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隻眼の俺と追憶の湯煙

初めての方はこちらから

あらすじ

https://ncode.syosetu.com/n6321fs/

「お部屋はこちらになります」


 二つ結びのメイドさんに案内された部屋は、落ち着いた雰囲気の洋間だった。


 窓からは竹林と湯の流れ道が見え、結構いい雰囲気だ。


「結構いい部屋じゃないか」


 街の雰囲気や旅館という言葉から、畳の間を想像していたが流石は異世界。内装は洋風で床はフローリングだった。


 俺はさっそくスーツの上着をハンガーにかけて、大きく背伸びをする。まだガドウ戦の傷が癒えていないこともあり、身体のどこかしらは必ず痛い。


「さあて、せっかく来たし温泉でも堪能するか」


 ベッドの上に置かれているのは浴衣ではなく、一般的な小奇麗なパジャマだった。隣にはシエロの薄ピンク色のパジャマも用意されている。


「シエロはどうする、風呂に行くか?」


 だがシエロからの返答はない。


 思い返してみたらこの部屋に入ってから、まったく返事がない。


「こ、この部屋は二人部屋なのかな?」


「だろうな、ダブルベッドだし」


 何を当たり前のことをと思いながら俺は回答する。


「このベッドで、し、シエロたちは、ねるの?」


「うん? そうだと思うが」


 今までもそうだったのに、何を今更と思うところはある。


「ははーん、今まで止まった宿屋とは違って、こんなに大きくてふっくらしたベッドだから、大の字で寝たいんだな?」


「ち、違うんだよ! だってその、あの、うーん——」


 なんだかわたわたと身振り手振りで慌てながら、うー、と頬を抑えるシエロ。


 ここ最近、というかグロウス:シュレディンガー事件やミセリアと出会ってからいうもの、シエロが恥ずかしがるようになった気がする。


 やはり洋服も新しくしたから、年頃なんだろうか。


 年頃だと保護者から離れていくもんだしな……。


「分かった。俺も年頃の女の子にデリカシーがなかった、ここは俺が床で寝るぜ! 初めての巨大ベッドを堪能してほしい!」


「ち、ちがうの、そういうんじゃないの!」


 じゃあ、どういうことなんだろうと聞き返そうとしたとき、シエロはそそくさと部屋を出て行ってしまった。


 そして一分もしないうちに帰ってくる。クロエを連れて。

ブックマークや評価によるご声援、本当にありがとうございます。

心にグッときます。感謝してもしきれないほど、毎日喜んでいます。


それではまたお時間がございましたら、次話でもお待ちしております。

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