13. 錬金術の入門
「えーっと、先に魔法屋に行って納品して錬金術セットを買うんだったよね」
「そそ。10000Gもらって、7000Gの支払いだ」
「薬師の入門も7000Gだったから足りないね。防具の製作依頼もあるし」
「まだまだ金貯めないとな」
「冒険者ギルドの納品クエストも見てみようか。ウッズウルフの牙と爪の買取価格も知りたいね」
「まあ一つずつ片づけようぜ」
二人は今回はワープスクロールは使わずに、スライムを倒しながら移動して町へと戻ってきた。
「こんにちはー。アデーレさんいますかー？ スライム狩りと薬草採取してきましたよー」
魔法屋へとたどり着き、いつものように晴樹が戸を開ける。
「いらっしゃい。納品と錬金術の入門セット一式購入でよかったかい？」
「はい、二人ともそれでお願いします」
それぞれインベントリから納品と購入を済ませた。差額の3000Gも受け取り済みだ。
「それでこの後はどうすればいいんですか？」
広樹は入門書を取り出してぱらぱらとめくる。すると最後までめくるとともに入門書が消えて錬金術のスキルが生えていた。
「あれ、これでよかったんだ？」
「インベントリから『使う』でも生えたぞ」
「どっちでもよかったみたいだね」
「二人とも錬金術を覚えられたようだね。それじゃあ錬成陣を取り出して、3つある円の中にそれぞれスライムゼリー1個と魔石1個、それに薬草1本を置いて『錬成』をしてみるといい。それで魔力ポーションが5個できるはずだ」
買取価格50Gのゼリーと魔石、100Gの薬草で、最低価格200Gの魔力ポーションが5個できるそうだ。
「これはおいしい……のかな？」
「薬草採取がもっと楽にできればそう言えるけど、今の状況じゃ、何とも言えない感じだな」
「そっか、薬草かー」
とりあえず二人ともすんなりと錬成は成功して、アデーレの言う通り5個ずつ作ることができた。
「アデーレさん、できました。ありがとうございます」
「二人とも、もしその魔力ポーションを売るのなら先に商業ギルドへ登録してからよ」
「そうなんですか？」
「露店に出すにしても、商業ギルドの販売システムを利用するにしても、商業ギルドの会員でなければ衛兵に捕まることもあり得るから注意なさい」
販売システムがあるというのは朗報だ。
露店販売なんてとてもできない。それでは狩りも採取もできなくなる。ここは商業ギルドへ登録してぜひ利用させてもらおう。二人はそう考えた。
「それじゃこれから商業ギルドへ行ってきます。ほんとうにお世話になりました。ありがとうございました」
「また何かあったらよろしくお願いします。ありがとうございました！」
アデーレはほんの少しだけ口角を上げた。
「私も坊やたちの成長が見れて楽しかったわよ。その調子でこの世界を楽しみなさい」
広樹と晴樹は一礼すると魔法屋を後にした。
