愛が一番!
「そちらの方が安心しますね。それで女神様、勇者と魔王の約束はどうなりました?」
「あー、それね。どうせやるならクリカラちゃんにここまで来てもらうのが一番面白いかなぁって思ってずっと黙ってたの!」
「ええぇ?」
面白い?今この人、いや、この女神面白いっていった?
「はあぁ・・・だと思いました、悪い癖が出ましたね」
「ちょっと待って、どう言う事?本当に女神なの?」
「女神だよー!優理ちゃん、貴方のことはなんでも知ってるから。誕生日は8月23日、生まれた時は3005gで生後三ヶ月でハイハイしてた元気な子。あ、教会で出会ったシスターのデュランちゃんは良い子だから勘違いしないでくれると嬉しいなあの子も色々あってね、中学生の時に」
「女神様!話が逸れてます」
「あ、ごめん。優理ちゃん今ので女神って証明で大丈夫?銀河生み出そうか?」
「いや大丈夫です!」
流石に銀河を生み出されるのは困る。いや、どう困るかは分からないけど。私のかなり知っている様で少し引いた。思ってた女神じゃ無いけどクリカラの反応を見るに本物なのだろう。
「女神様、説明をお願いできますか?」
「はーい説明するね。本当は優理ちゃんと舞桜ちゃんが初めて会った時に二人に説明しようと思ったんだけどその時思いついちゃったの。どうせクリカラちゃんを抜くならそこら辺で教えた方が面白いんじゃないかって!優理ちゃんの驚く顔も観たかったし!私天才!」
「・・・はぁ?」
な、何言ってるんだこの女神?
「すまぬ、女神様は・・・その、何というか。愉快な方でな。お告げがない時点で何か企んでいると思っておったが・・・」
「さっすがクリカラちゃん!私の性格分かってるね!だからこうして来てもらって説明しようと思ってね。あ、今優理ちゃん混乱してるよね?質問いいよ!世界の創造主に答えられない質問は無いよ!」
謎のドヤ顔を見せる女神に呆れながら質問をする。
「えー、まず私と皇さんが恋人にならないと世界が滅びるって本当?」
「うん、本当だよ!一月一日までに"心から愛し合う恋人"にならいないと巨大隕石が落ちて滅びます!」
「・・・マジ?」
「マジ!」
マジか・・・否定して欲しかった質問を肯定されてしまった。本当に皇さんと恋人にならないと終わるんだこの世界。てか、滅亡の原因隕石なんだ。
「それはどうにかならないの?」
「ならないねー約束の魔法の契約はちゃんと守ってもらわないと。私は輪廻をいじって貴方達を巡り合わせたんだよ?後は二人が約束を果たすだけ」
「いやいや、私前世とか知らないし!勇者の生まれ変わりとか知らない!私の青春どうなるの?」
「うーん、頑張ってとしか言えないね。頑張らないと世界滅んじゃうよ?」
「いや、女神も世界滅びたら困るでしょ?せっかく作った世界がなくなっちゃうんだよ?」
「うーん別に困りはしないかな?三千世界に永遠は無いよ。私も世界もいつかは死ぬしそれがこのタイミングだっただけでこの世界の終わりを受け入れるよ」
その言葉を私は受け入れられなかった。なんで?なんとか約束の魔法をどうにかしてもらわないと私が困るし世界が滅びるかもしれないのに。
「この世界を愛してないの?」
「愛してるよ!とってもとっても!一番愛してる!この世界で生まれたすべての命、物、文明。全部全部愛してる。この世界で生まれた全ての人を知ってるしこの世界で知らない事なんて無いよ。愛してるから!」
「お主よ、神と人の視点は違うぞ。女神様はこんな神であるがこの世界を愛しているのは本当だ」
「嘘でしょ・・・本当に私がなんとかしないと世界が滅びるの?」
「うん!頑張って!」
「さっき面白くなる様にしたとか言ってなかった?」
「えへへ、愛してる子にはちょっかいかけたくなるの」
「・・・それじゃあ皇さんにこの事を伝えて恋人になるしか」
「あ、それなんだけど舞桜ちゃんにそれ伝えたらダメね」
「はい?」
女神は手で小さくバッテンを作って続けた。
「ヒントだけどあの子それをしちゃうと義務感で付き合っちゃうから二人は本当の心から愛し合う恋人にならないの。あ、私の未来予知での情報ね。だから舞桜ちゃんとしっかりと話して距離を詰めていって本当の恋人になってね」
「つまり伝えたら恋人になれないってこと?厄介な・・・」
「うん、面白くなってきたね!頑張って!楽しみながら見させてもらうから!」
「お主よ!抑えるのだ!拳を振るっても何も解決はしないぞ!」
なんだこの女神は!私の事をドラマのサブスクかなんかだと勘違いしてるんじゃないか!?
