アラザール公国へのクラス転移
あたしは綾川優梨。名鴨県立前照寺高校1年B組。入学してすぐに2ヶ月も病欠して、クラスに馴染めなくて友達いない。
てか、半ばいじめられてるみたいになってる。「しかと」っての?
幼稚園以来、小学校・中学・高校まで通してずっと同じクラスの幼馴染が2人いる。
2人ともあたしのこと気にかけてくれるけど、陰キャなモブのハッセーこと支倉巽は何か用でもなければ話しかけてこないし、陽キャなミーヤこと加蔦未夜は、人気者でいつもキラキラしてて、長いこと独り占めにしたら周りに白い眼で見られるから、好きなだけ一緒にはいらんない。
2学期の終業式の日に教室に集まってたら、とつぜん教室が白い光に包まれて、眩しくて目をつぶった。そしたら立派な大理石づくりの宮殿の大広間に移動してた。
周りの生徒たち、大騒ぎしてる。
「映画のセット? 大袈裟な衣装着たおっさんが周りにいっぱいだぜ」
「なにあの婆さん、変な杖持ってるし」
「なんだこれ、異世界転移かよ」
「静かにしたほうが良くない? 何かおっきな剣みたいの下げたおっちゃん、こっち睨んでるよ」
そうしたら、一番派手で豪華な服装の、大きな口髭のおじさんが大声で怒鳴った。
「静まれ!」