所を親の転勤に付き合って転々としていた、そのせいで未だに親友と呼べる友達は出来たことがない。


それゆえに私は親元を離れ一人暮らしを選択したのだ。


おばあちゃん家に預かってもらうという手もあったが私が両親が好きで離れたくなかったから転勤に付き合っていただけなんだけどね。


それでも友達を作ったら別れて友達を作ったら別れての繰り返しは流石に心にくる!


そんな訳で両親に我儘を言って高校から自由気ままな一人暮らしだ。この時の為に家事やらなんやらを教わったから死角は無し!


 「でも、一人暮らししたいなんて我儘叶えてくれてありがとうねママ」


 「パパー!ゆーちゃんがありがとうって言ってくれた!」


 「起こさないの!まだ寝てるでしょ!」


全く、仲が良いのはよろしいことだがあのラブラブカップルみたいな熱はいつ冷めるのか。


電話越しの明るい声が少し落ち着いてママは話した。


 「ゆーちゃん入学式来れなくてごめんね」


 「いいよ、急にお仕事入っちゃったんだから仕方ないよ。でも校門で撮りたいからその内来てよ?」


 「絶対パパと一緒に来るから!」


 「うん、待ってるね。そっちもお仕事頑張って。お仕事してるママ、カッコよくて好きだから」


 「ゆーちゃん!!!」


 「うるさ!」


耳元で叫ばないでほしい、耳がキーンってなる。


 「ゆーちゃん大好き!お仕事頑張るね!学校行ってらっしゃい」


 「はいはい、行って来ます」


電話を切って顔を洗いに行くと顔を拭いている時にトースターの仕事が終わった音がした。


リビングに戻るとリモコンを取りテレビをつける。


<今日未明、バジリスクの邪視による盗難事故が発生しました。犯人は未だ逃走中で被害に遭ったエルフの男性に怪我などはありませんでした>


「うん、初対面でバジリスク怖いね〜は無いね、もっと平和な話題はないの?」


学校で話題にするには物騒だチャンネルを変えよう、次。


<決闘連勝記録を作り上げているカルノクスの戦蝶院さんは今年の決闘大会にも出場を表明しており>


決闘か、話題にはなるけどファーストコンタクトになる訳だしもっと無難な話題がいいな。次。


<呪いによる被害が相次いでいます、警察によって詐欺グループが幸運を呼ぶアクセサリーとして販売していたものが呪いを宿したものである事が分かりました。>


物騒、次。


<オーガ族による集団抗争によって重症者8名、軽傷者11人が出る被害が>


「朝からこんな話題しかないの?」


結局最初のニュース番組をつけてると違う話題になっていた。


<ノースフレンド動物園ではベヒモスの赤ちゃんが生まれ大きな賑わいを見せています>


 「おお、こうゆうのだよ。私の求めていた話題は」


これならどんな子でも話題にしやすいし見に行かない?みたいな感じで誘えるし。


キッチンに戻ってトースターから食パンを取り出した後冷蔵庫から餡子の入ったパックを取り出してたっぷりと載せて皿に乗せた後コップに牛乳を注ぎ配膳に乗せた後リビングのテーブルに持っていって椅子に座る。


 「へー、ベヒモスの赤ちゃんかわいいなぁ・・・ノースフレンドって色んな子いたよね、うん、遊ぶ場所にはいいかも」


食パンが熱いうちに口に頬張ると餡子と食パンの甘味が口いっぱいに広がる。


うーーん!美味しい!やっぱり朝は餡子がないと始まらないね。


食パンとヨーグルトを食べながらスマホを起動してネットニュースを見て更に情報を集める、なってたって今日は私の高校入学の日。


私の通う私立多種族(しりつたしゅぞく)共同雛菊(きょうどうひなぎく)女子高等(じょしこうとう)学校、通称雛高(ひなこう)は多種族が通える女子校でありこの日本国で最初に出来た女学校だと言われてる。


日本国って子供の時は変な名前だと思ってたけどその名の通り多種族が日のもとに集まり暮らせる国という意味で日本国となっているみたい。他の大陸と比べると少し小さな楕円形の大陸にあるが多種族共存を昔から貫いている国でもある。


そんな国の龍昌市(りゅうしょうし)にその雛高はあり今は都会の少し外れにある歴史ある私の憧れの高校だ。


雛高を選んだ理由は中学生の時に見た文化祭の動画がめっちゃくちゃ楽しそうで学校の雰囲気もいいし色んなイベントがあってここなら青春を謳歌出来そうだと思ったのと何より制服が可愛いのだ!


