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アスクレス

 「良いだろう」


 「本当か!?」


 取引に応じる事を伝えると、アリエスは驚いた表情をした。さっきのやり取りから断ると思っていたのだろうか。


 ただ、闇雲に使えない知識や技術を教えても意味が無い。彼らの知識量や技術レベルを知る必要がある。


 「まずはお前達のレベルが知りたいのだが……」


 「分かった」


 俺の意図を理解したのか、アリエスは足元に魔法陣を出現させて呪文を詠唱し始めた。詠唱が終わると、体長2m程もある人型の精霊が現れた。呼び出された精霊は赤みがかった半透明な体をしており、微かに火の粉が散っている。


 呼び出された精霊は火属性なので、アリエスは火系の魔法を使うようだ。精霊を召喚しても余裕があるのを見ると、魔力量も十分持っているのだろう。


 「今の私が使える最高位の召喚魔法だ。感想を聞きたい」


 展開した魔法陣も起動させた魔法も安定している。詠唱も淀みが無いので基本をしっかり学んだ事が伺える。これなら、多少の無理も通るだろう。


 起動させた魔法や術者の様子を見るに、もっと規模の大きい魔法や上位の精霊を呼び出せる様に思ったので聞いてみた。


 「基本は出来ているし術も安定している。もっと高度な魔法も使えると思うが?」


 「これ以上に高度な魔法を使える人間は存在しない」


 アリエスが使う召喚魔法が、術式の構成における最高位に位置している魔法との事だ。それ以上の魔法も存在は知っているが、術式を知らないので使えないとアリエスは語る。


 アリエスは自分たちが使う魔法の歴史を話し始める。100年ほど前に来た異世界人から魔法を習う際に初級魔法から習い始めた。その異世界人が、当時の人達と協力して勉強用の魔導書を何冊も用意した。


 しかし、当時の権力者からの弾圧から逃れる時に紛失したそうだ。奪われた物や焼かれた物もあり、手元に残ったのは数冊の階級がバラバラの魔導書だった。


 奪われた魔導書は裏のルートで世界中に流れていき、近年のスパイ大量投入に繋がっているそうだ。


 「スパイ?」


 「そうだ。近年、魔法の価値が見直された事で魔法を求める国や組織が急増した。この国は魔法使いを弾圧から匿った歴史があるから、情報を求めるスパイが送り込まれているんだ」


 俺達が戦った襲撃者達も、装備は国軍とほぼ同じ物だが中身が国軍とは限らないそうだ。スパイが国軍と酷似した装備を用意して襲撃した可能性も捨てきれないらしい。


 「数ヶ月前にも襲撃を受けた時に数人の魔法使いが行方不明になっている。主犯は不明だが私は、この国の大統領であるウィリアムが怪しいと思っいる」


 この国のトップであるウィリアム大統領は、これまでにも何度か魔法使いと接触を図ろうと行動して来た過去がある。時には強硬手段にも出た事があり信用していないと言っている。


