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【旧】中年おっさんサラリーマン、異世界の魔法には賢者の石搭載万能パワードスーツがステータス最強でした ~清楚幼女やツンデレ錬金術師と家族生活~  作者: ひなの ねね
隻眼の俺と魔術を狩る者達

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隻眼の俺と追憶の湯煙

初めての方はこちらから

あらすじ

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「そういやアトラは今どこにいるんだ?」


 ミセリアの聖剣を取り込んだおかげで、もうエネルギー補給のために環境破壊や生体系に深刻なレベルがでるほど、動力を確保する必要はなくなったはずだ。


『ステルスモードで危険がないよう街の状況を監視しています。なお飛行できるほど万全ではありませんので、今さっき隣のお風呂で体を洗い終わって、湯の中で話し込んでいるシエロとクロエの姿をマスターの網膜に投影させることは不可能です』


「させる気もないし、やらせねえ。そのまま街の警備を頼む」


 パワードスーツアトラスの一部が網膜にくっついていて、文字を解読してくれていたが、そんなこともできるのか。風呂に限らず邪念を呼び起こしそうなシステムだな。


『承知しました』


 やれやれ、しかし異世界に来てゆっくりするのなんて久しぶりだ。いや、異世界の前から体を休めたのは久しぶりだった。


 目を閉じると、ミセリアやマリアベルと出会ったことが思い出され、シエロとの初めての出会いを思い出し、シエロとはずっと一緒にいたような気さえする。


 駆け抜けるような異世界生活だった。


 現代では時間は進んでいるんだろうか。俺は無断欠勤で会社をクビになっただろうな。でも変わりはいくらでもいるって言ってたし、そんなに問題でもないだろう。


 もし現代に戻ったときは職がなくて大変だろうが、今日まで戦い抜いてきたせいか、仕事がないことが昔ほど恐怖に感じなくなっていた。何とかなる気がするのだ。


 実家の親父とお袋は連絡取れなくて心配してるだろうなあ。妹は知らん、あいつは心配とかそういう性格じゃない。


 俺はこれからどう歩んでいくか、まずはシエロの姉を助ける手伝いをしていくのが良いだろうな。同時に魔術を殲滅していくのが——アトラスだって万全になったし、きっといけるさ。


「——ん」


 空想から意識が呼び戻される。


「クロエの肌、凄い綺麗ですべすべなの」


「わたしの時はずっと止まっていたから……これから動き出すとまた変わると思う」


「髪の毛も黒くてすっごく綺麗で羨ましいの、シエロは全部白くなっちゃったから……」


「わたしはシエロの白髪、好き。雪みたいで綺麗」


「ほんと?」


「ほんとう。それに肌も健康的な白、シエロは全部かわいい」


「クロエもかわいいんだよ」


 同世代で仲睦まじい話声が聞こえてきた。クロエの精神年齢は百は超えているが、時間は止まっていたし似たようなものだろう。


 シエロにも友達が出来て良かった。さてそろそろ風呂を上がるか。


「おや、奇遇ですね、まさかこんなところで相まみえるとは」


 落ち着いた青年の声。どこのどいつか忘れていたが、聞いたことがあるのは間違いない。


 湯煙から徐々に浮かび上がる身体は、細身の鍛えられた身体。


 金髪と青い瞳で絵にかいたような美青年。


「お前は——黄金甲冑」


「奇遇ですね、黒甲冑とお呼びした方が宜しいですか?」

ブックマークや評価によるご声援、本当にありがとうございます。

心にグッときます。感謝してもしきれないほど、毎日喜んでいます。


それではまたお時間がございましたら、次話でもお待ちしております。

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