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夏休みはゲーム三昧  作者: 竪川杼緯


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64. ドリットダンジョン4階~6階

 広樹たちはパーティチャットへ切り替えて話し合う。

「雄鶏に蛇の尻尾……、うん、こいつだな」

「キックと、くちばしによる突き。突かれると確率により石化あり」

「やっぱ石化があるんだな。でも視線じゃないのか」

「ゲームや物語によっていろいろあるみたいだよね」

「まあ視線と比べれば楽でいいよな。魔法で倒せばいいんだから」

「だねー。石化解除の方法は――『解呪ポーション』?」

「石化は呪い扱いなのか」

「ドロップは『鶏の羽』と『コカトリスのくちばし』。矢の材料と解呪ポーションの材料ってことかな?」

「だろうな」

「どうする? 5階目指して、途中に遭遇した魔物だけ狩る方式でいく? それともジリアンさんのお土産に羽を集める?」

「階段へ行く途中で出くわしたやつだけでいいんじゃないか? 2階のサラマンダーの時みたいに」

「それでいいか。あ、解呪ポーションはどうする? 念のためいくつか持っておく? 保険ってやつ」

「せっかくだし、スタンピードの影響がどう出ているのかわからないし、持っておいた方がいいかもな。買っていこうぜ」

 二人はディーターにお礼を言って資料を返し、解呪ポーションが売ってある場所を尋ねた。

 するとポーション屋で売っているということだった。雑貨屋とポーション屋の扱いの違いがいまだにわからない。聞いておいてよかった。


 一応4階のセーフティエリアへマップピンを刺しておいたので、そこへ転移で移動する。

「それじゃ5階への階段目指してどんどん魔法を撃って行こうか」

「おけ」

 さっそく見つけた1体に魔法を放っていく。大きさは鶏と同じくらいだろう。ちょっと太った鶏に蛇の尻尾をつけたような感じだ。ちょっと照準を合わせずらいが、これも練習だ。

「アーススピア」

「シャドーエッジ」

「ウィンドカッター」

「アイスニードル」

 どの攻撃もちゃんとHPを削れるようだ。ここまでやってコカトリスのHPは0になった。

「足止めできたら、ちゃんと攻撃も当たるみたいだね」

「最初はアーススピア、あとは適当って感じでいけそうか?」

「連続で戦闘にならなければだいじょうぶかな。気を付けるのはクールタイムだけ」

「よし、じゃ、それでいこうぜ。万が一クールタイム中に魔物が出たら、とりあえず俺がアイススピア撃っておくわ」

「りょ」

 資料室でドリットダンジョン内の地図も再確認してきたが、こちらは大きな違いはなさそうだ。通っていない部分に関してはわからないが。

 その後もなんの問題も起きることなく5階への階段までたどり着いた。

「さて、5階はなにが出てくるかなー?」

 そろそろお昼の時間になったので、先に食事休憩をいれる。ここへもマップピンを挿していったんログアウトした。


 5階は洞窟から一転して、岩石がゴロゴロ転がっているような岩場だった。

「あー。マップからして変わってるわ」

 資料ではこれまでと同じような洞窟タイプだった。6階への階段は1時の方向だった。

 ただよくよく地面を見てみると、うっすらと道のようなものがある。それはちょうど洞窟の通路と重なっている気がした。

「この道みたいなところを、資料にあったルートで辿ってみようか」

「ダメ元で行ってみるか」

 少し進むとさっそく魔物が現れた。

「やっぱゴーレムきたかー」

「『ロックゴーレム』だね。魔法と物理どっちだろう?」

「試してみないとわからないけど……、それにしても小さいな」

 晴樹が言う通り、視線の先にいるロックゴーレムはとても小柄だ。10歳の子供くらいだろうか。たぶん140cmほどだろう。

「それじゃまずは物理でいってくるよ」

 広樹は駆けだしてロックゴーレムに一太刀浴びせた。

「スラッシュ!」

 即座に離れて、晴樹が放つ魔法のために射線をあける。

「シャドーエッジ」

 物理と魔法、どちらの耐性も変わらないようにみえる。

 削れたHPは合わせて3割ほど。

 5階の魔物としては妥当な感じだろうか。

「サンダースラッシュ」

「アサルトクロウ」

「ダークスラッシュ」

「アイススピア」

 特に事故も起きずに倒すことができた。

「いけそうか?」

「今の感じのままならね」

「まあしばらくは様子見ながら行けばいいか」

 広樹も同意して、道に見えなくもない道を進んでいく。

 次に現れたロックゴーレムは、大柄な個体だった。2mくらいはありそうだ。

 広樹はダッシュで駆け寄り、すれ違いざまにスラッシュで足を切りつける。

 先ほどと同じように、続けて晴樹がシャドーエッジを撃った。

 削れたHPは最初と同じ3割程度。大きさによる違いはなさそうだ。

 そうやって確実に倒しながら道半ばほど進んだところで、男性の叫び声と助けを求める声が聞こえてきた。

「また住人のクエストかな?」

「わかんねぇけど、とりま行ってみようぜ」

 走っていくと、そこにはロックゴーレムとコカトリスが1体ずついた。

 対峙していると言っていいのか――要するに敵対状態なのは、大口を開けて叫び声をあげた状態のまま石化している男性と、腰を抜かしながらも後ずさりながら助けを求めている男性の二人だった。

