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46. ホブゴブリン狩りに向けて

 ログインした広樹は一人でスキル屋に来ている。

 晴樹にはスキル屋と魔法屋に寄る旨をメッセージにて伝えていた。晴樹からの返信では用事を終えたら魔法屋に行くとのことなので、そこで待ち合わせることになっている。

「こんにちは。片手剣を使ってるんですが雷属性のスキルっておいてますか?」

 カウンターにいた住人に尋ねてみると、やはり『サンダースラッシュ』があった。

 範囲攻撃ではなにがあるのかを尋ねてみると、土属性の『アースインパクト』や光属性の『クレセントストライク』があるそうだ。

 せっかくなので3つとも購入しておいた。

 次に魔法屋へと向かい、魔物を集める竜巻のような魔法を探した。

 ちょうど雷属性の『サンダーストーム』と『チェインライトニング』があったためつい買ってしまった。特にチェインライトニングとか胸熱である。雷が魔物の間を走る光景を早く見たい。

 ちょうど晴樹がやってきたのでそのことを伝えると、晴樹もこの2つの魔法を購入していた。

 ほかになにか有効な魔法はないかと見回しているところでクランチャットが入る。

Jude(ジュード):ハルヒロ、いるかー?』

 VRゲームで放置(AFK)しているということはないが、手が離せない状況ということはあり得るので、こういう声掛けになるのはVRでも同じだった。

『ヒロ:いますよー』

 返事をすると、すぐに個人チャットに切り替わった。

Jude(ジュード):おはよう、ヒロ。これからエリアボス狩りに行かないか?』

 広樹はすぐに晴樹と相談する。

「ジュードさんが一緒にエリアボス狩りに行かないか、だって」

「グッドタイミングだな。俺らも助かるし、混ぜてもらおうぜー。あ、いや、ジュードさんだけなのか? ジリアンさんやセオドアさんらも一緒か?」

「そういえば聞いてなかった。ちょっと待ってね」

『ヒロ:僕たちもちょうどこれからホブゴブリン狩りに行くつもりなんで一緒に行けると助かるんだけど、行くのはジュードさんだけ? ほかの人はいる?』

Jude(ジュード):そりゃいいねブラザー! もちろんTheodore(セオドア)Gillian(ジリアン)もいるよー。一緒にボスをやっつけようぜ! はっはっはー』

「みんないるって」

 すぐにパーティ招待が飛んできたので、パーティチャットで待ち合わせ場所を話し合う。

 ちょうど魔法屋に向かっているところだというので、このままここで待つことにした。


 現れたJude(ジュード)たち3人。

 Gillian(ジリアン)の左肩にはわかりやすく精霊スライムがちょこんと乗っているので無事クエストをクリアできたことは丸わかりだった。

 Gillian(ジリアン)がにこにこ顔で広樹と晴樹にお礼を述べた。

「ありがとうハルヒロ! おかげでこんなかわいい子に会えたわ!」

「どういたしまして」

 ちなみにどこまでクエストが解放されたのかを確認してみると、シークレットクエストからつながるメインクエストまで進めたそうだ。

 3つ目のメインクエストのネクタウダンジョンクリアのほうも、受注した時にはすでにクリア扱いだったそうだ。もう一度ネクタウダンジョンボス討伐に向かわずに済んで助かったと喜んでいる。あの時の彼らはまだマップピンも転移も持っていなかったから、再度ボス討伐が必要だった場合は、また1階から挑戦しなければならなかったからだ。特に2階のアンデッドたちとの戦闘が避けられたのは僥倖だった。

 そしてなんと。精霊スライムは戦闘中だけ装備して、それ以外は今Gillian(ジリアン)がやっているようにスライムの姿のまま肩に乗せることができるそうだ。

 広樹と晴樹も試してみると、どれか1体だけスライムの形で連れ歩くことができた。

「ジリアンさんすごいですねー。スライムの姿に戻ってもらうことなんて、僕は考えもしませんでしたよ」

「ふふふ。だってかわいいんですもの。この姿を最初だけしか見れないなんてもったいないでしょう?」

 これについては広樹も晴樹も賛成である。

 あとはこの精霊スライムを持っていない人に見つかった際に、絡まれないかどうかだけだ。

「それなら問題ないわ。昨夜確認したら新着情報として攻略サイトに載っていたもの。誰かが情報を売ったんでしょうね。でもおかげで『攻略サイトを見た』って返せばいいだけだから堂々とこの子と一緒にいられるわ」

「それいいな!」

 晴樹が満面の笑顔で同意した。

「ハル、そんなに嬉しいの?」

「おぅ。だってさー、エルフに精霊ってつきものじゃないか。セイはスライムだけどこんなにかわいいしな!」

「まあ、『かわいい』に異論はないけどね」

「だろう?」

「でもハルがそういうの好きなのは今まで知らなかったよ」

「そりゃ俺もリアルじゃマスコットとか持ち歩いたりしないから、ヒロが知らなくてもとうぜんだろ」

 広樹と晴樹がそんなやり取りをしているあいだに、Jude(ジュード)たちは買い物を済ませた。

「お待たせ、ハルヒロ。準備ができたからそろそろ向かいましょうか?」

「はい、ジリアンさん」

 一行が魔法屋から外に出ると、それまで妙にうずうずとしていたJude(ジュード)がはじけたように広樹たちの前に立った。

「ハルヒロ! それはナギレンだろう!? 狩衣姿もかっこいい! 似合ってる!」

 さすがにアニメ『ヘルダン』のファンである。一番人気の『ハルヒロ』のコスプレをしているが、仲間が着ている衣装が狩衣と呼ばれているものであることまで知っているとは。

「ジュードさん、さすがですね。狩衣って名前まで知ってるなんて」

「その衣装も好きなので覚えました。このゲームで『符術』は使えないので諦めましたが」

「そうなんですねー」

 そこでGillian(ジリアン)が焦れたように会話に入ってきた。

「もぅ、二人とも雑談はその辺にしてエリアボス狩りに行くわよ」

「あ、ジリアンさん、ごめんなさい」

Gillian(ジリアン)ごめん、ごめん」

 Jude(ジュード)たちはホブゴブリンの手前まで行ってマップピンを立ててきたそうなので、転移は彼らに任せた。

「ホブゴブリンに挑戦してみた?」

「いや。中には入っていない。場所の確認に来てピンを刺しただけだ」

「それじゃ、行くわよ、みんな」

 Gillian(ジリアン)の声掛けに皆うなずいて、Theodore(セオドア)を先頭にして順にボスエリアへ入っていった。


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