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【旧】中年おっさんサラリーマン、異世界の魔法には賢者の石搭載万能パワードスーツがステータス最強でした ~清楚幼女やツンデレ錬金術師と家族生活~  作者: ひなの ねね
第三章 無色の俺と均衡者見習い

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無色の俺と均衡者見習い

初めての方はこちらから

『黒い流星と極彩色の罪人 ー異世界の魔法に対抗するにはパワードスーツしかないー』

あらすじ

https://ncode.syosetu.com/n6321fs/

「良い食べっぷりだな」


 念のため少し多めに買っておいて良かった。焚火の向かいで肉と野菜をがつがつ食べる少女は、両頬に食品を詰め込んだまま涙目で頷く。


「あふぃがふぉーふぉふぁいふぁふ」


「なんて言ってるのかな」


「さあ……感謝じゃないか?」


 俺とシエロは既に食べ終わっており、一心不乱に食べる少女をずっと見つめていた。


 少女の名前はミセリア=スペルビアという一七歳の少女だった。どっかの制服のようなきっちとした服の着こなしで、見方によっては紺色のブレザーとスカートに見えなくもない。長い黒髪は後ろで一つの三つ編みとして結っている。


 彼女をホロの中から降ろしたときも、大切そうに細長い包みを一緒に持ってきた。今は彼女の手元に置かれている。


「——うっ!」


「あんまり詰め込み過ぎるからだ、ほら」


 俺が手元の水筒を見セリアに渡すと、激しく水稲の水を飲み干した。


「はあはあ、た、助かりました。心遣い感謝いたします」


「腹減って寝てたんじゃ、見過ごせないしな」


「お互い様だよ!」


 シエロも笑顔でミセリアに笑い返すと、すまなそうな顔のミセリアはつられて微笑んだ。


「それでなぜ馬車に乗っていたんだ、確認したときはいなかったんだが」


「それなんですが——助けていただいて恐縮ですが、これを返していただきたい」


 ミセリアは手元にある長い棒を手元に引き寄せた。


「確かその積荷は武器と聞いていたな」


 行商人ギルドで荷物を積んだ時に、食料品と共に売買用の雑貨を少しばかり積み込んだ。そのうちの一つだ。布に包まれているが中身はよく知らない。


「これは元々、私の剣なんです」


「剣か、何故君の剣が行商人ギルドの荷物に紛れていたんだ?」


「実は私がアルデバランに立ち寄ったのは旅の途中だったんです。その際、迷子の両親を探していたら、知らぬ間に盗まれてしまい、なんとか見つけたときには質屋に売り飛ばされ、ありったけのお金で買おうとした矢先、金は擦られ、町中を三日三晩走り回ったげく、あなたの馬車に詰め込まれて街を出ていく姿を見たのです」


「不運だったな」


「ええ、私は昔からそういうところがあって——着いたあだ名は幸運切りのミセリア。全力疾走で馬車を追い、あなた達が昼食を取っている隙に手に入れようとしたら、すぐに走り出してしまったんです。その結果、揺れが気持ちよく……恥ずかしながらこの有様です」


「そうだったのか。ミセリアの剣なら返してやりたいのは山々なんだが……俺たちも行商人ギルドのテスト中なんだ。もし良かったら買ってもらえると助かるが、無一文だったな」


「かたじけない……」

いつも最後まで読んでいただきありがとうございます。

またお時間がございましたら、次話でもお待ちしております。

一刀想十郎@小説家になろう

@soujuuro

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