 「今は皆が習得した魔法を元に研究している所だ」


 襲撃された時に情報の流出を避ける為に破棄した魔導書もあるそうだ。そのせいで持っている情報がさらに少なくなったと嘆いている。


 取引に当たって出せる情報は、彼らが持っている情報を埋める形で提供する事で様子を見よう。問題なければ追加で情報を提供すれば良い。


 「アリエスのレベルに合わせて教えていけば良いか?」


 「そうだな、頼む」


 アリエスも同意したので魔法を教える事は決定だ。


 「ここでやるのか?」


 「場所を変えたい、案内しよう」


 振り返って歩き出したアリエスを先頭に、手を繋いだ俺とイザベラ、ピスケスの順で付いて洞窟内を歩いて進む。


 洞窟内の通路は照明の明かりが付いていて、足元も整えられているので歩きやすい。15分ほど歩くと直径3mほどの狭い空間に出た。地面の中央には魔法陣が刻まれている。


 俺が魔法陣を見つめていると、アリエスが魔法陣に含まれている術式について説明してくれた。


 「この魔法陣は転移魔法を記録したものだ。この魔法陣を使って目的地まで転移する」


 「ウィリアムの監視には引っかからないのか?」


 「この世界の魔法技術はまだ低く、機械で広範囲に渡って魔法を監視出来るほどには育ってない」


 どこの国も魔法は研究途上で試作の魔道具や兵器を作ってはいるが、実践に投入出来るほどの完成度では無いそうだ。


 監視網に組み込むにしても現状ではコストが掛かりすぎるので見送られている。


 「私が先に行こう」


 アリエスは最初に魔法陣の上に立つと魔力を魔法陣に込め始めた。魔法陣が発光し始めて、魔法陣に記録された魔法が発動する。


 魔法陣から光が溢れ、光の球体を作ってアリエスを包んだ。光が消えると、魔法陣の上にアリエスはいなかったので転移魔法で移動しだろう。術式の起動を見る感じだと、安定しているので問題は無さそうだ。


 「ん」


 後ろに立っているピスケスが早くしろと促してくる。俺達も魔法陣に乗って転移魔法を起動すると、光の球体に包まれた。光が収まるとさっきよりは少しだけ広い洞窟内にいた。出入り口付近にはアリエスが立っている。


 「こっちだ」


 アリエスに続いて洞窟を出ると外には森が広がっていた。少し待っているとピスケスが洞窟から出て来たので、洞窟の入口から続く道を進んで森の中に入って行った。


 道は舗装されていないが踏み固められおり、通る時に邪魔にならない様に枝や茂みは切り払われている。森を抜けると村が見えてきた。


 「ここは弾圧を受けた魔法使い達が作った村の1つだ。まずは報告したい人がいるから一緒に来てくれ」


 アリエスに案内された家は他の家と変わらない(たたず)まいだ。周りを見ても似たような家が点在している。恐らく、襲撃された時に誰が要人が分からなくする為だろう。


 アリエスが扉をノックすると中からは40代くらいの女が出て来た。年長者の雰囲気もあり、強い魔力を感じる。


 「おかえりなさい、中へどうぞ」


 促されて家の中に入ると椅子とテーブルのある部屋に通される。アリエスと俺は椅子に座り、ピスケスはアリエスの隣で立っている。イザベラは俺の膝の上に座らせた。


 「飲み物の希望はあるかしら? 希望通りの物があるか分からないけど」


 「子供がいるから飲みやすい方が良いな」


 「分かったわ」


 出されたティーカップに入っている飲み物は赤みがかった乳白色をしている。微かに香ばしい香りと甘い匂いが漂ってくる。


 「薄めの紅茶にミルクと砂糖を多めに入れてあるから飲みやすいと思うわ」


 「ありがとう」


 ティーカップを受け取って感謝を伝えてから口をつける。微かな苦味と強い甘味が感じられたので、思ったよりも砂糖を入れてくれた様だ。


 (解析完了。毒物・危険物は検出されませんでした)


 ブリュンヒルデが魔法を使った会話で報告してくれる。俺の毒物感知の魔法にも反応しなかったので問題は無いだろう。


 「飲んで大丈夫だ」


 興味を示しながらも我慢するイザベラに伝えると、カップを手に一口飲んだ。熱かったようでフーフーと冷ましながら飲んでいる。味は気に入った様で冷ましながら一気に飲み干していた。


