灰色だった俺と金策の洞窟
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『黒い流星と極彩色の罪人 ー異世界の魔法に対抗するにはパワードスーツしかないー』
あらすじ
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シエロが目を覚ますとマリアベルは俺達を連れて、まずは洋服屋に向かった。断りはしたが、出世払いしてくれればいいとのことで、マリアベルの金で俺は洋服を新調された。むしろ臭い方が困るらしい。
鎧や甲冑も進められたが、その上にアトラスを装着するのかと思うと動きにくそうなので、今着ている似たようなワイシャツとレザーパンツを選んだ。シエロは頑なに白いローブを脱がないと騒いだので、どれほど可愛い洋服を出されても意味がなかった。彼女なりのポリシーが込められているのだろう。
武器屋にも寄ろうとしたが、俺はアトラスがあるので素手、シエロも武器が扱えないので素手。そのため素通りすることになった。
「ここが鉱山の入り口!」
地獄に通じそうな洞窟の前で、腕を組んでマリアベルは仁王立ちして叫んだ。
「アルデバランが魔術革命の街になった理由の一つに、元鉱山街だったってのがあるの。鉱石が豊富に集まるから、魔術研究者たちが集まる。この鉱山も殆ど取りつくしているとは思うけど、行かないよりはマシでしょ」
「何から何まで悪いなマリアベル、何故ここまで手伝ってくれるんだ?」
昨晩の夕飯代、宿代の立て替え、新たな洋服、それに金を稼ぐ手段まで準備してくれた。
「別に。お金には困ってないけど、うちも素材が薄くなってきたし、今は何処も品薄だから自分で調達した方が速そうだしね。それにレア物素材のオークションは今日の夕方だし」
「そうなのか、理由はあれど、ありがとなマリアベル。ほらシエロも頭下げとけ」
「こ、子ども扱いしなくても大丈夫だよ! 少しぼーっとしてただけなんだから! あ、ありがとなの、マリアベル」
「どういたしまして」
はにかんで笑い、言い忘れたことがあるようにマリアベルは口を開きかけ、下唇を一度噛み、
「いくぞ、目指せ億万長者!」
と気分を変えるように大声を出して先頭を歩きだした。
シエロは勢いに合わせて、ふろうしょとくー! と手を上げ、俺も後をついていく。
一瞬のマリアベルの表情も気になったが、人生初めての洞窟ということもあって、すぐに忘れてしまった。
終幕 灰色だった俺と金策の洞窟
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一刀想十郎@小説家になろう
@soujuuro




