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隻眼の俺と開演狼煙

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あらすじ

https://ncode.syosetu.com/n6321fs/

「入るぞ、義贋総司郎」


 声を返す前に入ってきたのはシュラクだったが、寝ているシエロとクロエを見て顎で外を指す。


 俺は頷いて遠野と部屋の外に出た。


 シュラクに続いていくと、開けた中庭があった。


 中庭は竹と砂利が程よくあり、端に小さな池も存在している和風な造りだった。


「お待ちしていました」


「アウルムか」


 黄金甲冑アウルムは革張りのジャケットを羽織っていて、軽装の騎士のような服装だった。


 その後ろにはアウルムと同じ金髪を持った三つ編みの少女がいた。


「どうやら今回の勝負は私の負けのようですね」


「俺も負けたよ、そこの若者にな」


 俺とアウルムは突っ立っていたシュラクを見る。シュラクは一斉に視線を集めたので、鼻の頭を掻いてそっぽを向いた。


「ありがとうございます、シュラク君。君のおかげで僕の妹は今もこうして元気だよ」


「あの夜道を歩いてた女か」


「その節はありがとうございました」


 礼儀正しく少女はお辞儀をした。アウルムの妹ということは育ちが良いのだろう。


「では商品なのですが、生憎僕には妹しか連れはおりません。非常に稀な例ですが、この世界よりも大切な可愛すぎる妹とデートする権利を上げましょう」


「デ、デートなんて、別に——俺は義贋総司郎に勝ちたかっただけだ。興味もねえし」


 するとアウルムの妹は「えっ」と身を引いて胸の前で手を握る。


「わ、私——興味ないんですか?」


 遠野がくくくと俺の背中で笑っている。


「あの子、シュラクだっけ、女子に酷いこと言っちゃって」


「あの年頃は恥ずかしいんだよ」


 こそこそ話していた矢先、アウルムが光の速さで剣を抜いて踏み込み、シュラクの喉元に充てる。


「——よく聞こえませんでしたが?」


「あ、いや、おれは、まあ、そこそこ興味出てきたなあ」


「——そこそこ?」


「すげえ興味出てきたなあぁああ、俺」


「——シュラク君。君はまだ若い。ガドウ君の下で修業しているのも分かる。他人の扱いも知るべきだ」


 いつの間にか抜刀した剣は腰の鞘に納められていた。全く見えなかった。


「さあ、行ってらっしゃい。暗くなる前には帰るんですよ。妹に何かあったら思いつく限りの拷問を試すので、試したいならいつでもどうぞ」


 にっこりと笑って妹とシュラクを見送り、さて、と俺と遠野に振り向いた。


「本題かい、黄金甲冑殿」


「ええ、そろそろ勤務時間ですからね」


 アウムルは柄に手をかけるが、身体の力を入れることはしなかった。


「本日のタスクは別件なのです。義贋総司郎君と魔女の取り合いではない」


「なら早く仕事に行ったらどうだ、社畜剣士」


「いえいえ、そんなに敵視しないでください。これでも感謝しているのです。ありふれた言葉ですが、文字通り僕の命よりも大切な妹を救ったのは、あなたなんでしょ義贋総司郎」


「間接的にはな」


「私も十三聖剣の一人である前に人間です。これは最初で最後のプレゼントです。早くこの場から極彩色の罪人を連れて逃げなさい」

異世界文芸アクション日別ランキングで55位にランクインできました。

2019年9月1日から毎日工夫して投稿できるのも、皆さんの力のおかげです。

しかも本日も1日1000PV突破しました、感謝です!


『少し先を読んでもいいかなぁ』

『ヒロイン活躍させて!』

『バトル早く見せて!』


と思っていただけましたら、広告下にある評価やブクマを頂けますと、毎日投稿できるモチベーションへと繋がります。

もしよろしければお気軽にどうぞ。

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