「ハルはコカトリスを頼む」

 広樹は一言告げて、ロックゴーレムへ向かって駆けていく。

 晴樹は、腰を抜かした男性へコカトリスが行かないように魔法で邪魔をした。

 広樹は剣と魔法を使ってロックゴーレムを倒すと、コカトリスへアーススピアを撃つ。コカトリスが動きを止めたところで、晴樹が次々と魔法を叩き込んで倒した。

 腰を抜かしていた男性は身をひるがえすと走って逃げていった。

「一人でだいじょうぶかなー?」

「放っておけばいいよ。なんかやましいことをしてたんだろ? こんなところにコカトリスがいるとかおかしいし」

「こっちの石化してる人、どうする?」

「まあ解除してみるか」

「りょ」

 男の足元にロープがあったので、念のため輪を作って首にかけておく。そうしたところで買っておいた解呪ポーションを男の頭からダバダバかけた。

 数分程度で石化は解除された。動けるようになったことがわかった男は、即座に逃げようとしたが、周囲に転がっている岩の欠片でつんのめって転がった。倒れたことにより首にかけられたロープが絞まり、男の口から短くうめき声がもれた。

 それを見た広樹はあきれたように息を吐く。

「おじさん、おとなしくしてね」

 これはいったんドリッテへ連れて帰って住人に引き渡した方がいいだろうという結論になり、マップピンを刺して3人で転移した。

 何度も転移を使っていたおかげでレベルアップし、体に触れていればパーティメンバーでなくとも一緒に飛べることがわかったのだ。

 広樹と晴樹は男の両側から腕をつかんで拘束したまま転移して、なおかつ冒険者ギルドまで連れて行った。門番に引き渡しても対応できないと思ったのもあるが、ここが一番近かったという理由で。

 窓口で事情を話すと、奥から屈強な男たちが出てきて引き取ってくれた。

「それじゃ、あとはお願いします」

「報告とか必要ないんで、これで失礼します」

 男たちがなにを企んでなにをしようとしていたのかなどどうでもいいことだ。

 ロープが落ちていて、いないはずのコカトリスがいた。つまりはそういうことで、それ以上のことは聞く必要はない。広樹たちの時間は有限なのでこんなつまらないことに時間を取られたくはなかった。

 ドリットダンジョンの5階へ戻ると、改めて洞窟だったころの名残らしき筋を階段までのルートに沿って辿っていく。果たして、6階への階段に無事たどり着くことができた。

「これもディーターさんに報告だね」

「おぅ」

 ここでも階段へマップピンを挿して6階へと向かう。

「さーて、次はなにかなー?」

 6階は一転して緑あふれていた。

「やっぱり洞窟タイプじゃなくなったのか」

「平原と森って感じかな?」

 手前は平原だが、奥の方には木々が見えるので森が広がってるのだろう。

 元の地図によると、今度は9時の方向に階段があったことになる。だが森が見えるのは2時の方向だ。

「森へは寄らなくても階段まで行けそうかな?」

「洞窟だったときはいったん2時の方向へ進んでから、ぐるっと回って9時の方向まで行ってたっぽいけど、これショートカットできそうじゃないか?」

 平原なので道に沿ってわざわざ遠回りしなくても歩くことができる。

「階段目指してまっすぐ行ってみようか?」

 もちろん以前と同じ場所に階段がある保証はないが、どうせデータは無いのだから最初は試してみてもいいだろう。

「行くだけ行ってみようぜ」

 歩いていくと何もないかに思えた平原のところどころに花畑のような場所があった。

 草花を鑑定してみたが、薬草とかではないようだ。

 アイテム名は『蜜の花』で、説明が『魔物が好む蜜がとれる』とだけ。

 別に魔物をテイムするつもりもないので、今のところは不要だろう。

 販売システムに登録すれば売れるかもしれないが。まあ念のためマップピンだけは挿しておいた。知り合いの誰かが欲しがるかもしれないからだ。例えばGillian(ジリアン)さんとか、Gillian(ジリアン)さんとかが。

 花畑の横を進んでいくと、最初の魔物にようやく出会えた。蜂の魔物――キラービーだ。赤子ほどの大きさがある。

「――抱っこしたら気持ちよさそうだね……」

 ずんぐりとした体形にふわふわの体毛をまとった、ぬいぐるみを思い出す姿だ。

「やべ、これ絶対ジリアンさんには知られたらいけないやつだわ」

「襲ってこないうちはスルーする?」

「――そうだな。そうするか」

 二人は静かにその場を過ぎた。花畑に入らなければ襲われないだろう。たぶん。

 花畑を避けつつ9時の方向目指して進んでいけば、予想通り階段が現れた。

 7階への階段にマップピンを挿したところで、Dresser(ドレッサー)から装備ができたと連絡が入った。


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