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ムービー中の急なQTEは焦る

クリカラと話しつつ教室に戻ると長船さんが合流していた。


 「お待たせー!長船さんようこそー」


私が席に座ると3人はそれぞれ机の上にお弁当を広げていた。


 「おかえりなさい。わぁ、いっぱい買ってきたね」


 「えへへ、朝ごはん抜いちゃったからお腹空いてて」


 「蓮護さん、さっきはありがとうね助かったわ」


 「どういたしまして!」


早速買ってきたメロンパンを開けて口に頬張る。いつもの安心する味が私の口いっぱいに広がった。


 「お主よ、あの皇舞桜について情報を集めてみよ。彼女と恋仲になる為には全然情報が足りぬ」


 「え、今訊くの?・・・まぁいいか」


心の中から聞こえてくるクリカラの助言に私の今の状況を思い出す、とりあえず知っておいて損はないだろう。


 「そういえば皇さんって主席だよね?どんな人かみんな知ってる?」


私の問いにみんなが答えてくれた。


 「わたしはそんなに知らないかな。皇グループのお嬢様ってぐらいかな?私が生まれる前から皇グループはあって結構歴史があるみたいだけど」


 「私は中学生の頃一緒でしたから知ってますよ。品行方正、美麗秀麗なのは中学生から変わってません。成績も常にトップで満点以外取ったところを見たことありませんね。四天王と呼ばれる人達が常にそばにいる為か近づく事もできません。まさに高嶺の花ですね」


 「し、四天王?」


なんだそのゲームでしか聞いた事ない単語は?リアルで聞く事あるんだ、てか魔王の生まれ変わりの周りに四天王って出来すぎじゃない?いや、四天王のインパクトが強くてスルーしそうだったけど全教科満点って何?頭の良さがインフレしてない?


 「皇さんの側にずっといるのでいつの間にか四天王と呼ばれてました。実際守りは堅く皇さんの近くに不用意に近づけば絡まれるでしょうね」


もし、告白しようと近づいたらその四天王にブロックされるって事?何それ?両手の黒い甲殻のせいで持ちずらいのかお箸は使わずにスプーンとフォークでお弁当を食べている星花さんの顔は真面目なので揶揄っているわけでは無い様だ。


 「わたくしはパーティーで何度かお話しした程度ですね。既に皇グループの上に立つことがもう決まっている為か同級生とは思えない程気品とカリスマ性に溢れた人という印象です」


月僧さん、星花さん、長船さんから情報を得て思った事は一つ。住む世界が違う!!!五段階、いや十段階くらい差があるんじゃない?とても私が今から努力して釣り合う人になれるとは思えないんだけど・・・


 「そ、そうなんだ・・・凄い人だね。というか長船さんパーティーとか言ってたけどもしかして皇さんと同じくらいのお嬢様だったり?」


 「皇さん程では無いかな。その一つ下ぐらいだよ」


なんと、一つ下とは言うがそれでもかなりのお金持ちなのでないか?別荘とか持ってそう。


 「そういえばここお嬢様校だった・・・え、じゃあ月僧さんもお嬢様!?」


星花さんはカルノクスの名家でお嬢様だし長船さんもとなればもしかしてお嬢様ではないの私だけ!?


 「わたしは普通の調薬師の家庭だよ。有名な一族とかでも無いよ」


ほ、良かった。その一言で少し安心した、三人ともお嬢様だったら一人だけ仲間外れになるところだった。


 「あ、そうだ!忘れるところだった。みんな、連絡先交換しない?これからみんなとは仲良くしたいから交換できる?」


 「はい、構いませんよ」


 「うん、これからよろしくお願いしますね蓮護さん」


星花さんと長船さんは了承してくれたが月僧さんからの答えがまだだった。月僧さんの方を見るとお箸の動きを止めて硬直していた。


 「月僧さん?ダメかな?」


 「え、あ!大丈夫、大丈夫だよ!ごめんね、ぼーっとしてた、交換しょう」


私が声をかけると慌てて応じてくれたが何かあったのだろうか?ぼーっとしてたって言ったけどさっきまで普通に会話してたし私が連絡先を交換しようと言ったら固まった様に見えたけど何かあったかな?


