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【旧】中年おっさんサラリーマン、異世界の魔法には賢者の石搭載万能パワードスーツがステータス最強でした ~清楚幼女やツンデレ錬金術師と家族生活~  作者: ひなの ねね
第三章 無色の俺と均衡者見習い

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無色の俺と第三聖剣と見えぬ亡霊

初めての方はこちらから

『黒い流星と極彩色の罪人 ー異世界の魔法に対抗するにはパワードスーツしかないー』

あらすじ

https://ncode.syosetu.com/n6321fs/

 ミセリアも気が付いたのか、はっと息を飲んだ。


「第三聖剣——ガドウ様」


 やっぱりそうなのか。


 男は誰もいない広いテーブルを見つけて、大きな動きで席に座り、彼についてきた剣士達十人ほども同じテーブルに着く。


「酒は紳士の嗜みだ、酒がなくちゃ話にならん!」


 がっはっはと笑い、ガドウは運ばれてきたビールを一気に飲み干す。


「姉ちゃん、これじゃ何度も呼び出しちまう。樽を三つここにおいておけ」


 呼びつけられたウェイトレスは、「は、はい」と気迫に押されながら、店長たちと共に酒だるを運び始めた。


 店長がが最後の酒樽を置いたころ、ガドウは店長を呼び止める。


「この辺りでグロウスがいると聞いてきたんだが情報はあるか」


「い、いや私は、さあ、どうでしょう」


「ん、知らんのか? 確かな情報だと聞いてきたんだがな」


 すみません、と店長はそそくさとガドウから離れる。


「おいてめえら、酒を飲んだら聞き込みを開始しろ。今は他国よりも早く多くのグロウスが必要だからな」


「はい、今すぐに!」


 ガドウの脇に立っていた剣士がすぐさま立ち上がるが、ガドウは目にも止まらぬ速さで彼の肩を片手で押さえつける。そして力ずくで椅子に座らせるた。


「聞こえなったか? 酒を飲んでからだ。役に立たねえ耳は切り落とすか? それとも頭の方が良いか?」


「い、いえ、しょ、承知しました」


 剣士は怯えながら目の前のビールを一気に飲み干す。


「分かればいい。おら、お前らも全部飲み干してからだ。紳士たるもの、酒の力を取り込んでから優雅に事に当たれ」


 は、はい! と他の剣士たちもすぐさま飲み始める。


 何なんだこの宴会パワハラ聖剣使いは。


「シエロ、グロウスの声は聞こえるか?」


 背中に隠したシエロに呟くと、シエロはそっと俺に耳打ちする。


「グロウスの声は聞こえないんだよ。ここにはいないと思うの」


「そうか、じゃあ誤報なのか……? アトラ、ラプチャーから収集したデータを元にグロウスを探せるか?」


『ラプチャーと同様の波長は感じ取れません。もし存在するならば個体により波長が別の為に認識できないか、データ不足化になります』


「そか、ありがとう」


 そうなるとあの聖剣使いのガドウは無駄足となる。けど俺には気になる事があった。


「なあミセリア、グロウスがいるという報告で、十三聖剣が出てくるのはどの程度のレベルの話なんだ?」


 十三人しか存在しない聖剣だ。グロウス狩りの他にも極彩色の魔女捕獲も行っているはずだ。そんな忙しいのに、この村での不確かなグロウスに人員を割くのは不可思議だ。


「百パーセントでしょうか。十三聖剣を動かしつつももし誤報だった場合は、国務を邪魔したこととなり、最悪首を切られます」


「想像通りだ」


 ということはこの村にグロウスはいる。


 グロウスがいるということは、俺とシエロは彷徨っている彼を鎮魂させねばならない。


 彼女の家族と住みよい未来を築くために。


「そうじろう、探すんだよ」


「シエロ、探そう、そのグロウスを」


 グロウスの気配が無いのは気にかかるが、ガドウに渡すわけにはいかない。


 俺たちはそそくさと食事を済ませ、酒盛りをしているガドウ達がいる食堂を後にした。




終幕 灰色だった俺と第三聖剣と見えぬ亡霊

いつも最後まで読んでいただきありがとうございます。

またお時間がございましたら、次話でもお待ちしております。

一刀想十郎@小説家になろう

@soujuuro

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