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隻眼の俺と辿るべき道を持つ人工知能

初めての方はこちらから

あらすじ

https://ncode.syosetu.com/n6321fs/

「ちょっと出てくる」


 時刻は夜二〇時過ぎくらい。シエロとクロエとご飯を食べてすぐだった。


「どこ行くの? そうじろう」


 少し心配そうな顔でシエロは俺を見た。


「夜の散歩さ」


 本当のことを言うと危険に巻き込まれる可能性もあるので、それっぽいことを言ったがどうやら逆効果だった。


「シエロも行く!」


「その辺を少し見てくるだけさ、クロエやレウィンリィとのんびりしててくれ」


「ええー、シエロも一緒に——」


 むむ、今日はなかなかしぶといな。


 俺はクロエに目をバチバチと瞬きし、アイコンタクトを送る。『SU・KO・SI・TA・NO・MU』ぞっと。


 するとクロエは両腕を上げて、『MA・KA・SE・TE・O・MI・YA・GE・YO・RO』と動きでくねくね表現する。凄い器用だなクロエ。


「シエロもそうじろうと散歩したいー!」


「待ってシエロ」


 旅行で珍しく子供っぽいことを言うシエロへ、クロエは静かな声で呼び止める。


「旅行中の大人の男には、一人で散歩に行かないといけない決まりがあるの」


「え、そうなの?」


「ええ、そうなの。そんなときはどんな人間も男を呼び止めてはダメ。深く聞かずに目を見て頷くだけでいいの、それが大人の関係」


「大人の——関係——」


 シエロの頬が赤く染まり、両手で頬を抑える。そして何を理解したのか、俺をじっと見つめ、


「がんばって、くるんだよ、そうじろう」


 上京時の別れ際の母親みたいなテンションで見送ってくれた。


 クロエが誤解を与えそうな言い方で俺を逃してくれたおかげで、早速、謎の生命体アンノウン探しに出れる。


 宿を出て二つの月夜の下に出る。月明りが街を照らすが、流石温泉街、夜でも町中にカンテラがぶら下がっていて歩きやすい。


「黄金甲冑アウルムには悪いが、この勝負は俺が有利だがな」


 坂道の多い街を歩きながら、俺は耳元に手を添える。


「アトラ、状況はどうだ」


『人工衛星から町中を確認していますが、怪しい動きは特にありません。夜ということと、異世界の残り物で作ったため、地上を認識する精度も低いですが』


「そうか、なら合流しよう」


『承知しました、マスター』


 数分後に俺は土産屋の間にある路地に身を滑り込ませると、屋根から俺の目の前に落下してきた黒い物体がいた。そいつは地面に膝を付いたポーズで俺に頭を下げている。


「全身をちゃんと見たの初めてかもな」


 アトラスは立ち上がり、頭部分は上に開き、胸部から足に掛けては左右に綺麗に開いた。


 俺は背中を向けてアトラスに触れると、自動でアトラスは俺を覆う。


 視界は真っ暗だが、ウィーンという小さな起動音が広がり、眼前が明るくなる。


『暗視起動中』


「モニター類は全てオフ。情報多すぎるのも困る。あ、この世ならざる者の気配を感じたら、それをロックできるか?」


 膝に力を込めてジャンプすると、重力が全身にかかり、街を見渡せるほどの高度まで一気にジャンプする。


『可能です。ですがかなりの数がおりますが——』


「お化けセンサーはオフだ」


 そんなにいるとか聞きたくない事実だった。

ブックマークや評価によるご声援、本当にありがとうございます。

心にグッときます。感謝してもしきれないほど、毎日喜んでいます。


それでは、またお時間がございましたら、次話でもお待ちしております。

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