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無色の俺と実直な均衡者

初めての方はこちらから

『黒い流星と極彩色の罪人 ー異世界の魔法に対抗するにはパワードスーツしかないー』

あらすじ

https://ncode.syosetu.com/n6321fs/

「そうじろう、シエロたちはどうやって探すの?」


 店を出て宿屋に向かう途中、シエロが俺と並びながら歩く。


「シエロがグロウスの声が聞こえないんじゃ、俺たちも聞きこむしかないか」


 聞きこむにしても今はもう夜一九時過ぎ、現代のように街は生命力に溢れてはいない。異世界でもっと大きな町なら明るいのかもしれないが、田舎は食堂以外は既に真っ暗だ。


「聞きこむ相手がいないから明日だろうな……」


「分かったよ、そうじろう」


 ふんす、とシエロは気合を見せる。いつになくやる気のようだ。


「やる気じゃないか」


「なんか今日は、がんばろうかなって」


「良い心がけじゃん」


 きっかけは分からないがシエロがやる気だと、俺もなんかやる気が湧いてくる。


「少し良いですか総司郎」


「どうした、ミセリア?」


 俺とシエロの後ろを歩いていたミセリアがふいに呼び止めた。


「二人は行商人見習いではないのですか? 話を聞いているとまるで、グロウウを狩ろうとしているように聞こえる」


「あー、狩ろうとはしているな」


「いけません!」


 ミセリアは大きな声で強く言葉に出した。あまりの強さにシエロはビクッと俺の後ろに隠れる。


「——勢い余ってしまい、すみません。ですが総司郎、グロウスは聖剣にも手が余る場合があります。それを貴方のような人たちが、関わる必要はない」


「それはそうなんだが、俺たちにも事情があるんだ」


「もし商売の為にグロウスの遺体を手に入れようというのなら、私は全力で止める。ここまで私に良くしてくれた恩人を、危険にさらすような真似を絶対にするわけにはいかない」


 一般的にグロウスは聖剣一人でやっと狩れるほどと言われている。過去にマリアベルの父親——ラプチャーと対峙したが、彼は明らかに手を抜いていた。多分、自我で己の行動を抑制していたのだろう。


 もし理性がないグロウスと対峙したとき、俺とシエロは勝てるのだろうか。


『マスター、今回は私もミセリアに賛成です。現在のアトラスでは対異世界生物に対抗できる力はありません』


「アトラまで——」


『異世界でのマスターの明確な目的はございませんが、無茶な行動は慎むべきかと。現在は効率よく運用できる動力確保が最優先かと』


 分かってはいる事だが、アトラのいっていることは正しい。だが聖剣にグロウスを殺されれば、そのグロウスは再びこの世界で苦しみ続ける。生まれ変わってもグロウスのままだ。


「そうじろう……シエロは、」


 シエロの目的もグロウスの鎮魂も、俺には関係のないことだから聖剣に任せればいいのだろう。

いつも最後まで読んでいただきありがとうございます。

またお時間がございましたら、次話でもお待ちしております。

一刀想十郎@小説家になろう

@soujuuro

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