 「気に入ってくれた様で嬉しいわ、おかわり入れましょうか?」


 「ありがとう」


 微笑みながらカップを受け取るとキッチンでおかわりを入れてくれた。アリエスは静かに飲んでおり、ピスケスは立ったまま微動だにしない。


 おかわりをイザベラに渡すと、女はそのまま椅子に座った。


 「それじゃあ、自己紹介をしましょう。私の名前はアスクレスと言います。魔法使いの村の代表者という立場で主に外交を担当しているわ」


 アスクレスは魔法使いとその家族を含めた村全体を取り纏めているそうだ。支援者との交渉や調整もアスクレスの担当だと話してくれた。


 「それで、貴方達に来て貰った理由だけど……」


 「俺が持ってる魔法技術が欲しいのだろう?」


 「魔法を発展させて私達の地位を上げたいの。人間として生きて行く為に」


 「技術提供は構わない。そういう取引だからな」


 「取引?」


 アスクレスはアリエスの方に視線を送るとアリエスは頷いた。そして、俺との話や取引の事をアスクレスに伝えた。


 「勝手な事をしてすまない」


 「構いませんよ、最終的な決定権はアリエスが持っているのですから」


 「アスクレスが代表じゃ無いのか?」


 「私は村の代表という立場です。他の村にも代表者はいるのですが、意見を取りまとめて最終決定を下すのはアリエスの約目です」

 

 外交全般もアスクレスが担当しているが、最終判断はアリエスが行うそうだ。ピスケスの言った通りアリエスが”ボス”と言う事か。


 「魔法はどこで教えれば良い?」


 「内容によりますが、山岳部に洞窟を広げて作った演習場があります。講義が必要であれば集会所がありますので、そちらを使って下さい」


 「分かった。それでアリエス、まず何が知りたい?」


 「貴方の実力が知りたいです」


 今度は俺の力量を測りたい、と言う事か。さっきと立場が逆になってしまったが仕方無いだろう。実力の無い魔導師に教わっても意味が無いし、場合によっては自らの首を締める事になる。


 「私も見てみたいわ。演習場で1試合お願い出来るかしら?」


 アスクレスも同席するようだ。実力を見せるのは問題ないので了承すると、夜が明けてから行う事になった。


 「日が昇ったら演習場に案内するわ。部屋を用意してあるので今は休んで下さい」


 アスクレスの案内で2階にある部屋に通された。ベッドが2台置いてあるが調度品は少ない簡素な部屋だが手入れは行き届いている。


 「昼食を食べてから演習場に向かおうと思います」


 「朝のうちでも構わないが?」


 「あなたが良くてもその子が辛いでしょう」


 イザベラを見ると眠そうに目をこすったり、欠伸(あくび)をしている。イザベラを休ませて、昼過ぎに演習場に向うことに決まった。


 「少し早いですが朝食を用意しましょうか?」


 「今はいらないよ」


 「そうですか、でも必要なら用意しますので言って下さいね」


 アスクレスはそう言って部屋から出ていった。アスクレスが1階に降りたのを魔法で確認してから部屋の中を調べる。


 扉には簡単な鍵が付いているので念のため掛けておく。その他に監視カメラや盗聴器の(たぐい)が無いか探すが見つからなかった。用心を重ねてブリュンヒルデとの会話も魔法で行う。


 (どうだ? ブリュンヒルデ)


 (監視装置は確認出来ませんでした)


 ブリュンヒルデと話しているとイザベラが俺の服の裾を掴んだ。顔を見ると不安な表情をしているので、目線を合わせて頭を撫でる。


 「大丈夫だ、ベッドで休ませて貰おう」


 イザベラをベッドで寝かしつけてから俺も隣のベッドに入った。



 ◇



 朝日が昇って、窓から入ってくる光の眩しさで目が覚めた。カーテン越しではあるが光が眩しい。イザベラはまだ寝ているので起こさない様に荷物の整理を始めた。


 しばらく荷物の整理をしているとイザベラが起きて来た。「おはよう」と声を掛けると目を閉じたまま返事を返した。光が眩しいのと、まだ眠たいようだ。


 「もう少し寝てて良いぞ」


 「うん」


 返事をしたイザベラがベッドに横になって、もう1度眠り始めた。大きな声を出さないよう注意しながらブリュンヒルデに都市内に行かせた精霊の事を訪ねた。


 (ブリュンヒルデ、精霊の様子はどうだ?)


