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【旧】中年おっさんサラリーマン、異世界の魔法には賢者の石搭載万能パワードスーツがステータス最強でした ~清楚幼女やツンデレ錬金術師と家族生活~  作者: ひなの ねね
第二章 灰色だった俺と山吹色の魔道士

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灰色だった俺と金策の洞窟

初めての方はこちらから

『黒い流星と極彩色の罪人 ー異世界の魔法に対抗するにはパワードスーツしかないー』

あらすじ

https://ncode.syosetu.com/n6321fs/

「今は魔術素材なら馬鹿売れなんじゃない?」


「魔術素材か、確かグロウスが元になってるっていう」


「本当ならグロウスの目や内臓とかがより強力な魔術を行使するのに適しているんだけど、グロウスを狙うのはちょっと危ないかな」


「そうなのか?」


 黄金甲冑も危ないと言っていたが、俺はまだピンと来ていない。そもそもグロウスと直接対峙したことがないからだ。


「普通の凶悪な獣とは違うからね。グロウスはそれこそ魔術のような力を行使する者もいるし、己の体そのものを強化して戦う者もいる。そのどれもが国の一騎士団でも致命的な損害を生むほどの相手」


「そんなに危険な相手なのか」


 俺のイメージはファンタジーゲームのフィールドモンスターみたいに登場するものだと考えていたがどうやら違うようだ。奴らは一個体そのものが脅威となるらしい。


「しかも殆どが古びた館や城、森や洞窟の奥底にいたりする。グロウスを見つけて狩るのも手間がかかるの」


「ボスみたいなもんか」


「ボス? 親玉ってこと? そうね、そのニュアンスかな。そのテリトリーを仕切っている強力な魔術概念」


 なるほど、だから黄金甲冑はグロウス狩り専門である黒甲冑を仲間に引き入れたかったのか。黒甲冑ならグロウス狩りにも慣れてるし、グロウスがいる場所へも単独で潜入できる。戦力強化と人件費削減、同時に部隊強化も行える。


「この街にも、そのグロウスの一品が登場するって聞いたから、魔術関係者は集まってる」


「レアな一品てのはグロウスだったのか」


「噂だけどね。魔術開発に携わる私たちからすれば喉から手が出るほど欲しいものだけど、値段が凄そうなのは確か」


「どこの世界も金が全てなのは変わりなしか。それで下々の魔術関係者はどんな素材で研究してるんだ? それを集めればいいんだろ?」


「それは、これ」


 ごそごそとロングコートの内ポケットを探る。ちらっと見えたコートの中は色々な素材や道具が綺麗に捻じ込まれていた。


「あったあった、はい」


 マリアベルが取り出したのは、曇ったガラスのような石だった。


「これは安物の宝石。昔は何の価値もなかったけど、今はこの程度でも1キロ一万円円は軽いんじゃない?」


「1キロ、一万円か……今なんて言った? 円? この世界の通貨は円なの?」


「は? 何言ってんの、昔から円でしょ。総司郎酔っぱらってる?」


 酔っぱらってたのはお前だ、と言おうとしたが小声でアトラに問いかける。


『マスター、原住民の通貨は円ではありません。ですが言葉を含めて全て翻訳していますので、通貨も円。レートも日本円に再計算しています』


 アトラの事だからもしやとは思ったが、なんと気の利くことか。もうこいつ一人で何とかなるんじゃないのか?


『今なんとななると思いましたね? 捕食モード中は武道の達人レベルの能力しか出せませんのであしからず。それ以上の力が必要と判断し、マスターを取り込みました』


 十分強いじゃねえか、俺を取り込むと殺戮兵士になれるってことね。


「酔っぱらってはない。しかし宝石か、宝石ね……あるかあ、宝石? 俺のイメージじゃ宝石はそう簡単に手に入る代物じゃないと思うが」


「その通り、それに宝石店は片っ端から買い占められて今は品薄状態。でもね、美味しい話はあるの」


 にやりとマリアベルは口元をゆがめる。


 内ポケットからからピンクフレームの眼鏡を取り出し、セミロングの髪を片耳に掛けながら言った。


「うちに任せて。シエロちゃんが起きたら、連れて行ってあげる」

いつも最後まで読んでいただきありがとうございます。

またお時間がございましたら、次話でもお待ちしております。

一刀想十郎@小説家になろう

@soujuuro

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