表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【旧】中年おっさんサラリーマン、異世界の魔法には賢者の石搭載万能パワードスーツがステータス最強でした ~清楚幼女やツンデレ錬金術師と家族生活~  作者: ひなの ねね
第三章 無色の俺と均衡者見習い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/113

均衡者見習いと鈍赤甲冑の道化話

初めての方はこちらから

あらすじ

https://ncode.syosetu.com/n6321fs/

「私はミセリアと申します。実は——」


 これで何人目でしょう。


 村人の数はさほど多くないので、聞きまわるのに一時間もかからない。さっき通り雨があったが、雨宿りした時間をプラスしてもほんの数時間であらかたの聞き込みは終えてしまった。


 人に話しかけるのは正直なところあまり得意ではない。けれど総司郎とシエロの姿が脳裏をよぎる。


 総司郎は普段は眠たそうなはっきりとしない顔だが、聖剣の話をすると諦めたような眼をしている。力ある者を信じていない目。力ある者は弱者を虐げ、絶対に手を貸さないことを知っている目だった。私にはそれが許せなかった。


 人々を守るという宿命を背負い、聖剣を扱う者たちは剣を振るっている。私もそうなりたいと常に考え稽古をしてきたつもりだ。


 確かにこの世界には聖剣をよく思わない者も数多くいるし、聖剣の中でも力を誇示し、弱者に辛く当たる者もいる。だがそれは極端に少なく、大多数は人々を助け、世界の均衡を守る者たちだ。


 確かに総司郎とシエロがグロウスを完全消滅させようとしていることは、魔術革命時代に於いて異端だろう。だが聖剣ならばシエロの話を信じれば死者の遺体と魂を永遠に苦しめるのではなく、シエロたちに手を貸すはずだ。


 だからこそ総司郎に私は証明したい。私がグロウス狩りを手伝い、シエロに鎮魂歌を歌ってもらい、聖剣を目指す者も総司郎たちの考えの力になれると。


 ——けれど、一向に情報が集まらないのは私としても悔しい。


 三つ編みに結った黒髪を触りながらこれからの事を考えた。


 集合地点である食堂へ向かうには少々早い。けれど聞く相手ももう村にはいないだろう。


「どうしよう……」


 前髪を弄りながら私は思案しようとしたが、考えるほどの情報すらない。


 不思議なものだ。


 一体誰が、グロウスはこの村にいると報告したのかすら不透明なのだから。


 出来る事ならシエロや総司郎よりも早くグロウスを見つけ、私一人で対応できるのならば、討伐したい——ところだが、今の私は腰に手軽な木の棒を下げているだけの聖剣見習いだ。


「そもそも私一人で討伐できるものなのだろうか」


 グロウスは聖剣一人でやっと討伐できると聞く。仮にも聖剣見習いであるならば、私一人でも良いところまで追いつめる事が出来なければ力量不足となってしまう。


「ふっ——!」


 道端で誰もいないことを確認しつつ、腰に下げた木の棒を抜き、舞う木の葉を一撃で静かに両断する。


 ここ二日ほど修練をサボってしまったが腕は衰えていない。


「良いところまで追いつめ、シエロにグロウスを鎮めてもらう——それが彼女と総司郎にとって一番の安全で幸せな道——!」


 二つ、三つ。


 幸運切りのミセリアと学内で噂されているが、不幸が起きるシチュエーションでさえなければこの通り実力だって発揮できる。


「必ず私が聖剣見習いとして人を守る——たった二人を守れずして、何が未来の聖剣か!」

いつもブックマークや評価によるご声援、本当にありがとうございます。

またお時間がございましたら、次話でもお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