無色の俺と仕事探しギルドの輪舞
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『黒い流星と極彩色の罪人 ー異世界の魔法に対抗するにはパワードスーツしかないー』
あらすじ
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石造りの街を練り歩き、着いた先は博物館みたいな立派な造りの神殿だった。入り口の看板には「ハローワークギルド」と書かれている。
あ、ちなみにアトラスの一部が網膜に貼りついてるから、翻訳してくれてるのであしからず。多分無茶で無理やりな翻訳をアトラはしている。
「異世界にきても転職活動か、いやな響きだ」
シエロと神殿内に踏み込むと、中は大理石でできているのかオリンポス大神殿のようだった。オリンポス大神殿は一度も行ったことないが、俺のイメージはまさにこの建物だ。
「「いらっしゃいませ、本日はどのようなご用件でしょう」」
総合窓口に座っている、二人の髪の長いお姉さんが同時に俺へ声をかける。
「えっと仕事を探してるんですが……」
「「承知しました、それでは——」」
二人は同時に喋って、同時にシエロに目を向ける。
「な、なんなんだよ?」
「「いえ、お父様と職探しとは、けなげな良い子です。あちらの角を右に曲がりますと相談員がおりますのでそちらへどうぞ」」
「はあ、ありがとうございます」
シエロがいるせいで、子持ちの無職親父みたいな目で見られたよ……いや、部分的には合ってるんだけど。
「「言い忘れました」」
二人のお姉さんに呼び止められて、俺は足を止める。
「「ここはお子さんを預ける施設はございません。もしよろしければ私たちが、その子と遊んでましょうか?」」
「あー……そうだな。シエロ、これから俺は仕事を探すために相談員と話をしてくる。少しの間あの人たちと待っててくれるか? 多分暇だと思うし」
シエロは目を二、三回しばたかせ、少し考えてからこくりと頷いた。
「頑張ってきてね、そうじろう。毎日何もしないでもお金が沸いてくるような仕事見つけてくるんだよ!」
俺もそんな仕事見つけたいわとの表情は出さず、シエロを二人のお姉さんに預け、俺は相談員の元へと向かった。
「俺が知ってるギルドと違うな。ギルドってもっとこう、ファンタジーな感じだと思ってたけど、完全にハローワークだわ」
辿り着いた部屋はそこそこ広い部屋で、木のベンチが等間隔に並ぶ。相談員は木で仕切られた窓口で職探しをしている人間と会話していた。
ファンタジーっぽいのは、相談している人間が剣や弓をしょってるという点だけだ。
「次の方ー、こちらあいてますよー」
遠くで声がしたので他に誰もいかないことを確認して、俺はその窓口へと向かった。
いつも最後まで読んでいただきありがとうございます。
またお時間がございましたら、次話でもお待ちしております。
一刀想十郎@小説家になろう
@soujuuro