 (魔法は維持していますが、マッピングは止まっております。転移魔法で長距離を移動した影響です)


 (魔法は解除しよう。人目につかない場所に移動させてくれ)


 (了解)


 どこで誰に聞かれているか分からない以上、声には出さない。ブリュンヒルデが精霊の移動完了させたので魔法を解除して呼び出した精霊を帰した。


 数時間後、部屋の扉がノックされる。返事をしてから扉を開けるとアスクレスが立っていた。


 「そろそろ昼食の時間ですが、来られますか?」


 「分かった。支度が終わったら下に降りるよ」


 承諾するとアスクレスは食事の準備に戻ると言って1階に降りて行った。


 ベッドで眠っているイザベラを起こすが眠そうな顔をしている。食事の時間である事を伝えるとベッドから降りて来たので、着崩れた服を整える。


 半分寝ているイザベラの手を引いて1階に降りると食事の支度が整えられていた。促されてイザベラと並んで席に座る。


 「こちらの料理を用意したのだけれど、食べ方は分かる?」


 「大丈夫だ。頂くよ」


 食事の内容はパンとバター、サラダにスープと他の世界でも良くあるメニューだ。イザベラも眠そうな顔をしながらも問題なく食べている。


 食事が終わって一息ついた頃にはイザベラも完全に目を覚ましていた。アスクレスが片付けをしている傍ら、食休みをしているとアリエスとピスケスが尋ねて来た。これから演習場に向かう様だ。


 「必要な物は有るかしら?」


 「今の所は無いな」


 「では、行きましょうか」


 アスクレスを先頭に演習場がある洞窟へ移動する。演習場は、俺達が出て来た洞窟とは別の場所にある様で、別の方向から再び森に入って木々の間を進む。


 森を抜けると小さば崖に出た。崖から下までは1mほどなので飛び降りられそうな高さだ。崖の周りは岩肌が剥き出しになっている場所があり、大きな岩が何個も転がっていた。崖の一部には人が通れそうなほどの洞窟が口を開けている。


 「演習場はこの奥にあります」


 アスクレスは慣れた足取りで洞窟に入って行った。俺達も続いて入るが、狭い上に足元に流れて出ている土で滑りやすくなっている。


 狭い洞窟を下の方向に進んでいると広い空間に出た。およそ30m四方の空間で高さもそれなりにあるので飛び跳ねても天井には当たらないだらう。


 「ここには防御系の魔法が何重にも掛けてあるので安心して魔法を使って下さい」


 アスクレスの言う通り演習場全体から強い魔力を感じる。微かに風も流れているので空気穴があるのだろう。火系の魔法を使っても問題ない様にしているようだ。


 「誰が相手をしてくれるんだ?」


 「私が相手をさせてもらうよ」


 アリエスが名乗り出た。審判はアスクレスが務める事になった。演習場の中央には白線が引いてあって、模擬戦前の初期位置を示している。


 「それじゃ、2人とも位置について」


 演習場の中心部に描かれた白線の上に立つと、お互いに準備が整った事を確認したアスクレスが開始を宣言する。


 「まずは軽く行こうか、〈風の弾丸(ウインド・バレット)〉!!」


 俺は周囲に風の魔法弾を生成すると、初級魔法の〈風の弾丸〉を放つ。アリエスも火球を出現させ、弾丸として放つ事で〈風の弾丸〉相殺させた。俺が知っている〈火の弾丸(フレア・バレット)〉と同系の魔法だろう。


 何度か打ち合っている内にアリエスの魔法が俺の魔法に似ていることに気づく。召喚魔法の時は「同じ様な魔法もあるのか」位の感覚だったが、打ち合っている魔法を見て1つの可能性が浮上する。100年程前に来たという異世界人は、俺と同じ世界の出身という可能性だ。


 俺が放った〈風の弾丸〉を身体強化の魔法を使って避けたので追撃する。アリエスは降り注ぐ魔法弾を避けながら時には相殺し、時には魔法障壁で防ぎながら隙をついて反撃してくる。こちらも魔法障壁でアリエスの魔法を防ぎながら攻撃して行く。


