それぞれの訓練
初日に全員が能力判定されたから、そのあとは能力ごとの別メニューになるんだろ、て思ったら、そうでもないみたい。はやく紫魔法ってのを習ってみたいなあ。
同室のミーヤは治癒とか回復魔法が得意な「癒やしの聖女」って言われたんだって。でも、今日もあたしの横でみんなと一緒に護身用小剣を模した短い木剣を持たされてる。
全員が、もう何日も、最低限自分の身を守れるようにする「基礎訓練」ばかりしてる。
騎士団宿舎の中庭で素振りとか型の稽古をずっとやらされて飽きてきた。今日も朝ご飯のあと、午前中はずっと素振りだった。
「注目!」
みんなが、ピオニー女騎士のほうを見る。すらっと背の高いポニーテールの美人さん。あたしたちクラス全員の基礎訓練の監督をしてる。他の騎士さんは忙しいのか、あたしたちの相手に出てこない。
「今日の午後からは、能力ごとのグループで、別メニューの訓練をしてもらう。名前を呼ぶので返事をするように」
それから順番に名前を呼んで、剣士みたいに物理的に戦うグループ、魔法で戦う黒魔導士とか、魔法で補助する白魔導士とかのグループにクラスメートを分けて集まらせる。
全部のグループが集合してそれぞれのリーダーの騎士と訓練場に移動し始めても、あたしだけ名前を呼ばれなかった。