「ふふふ、可愛いわね。他に質問はある?」
「あんたを倒したら約束の魔法が解除されるとか無い?」
「なんという事を訊いておるのだ!」
「あら、神殺しも良いわね。神を殺して世界は真の意味自由になるのかもしれないわね。けど残念、今ここにいるのはただの分身なの。どうやっても私を殺す方法は無いわ。優理ちゃんだってゲームの世界の人が飛び出して来た事なんて無いでしょ?」
「ぐぎぎ・・・じゃあどうやったら最速で皇さんの恋人になれるの?」
「それは教えなーい!頑張って!」
「お主よ!落ち着け!バットを取り出しても解決しないぞ!」
なんなんだこの女神は!それを教えて欲しいんだよ私は!私は私の青春を謳歌する為に今生きてるんだ!決して前世の負債をなんとかする為に生きてるわけじゃ無い!それに前世とか知らないし!
「はぁ・・・結局、私と皇さんが恋人にならないと世界が滅びるのは本当でその、つまり・・・女の子同士で好きにならないといけないって事?」
「そうなるね!大丈夫!真実の愛に性別は関係無いよ!」
「あるわ!ありまくりだわ!!!せめてどっちかは」
「はーい!質問タイム終了!恋人になれる様に頑張って!ファイト!」
女神が指パッチンすると地面が崩れて私は落ちていく。
「最後まで聞けーーーーー!!!」
暗闇を落ちていくと光が見えてそれに包まれると。
「はっ!」
現実世界の教会へ戻って来た。女神を模したステンドグラスに座っていた。教会椅子も祈る前のものだ、戻って来たみたい。
「あんの女神ぃ・・・」
「戻って来たな。女神様は・・・あの様な性格だがお主と皇が恋仲になる事一番望んでいる方でもある。どの様な事をしたらダメなのかはさっきの様に教えてくれるだろう」
「分かった、とりあえずあのステンドグラスぶっ壊していい?もっと邪悪な感じに変えないと」
「待て!落ち着け!気持ちは分かるが一度落ち着け!」
「さっきどうやってバット出したっけ?咄嗟に取り出したけど・・・」
「こんなところでバットを出そうとするな!」
「さっきから一人であわあわしてるが何やってるんだ?」
掃除が終わったのかシスターのデュランさんがこちらを少し心配そうな目で見ていた。クリカラとは心の中で会話している為他の人から見ればあわあわしている様に見える様だ。
「大丈夫です、デュランさん。心配かけてすみません」
「あ?私、名前なんて言ったか?」
あ、マズイ。女神から聞かされて知ってたからつい名前を言ってしまった!
「あ、えっと・・・その」
「なんだ女神から名前でも聞いたのか?」
「実は・・・そうなんですよー!驚きました?」
言い訳なんて思いつかないし冗談言って誤魔化してさっさと帰ってしまおう。
「なんだ、女神から聞いたのか。それで女神はどうだった?」
「一発ぶん殴りたかったですね・・・あ!今の無しで!」
マズイマズイ!教会にいる人なんかにそんなの言ったら怒られるに決まってる!デュランさんの様子を見るが怒ってる様子は無くむしろ驚いている様だった。そして口角は上がっていき。
「あっははははは!!!気が合うじゃねぇか!このクソみたいな世界作った奴が聖人君子な訳がねぇよな!」
「え?」
デュランさんは馴れ馴れしく肩を組み絡んでくる。いや、身長差が50cm以上はあるので肩を組むと言うより肩を強引に寄せられてると言った方が正しい。
「お前面白いな!今まで女神の声を聞いたなんて言ってる奴はやれ崇高な声だった、だの神の雰囲気があるだの言ってたがそんな訳はねぇよな!」
「は、はぁ・・・」
「なんだよ、最初は綺麗な小せえガキがこんな時間に来やがってとか思ってたがいいなお前。名前はなんって言うんだ?その制服雛高だろ?」
「は、はい。蓮護優理って言います」
「優理な、覚えたぜ。困ったことがあったら相談聞いてやるよ、懺悔室が使えてサボれて私にも得があるしお前の話なら真剣に聞いてやるよ」
「あ、ありがとうございます?」
なんか、思っていた感じと違った。私の事が気に入ったのか笑顔でバンバンと背中を叩いてくる、めっちゃ痛い。
「あ、それと女神の声を聞いたなんて言わない方がいいぜ、ジジィどもが聖人だ!とか言って絡んでくるから秘密にしとけよ」
そう言えば偶にテレビでそんなの見るなぁ。幻聴の類だと思ってたけど本当にいるんだもんなぁ女神。
「はい、気をつけます」
「よしよし、いいぞ。帰るんだろ?また来いよ」
「よ、余裕があったらまた来ます!」
出口までデュランさんが送ってくれた後駅まで歩いて電車で帰る事にした。