あの制服を着る為に私は受験を頑張ったよ、雛高は一般人でも必死に勉強すれば入れるので中学三年生の頃はもう勉強尽くしだった。


その甲斐あって勉強が苦手な私でもあの雛高に合格できたのだ、いやー合格通知が来た時は泣いたなぁ・・・パパとママにもいっぱい褒められた。


今まで転勤で親友とか作れなかったし今度こそ友達いっぱい作って青春を必ず満喫してみせる!憧れの雛高で私は最高の青春を掴むのだ!


 「ふふふ、待っていろよ!私の青春!私の未知なる友達よ!」


食パンを食べ終えヨーグルトとシリアルもお腹に入れた後牛乳を飲み干す。


よし、エネルギー充填完了!早速制服に袖を通すとしよう!


食器を片付けた後寝室に戻り壁にハンガーでかけてある制服を見る。


 「ついにこれを着て雛高に通うんだぁ・・・ああ!最高!」


待ちきれなくって何度も着ていたので制服はスムーズに着れた。髪を整える為寝室からリビングを通り洗面台のある浴室に向かう。


そこにある鏡に映る私を見た。


まず目に留まるのはゆるふわな髪、髪色は淡いラベンダー色で腰まである髪はふんわりとしたウェーブがかかっており前髪は少し長め。しかし頭の上にあるピョンと跳ねた髪はどうやっても直すことはできなかった、仕方ないからハート形なる様にして可愛くアレンジしてるけど。


顔はママ譲りの可愛い顔だ、とっても気に入っているおり傷一つ付いてない。


種族は人間で角や尻尾は無い、本来はママの尻尾を受け継いていた様だが体に合ってなくって切ってしまったそうなので見た目は人間と変わらない。


背はそんなに高く無い、この前測ったら153cmだった。


やっぱりもう少し身長は欲しいな・・・でも中学生の頃からそんなに伸びてないんだよねぇ・・・


サイドに編み込みをセットしてお気に入りの白い蓮の花の髪飾りを付ける。軽くメイクを施して・・・よし完成!


準備が整った後改めて鏡を見る。


そこには雛高の制服を着こなした私がいた。


雛高の制服は濃紺の様な黒いジャンパースカートに白いブラウス、赤いリボンをキュッと締めて胸元に付いてる雛高の校章がついたワッペンがきらりと輝く。一番のお気に入りはスカートに一段だけ付いている白いフリル、これが清楚な制服に可愛さを足している。


 「ふふ、ふふふ!やっぱり制服可愛い!」


鏡の前でくるりと一回転回りるとスカートがふわりと浮かび私の心の様に笑って見せた。


私、今日から雛高に行くんだ・・・!


 「えー、んん。私の名前は蓮護優理(れんごゆうり)です。種族は人間で趣味はゲームと読書とお料理です!特技は楽器で色々触ってます!色んな事に興味があるので皆さんの事是非教えてください!・・・よし!完璧!」


何度も練習した自己紹介を終えて歯磨きをした後洗面台の電気を消して登校の準備に取り掛かる。


私、蓮護優理は今日から華の高校生じゃあぁあい!


 「いってきまーーす!」


誰も部屋に居ないのに元気良く言って玄関のドアを閉める。


エレベーターで一階に降りて広いエントランスを抜けて外へ出ると少し早足で駅へと向かう。


すれ違う人達は色んな人達がいる、エルフに人間にラミアにケンタロス。日本国は多種族国家なので様々な種族が共存している。


犬や猫の特徴があるクーリエ(獣人は差別用語なので今は使われない)に角や尻尾がある魔人、耳が長く長寿なエルフ、触手のあるテングルド、私のママの種族であるサキュバスに私の種族の人間などなど、この国には色んな種族が共存して生活している。


私の通う雛高は多種族共同校なので全ての種族が通える高校であり雛高がある龍昌市は日本国の中心とも言っていい都会でビルが立ち並びあらゆる流行と遊びの発信地だ。


そんな龍昌市にある憧れの雛高に私はこれから通うのだ!


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