 「〈嵐の砲弾(ストーム・カノン)〉!!」


 魔法弾で動きを誘導してから捕縛魔法で動きを止めると、威力の高い砲撃を放つ。アリエスは捕縛魔法を無理やり破ると、魔力を込めて強化した拳で砲撃を殴った。


 炸裂する砲撃の煙を抜けてアリエスが走って向かってくる。俺は手元に杖を出現させて迎え撃つ構えを取る。格闘術で踏み込んでくるアリエスに対して、手に持った杖を槍の様に振るって捌いていく。


 近接格闘もきちんと学んでいる様で、近接・遠隔ともに良く纏まっている。格闘の隙を埋めるように起動の早い魔法を絡めて攻撃するのも高評価だ。


 「ここまで差があるとはな」


 「格が違うからな」


 アリエスの攻撃は良いが動きが単調で読みやすい。格闘術を学んでいると言っても実践経験が圧倒的に足りないのでフェイントの使い方が甘い。


 俺の視線誘導にも引っかかるので、体勢やテンポを崩されて抑え込まれてしまう。


 「嫌味に聞こえないのも困るな」


 アリエスは手短に詠唱すると人型の精霊を召喚して(けしか)けて来た。精霊の攻撃を躱わすと死角からアリエスの拳が飛んでくる。


 「ちゃんと連携が取れてるな」


 精霊の攻撃に合わせて死角から攻めてくるアリエス。時には自身を囮に精霊に攻撃させる事もあり、2対1の状況を上手く活用出来ている。


 「次のレベルに行こうか」


 魔力を込めた杖を振ってアリエスの精霊を打ち払うと、騎士型の上位精霊を3体呼び出す。


 「一撃!?」


 「〈上位風精召喚ー騎士〉!!」


 精霊3体にアリエスへの攻撃指示を送る。アリエスは、連携の取れた精霊達の攻撃を距離を取って捌くので精一杯だ。死角に回り込んで体に触れると手に魔力を込める。


 弾ける様な高い音と共にアリエスが壁際まで吹き飛んだ。体勢を整えてこちらを向くアリエスの眼前に杖の先端を突きつける。


 「っ!? ……降参だ」


 「こんは感じで良いのか?」


 アリエスが降参したので杖を下げてアスクレスに尋ねる。盛大に吹き飛んだので念の為、アリエスには回復魔法を掛けておく。


 「えぇ。本当はもっと色んな魔法を見たかったのだけれど、私達では役不足の様ね」


 残念がるアスクレスだがアリエスとの戦いの感想を聞きたいと言って来たので、戦いの中で感じた事を伝える。


 「後は実践経験だな。場数を踏めば強くなる」


 「その場数が踏めないのも困ってある事の1つだよ」


 「俺がいる間は相手になるよ。その時に適正に合う魔法も教えよう」


 「助かるよ」


 「詳細は帰ってから詰めましょうか」


 アスクレスがその場を切り上げて出口へ向かうが、来た道とは違う方へ歩いて行く。


 「どこでウィリアムが見てるか分かりませんから、帰りは道を変えます」


 演習場に来るルートは複数あるようで、帰りは森の中にある山小屋の地下室から出るルートでアスクレスの家に帰って来た。


 アスクレス達は周囲を警戒していたが、これだけ文明が進んでいるなら人工衛星から監視されてる可能性は非常に高いだろう。必要無いので言わないでおくが。


 それよりも気になるのは演習場へ行く時と帰る時に後ろからついて来ている存在だ。気配から人間が2人、魔法で姿を隠し気配も抑えているが甘い。


 こちらを見ている視線も感じ取れるので視線を辿(たど)って位置を特定出来る。また、魔法の気配も隠せていないので、魔法に敏感な人間や探索が専門の魔導師なら気づくだろう。


 後でアスクレスに報告して注意しておこう。

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