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カーマイン公女殿下
それから、カーマイン公女殿下はあたしたちが知りたいことを教えてくれた。
異世界にあるこのアラザール公国にあたしたちが召喚されたこと。
よその世界から召喚された者には、ここの住人たちよりもずっと強力で特別な魔法や技が発現すること。
あたしたちの特別な力を借りて、アラザール公国の抱えてる問題を解決したいのは公国側の一方的な都合で、カーマイン公女殿下は申し訳なく思ってること。
ここアラザールの街から山が北に見える。その麓にある森の奥に、魔の洞窟って場所があって、そこを守ってる魔獣を倒すのにあたしたちの力が必要なこと。
あたしたちを元の世界に帰す魔法には、魔の洞窟の一番奥にある魔晶石が必要なこと。
この異世界で1ヶ月過ごしても、もとの世界ではせいぜい2時間くらいしか経たないこと。
無理矢理拉致されてそっちの都合で協力させられるのは、デルフト宰相が偉そうに言ったのと何も違いないんだけど、公女殿下の説明には誠意がこもってて、みんなの反発もおさまってきた。