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【旧】中年おっさんサラリーマン、異世界の魔法には賢者の石搭載万能パワードスーツがステータス最強でした ~清楚幼女やツンデレ錬金術師と家族生活~  作者: ひなの ねね
第三章 無色の俺と均衡者見習い

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無色の俺と均衡者見習い

初めての方はこちらから

『黒い流星と極彩色の罪人 ー異世界の魔法に対抗するにはパワードスーツしかないー』

あらすじ

https://ncode.syosetu.com/n6321fs/

「いや、俺たちもそうだし仕方ない。これから金を稼ぐために行商人ギルドに加入しようとしてる身だしな」


「うんうん、億万長者になるよ」


 シエロが合の手を入れる。


「そうでしたか。うーん、事情を話して譲ってもらうのは難しいですよね」


「そうしてやりたいが無条件というのもな。そうだ、俺たちは次の村に荷物を運ばなければいけない。ついでに雑貨も販売してくる。その中で予定より高く商品を販売し、その分で購入したことにして譲ろう。それなら問題ない」


「本当ですか!」


 ミセリアの顔がぱっと華やぐ。


「是非私にも手伝わせてください」


 さっき話したばかりだが彼女は義理人情に篤そうな真面目なタイプだと感じる。手伝いを断っても気持ちが晴れないだろう。


「是非お願いするよ。俺とシエロでは人手が足りなかったんだ」


「はい! 恩に切ります総司郎、シエロ!」


「その間まで剣は預かっていてくれるか?」


 俺の言葉に二つ返事するかと思ったが、ミセリアはうっと言葉を詰まらせる。


「ありがたいお言葉、しかし私は——私のミスにより手放してしまった愛剣を——そこまで甘えることはできない。総司郎に持っていていただきたい。私が持つべき日が来たら、快く手にしたいと思います」


 どこまで真面目なんだ、こいつは。


 正直、そのまま持ち去っても仕方ないかと俺は思える気持ちではあった。剣一本にここまで執着して着いてきた彼女だ。きっと次からは失敗を活かしてもっと大切に扱うはずだから。


「分かった大切に保管しておくよ」


 俺は彼女から剣を受け取り、しっかりと手元に置いた。


「それでこの辺りでは見たことのない格好だが、ミセリアは何処からきたんだ?」


「失礼、名前以外も名乗るべきでした。私、ミセリア=スペルビアは聖剣育成組織『カラドボルグ』の訓練生であります!」


「聖剣——だと」


 あの黄金甲冑を着た騎士や、マリアベルの母を殺めた第八聖剣などに関連する組織。


「私たちは聖剣となり、各国に所属し、世界の均衡を保つ」


 のですが、と照れくさそうにミセリアは目を伏せる。


「——聖剣使いになったものはここ最近の組織からは輩出されておりません」


「そんなに厳しいのか」


「十四番目の聖剣の輩出が待たれていますが、ここ三年ほどは囁かれるような人物は全く。噂に聞くグロウス狩りの黒甲冑はスカウトされたとの噂ですが、断られたようですし……あれほど強大な力がないと聖剣の対象にもなれないようです」


 あの黄金騎士がどこかで断ったことを話したせいか、噂は地味に広がったのだろう。または本物が正式に断ったかのどちらかだ。


「その為、今年の修練性の課題は一年間は世界を放浪し、聖剣となるための修業が追加されました。聖剣となるには組織内だけでの学びでは無駄だと結論が出たのでしょう」


 ミセリアはこぶしを握りながら、ぱちぱちとはぜる焚火を強く見つめる。


いつも最後まで読んでいただきありがとうございます。

またお時間がございましたら、次話でもお待ちしております。

一刀想十郎@小説家になろう

@soujuuro

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