全員と交換し終えると私の連絡欄が少し埋まっていた、もう家族と公式アプリだけの寂しい様子とはおさらばだ。


 「えへへ、みんなありがとう!大切にするね」


 「はい、個人情報の管理は適切にお願いします」


 「あ、いや。それもそうだけども!」


 「ふふ、冗談です」


星花さん冗談とか言うんだ。カルノクスの人だし名家の人って聞いてたからもっとクールな感じと思ってたけどお茶目なのかな?少し笑った顔はかっこよさとは違い可愛らしかった。


その後世間話をしながらお昼ご飯を食べて五限目のチャイムが鳴った。お腹も膨れた事で眠くならない様に集中するがさっきの月僧さんの様子が頭の中に引っかかったままだった。


五時限目と六時間目が終わりHRが始まっても私は月僧さんの事を気にしていた。青春の悲しいすれ違いはこうゆう小さいな事から起こり始めると漫画や小説で見た。気になった事は放って置くとロクな事にならない事はRPGゲームでよく見た。それゆえに月僧さんを気のせいかと思う事はできなかった。


HR中に横から覗き見る月僧さんは昨日と変わらない様子、さらさらの長い金髪は開けた窓から吹く風で少し揺れている。


 「以上でHRを終わります、起立」


挨拶を終えた後月僧さんの元に行こうとするが


 「あれ?もういない」


席を見ると既にそこに姿は無かった。教室の扉を見ると月僧さんの姿が見えて消えていった。


 「速ッ!」


急いで荷物をまとめずに教室を出て月僧さんを追いかける。早歩きの月僧さんに追いつく為走って追いかけると階段前で追いついた。


 「月僧さん!」


 「きゃ!れ、蓮護さん?」


 「ご、ごめん驚かせるつもりじゃって・・・なんかデジャね。それは置いといて、今日の昼休みさ本当は連絡先交換したく無いとかじゃ無いの?」


 「ち、違うの。そんなんじゃなくって。えっと、なんでもないから気にしないで」


私の問いに月僧さんは慌てた様子で答える。後退りしながら早く帰りたい様子を隠そうとしていない、やっぱり何かおかしい。私は気づかないうち何かしてしまったのか?


 「気にするよ友達だから。ねぇ、私で良かったら話してみて。どんなことでも受け入れるから」


私は右手を差し出すが月僧さんはその手に更に戸惑っている様だ。エメラルドの様な瞳が動揺して手を少し伸ばそうとするがやっぱり後退りして距離は遠くなる。


 「それがダメなの」


 「え?」


顔を伏せて言ったその一言を私は聞き逃さなかった。そうしてそれを確認する為に一歩踏み出して距離を詰めようとすると月僧さんは合わせて一歩下がった、しかしその先に床は無く月僧さんは階段を踏み外した。


 「危ない!」


 「きゃぁ!」


マズイ!緊張していたのか後ろを確認していなかった様だ!あのままじゃあ階段を転げ落ちてしまう!私は助けようと地を蹴り飛び出す!今のままでは間に合わない、それなら!


 「クリカラ!」


 「任せろ強化魔法(リーンカー)!」


クリカラに強化魔法を発動せて人ならざる速さを得て月僧さんをキャッチするとそのまま踊り場に着地して落ちた学校指定の手提げ鞄もノールックで左手で捕まえる。


 「・・・え?」


月僧さんは腕の中でギュッと目を瞑っていたが少しずつ開いていくと私と目が合う。強張っていた体は助かった事を知ると柔らかくなっていった。良かったと安心した後月僧さんを抱きながら訊く。


「全く、焦りすぎ。怪我は無い?」


 「は、はい・・・怪我ないです」


 「良かった。何があるかは知らないけど困ったら私を頼ってね。友達だから力になりたいの、分かった?」


 「・・・はい」


瞳が大きく開き月僧さんは私の事をじっと見る。間に合って良かった!綺麗な体に傷とか付いちゃったらダメだもんね、ここはクリカラに感謝だ。月僧さんを降ろした後手提げ鞄を持たせる。


 「はい、どうぞ。また明日ね!」


 「あ、うん。また・・・明日」


手を振って別れると月僧さんは最後まで私の視線が合っていた。



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